あったかいお汁粉(おしるこ)を自宅で楽しむ、というのはこの季節の最高の贅沢かもしれない。
と書きながら、お汁粉は甘味処で食べるのがやっぱり一番ですよ、という声が聞こえてくる。
その通りだとは思うが、赤坂とらやで3種類のお汁粉(小倉汁粉、白小倉汁粉、御膳汁粉)をゲットして食べたら、外がまだまだ寒いので、自宅でも甘味処でもどっちでもよくなってしまった。
そのくらいの味わいだった。
先日、あるTV局の情報番組から出演依頼を受けたとき、やり取りの中で、敏腕ディレクターから、「どこかスタジオでも食べれる美味しいお汁粉はないですかねえ」と振られた。
あんこセンサーをフル回転させ、探した末にいくつかご紹介した。
その一つが赤坂とらやの3種類のレトルトぜんざいだった。
正直に言うと、とらやにこんな商品があるとは知らなかった。特に白小倉汁粉(希少な白小豆を使用)の存在には驚いた。
紆余曲折、大人の事情で番組では使われなかったが、「葉山 日影茶屋」の北海道産小豆ぜんざい(珍しいおかき入り)が登場して、スタジオがなごんだ。
なので、あまりにもったいないので、幻となったお汁粉をこのブログで食べ比べすることにした。
〈今回ゲットしたキラ星〉
●赤坂とらや
小倉汁粉(和三盆糖入) 627円(税込み)
白小倉汁粉(和三盆入) 627円(同)
御膳汁粉(和三盆入) 627円(同)
●葉山日影茶屋
北海道産小豆ぜんざい(3個入り)1620円
※税込み、送料は別途
【センターは?】
つぶあん対決、小道具は餅とおかき
エンターテインメント形式に対決としたが、本来はあんこの世界に対決という言葉はない(ちょっと苦しいかな)。
第1R とらや「小倉汁粉」vs日影茶屋ぜんざい
〈とらや小倉汁粉〉
とらやは説明不要なほど、和菓子界のトップに君臨する名店。この「小倉汁粉」はレトルトで、小さな丸餅が2個付いている。
食べ方は電子レンジと湯煎、二つの方法があるが、私は湯煎にした。
説明書き通りに袋ごと熱湯の中で約5分温め、その間、小さな丸餅をオーブントースターで焼く。
器に移すと、湯気とともにいい小豆の香りが広がった。
さすがと言いたくなるトロリとした小倉色のつぶあん。いい焼き色の餅。
味わい:北海道産小豆(えりも小豆)のいい風味と和三盆糖が穏やかに溶け合っている感じ。あずきの皮までほっこりと柔らかい。
トロリとした雑味のない呉(ご=小豆の中身)の美味さ。
香ばしく焼けた餅が柔らかく伸びる。塩気はほとんど感じない。
これは究極のレトルトつぶあんお汁粉では?と幸せホルモンに包まれながら思わされる。
深いコクが後からじんわりと来る。
〈日影茶屋ぜんざい〉
続いて「日影茶屋」に箸とスプーンを移す。
ここは老舗料理屋だが、和菓子もつくっている。
プラスッチックの器をそのまま湯煎(熱湯で約3分)。
こちらも北海道産小豆をじっくりと炊いているのがわかる。
とらやに比べると小豆の色がやや明るめ。形もくっきりしている。
珍しいのは餅ではなく、おかきが2個付いていて、これが意外にイケた。ミスマッチではない。
味わい:粒々が柔らかく炊かれていて、比較対象がとらやでなければ、ほどよい甘さでとてもいい味わい。ほっこり感も十分にある。
とらやに比べてかすかに雑味を感じる。渋切りを少なくしているためかもしれない。ここは好みの問題だと思う。
使っている砂糖はてん菜糖のようだ。
オーガニック(自然)な、小豆を素朴に感じるぜんざいで、塩気がほんのり。
おかきのサクサク感が少しずつ柔らかくなる。その食感もおもしろい。
これはこれで絶妙なマッチングだと思う。
第2Rはとらやの2種
白小倉お汁粉:これは珍しい、希少な白小豆のお汁粉。私も初めての出会いとなった(下の写真、右は御膳汁粉)。
とらやは白小豆を使った和菓子も多くつくっているので、よく考えれば、その延長線上の逸品だと思う。
ふっくらと柔らかな粒々感がたまらない。
白いんげん豆より希少な、よりピュアな白小豆の風味。甘すぎない甘さがほどよい。
和三盆糖が全体を穏やかに仕上げている。
焼いた餅との相性もさすが虎の字、というレベルだと思う。
御膳汁粉:とらや3種類の中で期待は三番手だったが、想像以上の味わいだった。
どろりとしたこしあんの舌触りに感心させられた。
舌にやさしく語りかけてくるようで、レトルトでこのレベルを楽しめることにちょっと驚かされる。
ひょっとして和三盆との相性は一番かもしれない。
驚くことに、お汁粉三兄弟の中で、一番最初に誕生したのがこの御膳汁粉だったようだ。
とらやに取材したら、1978年(昭和53年)に瓶詰でデビュー。瓶からレトルトに移行したのが1987年(昭和62年)。かなりの歴史。とらやの先見の明、かもしれない。
その一年後に白小倉お汁粉が発売され、続いて小倉汁粉の順でデビューしたとか。
私の予想とは逆の順番だった。
・とらや赤坂店
所在地 東京・港区赤坂4-9-22
・葉山日影茶屋