週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

巣鴨「栗ぜんざい」のあんこ力

 

東京・巣鴨あんこのメッカの一つ。

 

元祖塩大福「みずの」やあんぱんの名店「喜福堂」はじめいい店がとても多い。

 

ひと昔前は「おばあちゃんの原宿」などと呼ばれたが、今ではシャレた店が軒を連ね、個人的には原宿の方を「若者の巣鴨と呼びたい気分(笑)。

 

コロナで行けなかった分、久しぶりに師走の巣鴨へ。

 

「喜福堂」であんぱんを数種類買い込み、北口ロータリー前の老舗和菓子屋「福島家」で一休みすることにした。喫茶室もある。

 

狙いはここの栗ぜんざい。自家製あんこの美味さには定評がある。

 

この季節のぜんざい類は3種類。栗ぜんざい、しるこ、ぜんざい、白玉しるこだが、ここは何といってもこの季節限定の「栗ぜんざい」(税込み830円)にかぎる。

 

寒さで冷えた体を芯から温めてくれる。

 

それがこれ。

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冬のあんこの神さまだよ。

 

漆塗りのお椀の蓋を取ると、小豆のいい匂いがぼわわんと来た。

 

【本日のセンター】

しゅまり小豆の絶妙「栗ぜんざい」

 

いい小倉色のぜんざいの温かい海に蜜煮した栗が3個ぽっかりと浮いていた。それに餅の存在感。

 

お椀は大きめで、湯気を放つ小豆の量も申し分ない。

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小豆は形はしっかりあるのに、皮まで柔らかく炊かれていて、職人の手の匂いがするよう。

 

甘さがほどよく抑えられていて、塩気もほのかにある。

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上質のあんこだと思う。

 

栗の食感はほっこりしていて、ぜんざいとのマッチングがいい。

 

少し焼色が付いた餅が思った以上に柔らかい。

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しかも伸びる、のびる

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主役のあんこの美味さが光る。

 

いい風味が口いっぱいに広がる。

 

たまたまいらした6代目に話を聞くと、小豆は北海道・美瑛町(びえいちょう)の朱鞠小豆(しゅまりあずき)を使っているそう。

 

ふくよかさと香りが特徴の希少小豆。美瑛町の特産ものだった。

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砂糖も上白糖にわざわざ鬼ザラメをブレンドしている。「そのほうがコクが出ます」とか。

 

昆布の佃煮が箸休めに付いていて、しその実の塩漬けとはまた違ったフェイントをかもし出している。

 

餅は焼き色がもう少し付いていた方が好みだが、ここの餅はひと味違った。

 

餅米は新潟産で、毎朝、「どすんどすん」とすごい音で搗いているそう。

 

やわらかさと伸びがマックスに近い。

 

それがふくよかなあんこと絡み合う。

 

老舗和菓子屋さんのこだわり方。

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そこに栗の合いの手。耳を傾けると、小豆が「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」を歌い始める・・・そんな感じかな。

 

あんこ好きにはたまらない小世界。

 

どこか甘い秘密の匂いのするこの季節限定の栗ぜんざい。

 

すっかりお腹に納めると、師走の寒風もオミクロン株の不安もどこかへと飛んでいく気がするから不思議だ。

 

福島家の創業は江戸時代末期の文久元年(1861年)。

 

連綿と続く、あんこ力。

 

この際だから、小豆の魔除けにすがるのも悪くはない・・・。

 

和菓子&喫茶室「福島家」

所在地 東京・豊島区巣鴨2-1-1

最寄り駅 JR山手線(または南北線巣鴨駅北口から歩約1分

 

 

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