東京・人形町から水天宮エリアは都内でも有数のあんこエリア。
玉英堂彦九郎、三原堂本店、壽堂、甘味処初音、東海、人形焼き重盛、たい焼き柳屋・・・指折り数えるときりがない。
持ち帰り専門「江戸甘味處 つくし」もその一つかもしれない。
創業当時のレシピを再現した「風鈴(プリンと読ませている)」が有名だが、私的には「俵おはぎ」を取り上げたい。
数年前、あんこラボの皆さんと「人形町和菓子巡り」を楽しんだ時、売り切れていて、空振りに終わった店でもある。
今回は炎天下、午前中に着地、「風鈴あんみつ」を手に入れたが、洒脱な5代目が「おはぎはどうですか? ちょうど出来上がったところ」と悪魔のささやき。
むろんゲットしたが、猛暑ということもあり「本日中に召し上がってくださいね」。
結果的に、「風鈴あんみつ」は期待が大きかったこともあるかもしれないが、感動の波は思ったほど来なかった(個人的な感想です)。
その分、俵おはぎには「おおっ」と土俵俵から押し出されそうになった(笑)。
あんこの存在感が凄すぎ。
★ゲットしたキラ星
俵おはぎ(3種1パック)
891円(税込み)
※つぶ餡、こし餡、きなこ
【センターは?】
こし餡:巨大おはぎと言いたくなるほど、普通のおはぎの1・5倍はあると思う。
きれいな藤紫色の外観。3種類並べると、その迫力に卒倒しそうになるほど(笑)。
つぶ餡も含めて、創業当時(明治10年)から伝承されたおはぎだそう。
サイズを測ったら65ミリ×50ミリ。上から見ると、いわゆる俵型。中央部で切ると、断面はごらんの通りほぼまん丸。重量は約98グラム。
何よりもあんこの怒涛の厚みに驚かされる。
あんこの厚みだけで15ミリは優にある。スゴすぎ。
中のピュアなもち米(たぶん新潟産)がほんのお愛想に見えるほど。
野暮と粋き、どっちだ?
これは野暮と粋きの合体と言えなくもない(笑)。
〈味わい〉甘さがかなり淡い。ピュアを感じるこし餡。
なので、大きくてもぺろりと行けた。
5代目によると、小豆は北海道産、砂糖は上白糖に少し和三盆を加えて炊いているそう。
「少し和三盆を」というところに、この上品なあんこのきれいな味わいの秘密があるのかもしれない。
ねっとりではなくさらりとした食感。
【サイドは?】
つぶ餡:こちらも甘さはかなり控えめ。
素朴な、小豆のきれいなコクが押し寄せてくる。ガブリ寄り的に。
個人的にはもう少し甘くてもいいと思うが、これが創業当時からのレシピだとすると、私ごときがあれこれ言う話ではない(ひょっとしてもっと甘かったかもしれないが)。
塩気がほんのりある。
野暮で粋きなおはぎ、という印象は変わらない。
きなこ:たっぷりの香ばしいきな粉がたまらない。重量は一番軽い102グラム。
マグマ状のつぶ餡を半殺しのもち米が薄く包み込み、さらにきな粉が夢のように・・・と表現したくなる(この表現はどうかな?)。
あんこの量がやはり圧倒的。
これが一番好きというファンも多いそう。
1個当たり約300円弱となるが、これを高いとみるか、コスパがいいと思うか、私はコスパがいい派だが、甘さがかなり控えめなので、3個ぺろりと食べてもお腹にもたれなかった(個人的に、ですが)。
●あんヒストリー
▼創業は明治10年(1877年)。現在5代目▼人形町水天宮門前に店を構え、初代が西洋菓子プリンを「風鈴(ぷりん=西洋風茶碗蒸し菓子)」として売り出し、人気を呼んだ▼江戸仕込みの洒脱さを感じさせられる▼5代目が当時のレシピを見つけ、再現の運びとなったようだ▼かのグルメエッセイスト・岸朝子さんが「東京の五つ星手みやげ」に選んでいる。
「江戸甘味處 つくし」