東京・三鷹に住んでいた頃、八王子は近くて遠い街だった。
昔の私にとってはあんこ空白地帯・・・今思うと無知の極み。
ユーミンの出身地だというのに、何というもったいないこと(汗)。
大正15年(1926年)創業「もちとし」。
えんじ色(小豆色?)の水引暖簾。いい店構え。
あんこセンサーがピコピコ来たぞ。
★ゲットしたキラ星
あんず大福(季節限定)248円
水羊羹 172円
抹茶プリン(あん入り)324円
※すべて税込みです。
他にもおいしそうな和菓子並んでいたが、蒸し暑いこの時期、私の渇いた視線とあん欲(造語です)はどうしても冷たい生菓子に向かう。
【センターは】
抹茶プリン(あん入り):自家製つぶあんの層が抹茶プリンの上にどっかと乗っかっていた(下の写真㊨)。
冷蔵庫で冷やしてから、冷たい麦茶を入れて、その渋い美しさを数秒間愉しむ。
見るからにつぶ餡の濃厚と下層の抹茶プリンのふりん関係、失礼、ぷりん関係がガブリ寄りしてきた(冷や汗)。
〈実食タイム〉スプーンを入れると、つぶ餡がねっとりと絡みついてきた。
柔らかく煮詰められたつぶ餡で、甘さはほどよく抑えられている。
北海道産小豆×グラニュー糖のようで、見た目は濃厚だが、意外にすっきりとした味わい。
あずきの風味が穏やかに来る。
スプーンの上の二層の合体がいいマリアージュになっていると思う。
抹茶プリンの苦みが口の中でじわりと広がる。
熱い舌の上で冷たい美味の掛け算が溶けていく。
夏の和と洋の贅沢な出会い、と合点する。
抹茶とあんこの関係はプリンになってもゆるがない。
【サイドは】
杏大福(あんずだいふく):今が旬のあんずを丸ごと蜜煮して、それを白あん(手亡豆)で包み、さらに求肥餅で丸く手包みしている。
この時期限定のフルーツ大福で、春先はいちご大福、夏(8月)はブルーベリー大福というラインアップのようだ。
それにしても杏大福というのはレアだと思う。
独特の果実味が白あんと求肥餅に閉じ込められ⇒口の中で解き放たれる。
甘さが控えめに抑えられているので、余韻もさわやか。
水羊羹:こしあん(自家製)が強めで、寒天と葛粉がいい塩梅で収まっている。
塩気がほんのり滲んでいて、冷たさとともにこちら側に寄って来る。
絶妙な美味さ。
あずきの風味と余韻がすっきりしている。
今回の涼風3品、猛暑続きの憂さをしばしの間忘れさせてくれる。
●あんヒストリー
▼創業大正15年(1926年)。現在3代目。▼もう少しで百年老舗だが、3代目の女将さんによると、もともとは本家「餅と志」の暖簾分けだそう。▼店名を平仮名にして、新しい和菓子づくりにもチャレンジ。▼八王子でも有数の老舗になっている。▼素材選び(主に国産)にもこだわり、店の中にキチンと表記しているも好感。▼代々のポリシーと腕があってこそ、と思う。
「八王子銘菓 もちとし」
所在地 東京・八王子市横山町22-2
最寄り駅 JR八王子駅北口から歩約5分