猛暑の中、みちのくあんこ旅へ。背中に羽根が生えたよう(笑)。
トップバッターはづんだ餅で知られる「村上屋餅店」(仙台市)です。
きれいな枝豆色の暖簾に「づんだ餅」と白く染め抜かれている。
昔から1ミリも変わらないシンプルな店構え。
「ずんだ」と表記せず「づんだ」と頑固に表記している。脱帽。
餅屋としての創業は明治10年(1877年創業)だが、それ以前は伊達藩の御用菓子屋(御菓子司)で、初代から数えると現在7代目になる(餅屋としては4代目)。
朝から行列。相変わらずすごい人気。
で、本日取り上げたいのは目玉の「づんだ餅」はもちろんですが、もう一つ影の主役「通しぜんざい」とサイドメニューです。
★今回のキラ星
づんだ餅 790円
通しぜんざい(こし餡)720円
笹のしずく(栗坊主)200円
※いずれも税込み価格
【センターは?】
通しぜんざい:素晴らしきこし餡のあんこ餅
この店の一番人気は3種類を小さく味わえる三色餅(づんだ、くるみ、黒ごま)だが、これまで何度も食べているので、今回はあえて「通しぜんざい」(こし餡)にした。
私的には村上屋のツートップ。
まずはその魅惑的なお姿をごらんいただきたい。
下の餅が見えないほどたっぷりの自家製こし餡が乗っかっている。わお。
こし餡の美味さがハンパではない。
ぜんざいという表現は江戸⇒東京ではこし餡のこと(関西はつぶ餡を指す)。
ゆえに村上屋餅店は江戸の流れをくむ老舗だとわかる。
なめらかな光沢、引き込まれるようなあずき色と密度、その下に杵つき餅が2個潜んでいる。
撫でるような舌触りと雑味のない甘さ。塩気がほんのり。
この店の凄さの一つが、どんなに混んでいても注文を受けてからつくること。なので待ち時間は少し長め。店のスタッフの応対もとても穏やかでここちよい。
あずきは北海道産、砂糖は聞き逃したが、多分上白糖(白ザラメかも)。炊き方にこの高いレベルを維持している秘伝がありそう。
餅は「みやこがね」だと思う。
これほどまでにピュアな、思わずほっぺをつねりたくなる「ぜんざい」は少ない。
吹き上るあんこのそよ風(幸せホルモン)。
私の大好きな浅草「梅園」の「あわぜんざい」に一歩も引けを取らない。
【セカンドは?】
づんだ餅:やっぱり別格の味わい
私のずんだ人生の中では、村上屋餅店の「づんだ餅」は特に格別。
今回は「三色餅」ではなく、づんだ一本勝負にした。こちらも下に餅が2個。
づんだの質がすごい。
枝豆の皮を手剥きし、それを代々伝わる製法で実にきめ細やかな粒子に仕上げている。
冷やしてあるのも芸が細かい。
甘すぎない。塩気もほんのり。
最近のずんだブーム(一般的にはずんだ、と表記している店がほとんど)の火付け役の一つがこの村上屋餅店と知ってる人は意外に少ない。
ここで初めて食べて、あまりの美味さにずんだファンになった人も多い(私がその一人です)。
【もう一品】
笹のしずく(栗坊主):隠れたもう一つ準主役
店内に入ると、日持ちしない餅菓子が数種類、木枠のガラス棚に並んでいるのがわかる。
中でも私のあんこころをくすぐったのが「笹のしずく」。栗坊主とかっこ書きされていて、ユーモアも感じる。
坊主というよりみずみずしい笹とベールに包まれた半透明のかぐや姫・・・のような(笑)。
よく見ると、蜜煮した栗が丸ごと1個、あんこと粘土の強い半透明の葛にくるまれて、
ずっしりと納まっていた。
日持ちしないので、ホテルに戻ってから味わったが、葛とあんこと栗が三位一体となって、口の中で広がる感覚はむしろ上生菓子に近い味わい。
ほどよい甘み。風味の餡ビリーバボーな小爆発・・・。
村上屋餅店、恐るべし。
●あんヒストリー
餅屋としての創業は明治以降だが、それ以前は伊達藩の御菓子司だったようだ。2代目が江戸で和菓子職人修業、3代目になって米と餅を扱うようになった。仙台大火などで店を移転、昭和57年に現在の場所に収まっている。「づんだ」の表記は一説によると、豆打(づんだ)から来ているとか。グルメだった伊達政宗がつくったという説もある(真相は不明)。
「村上屋餅店」
最寄り駅 JR仙台駅から歩くと約15~20分