今回は東京・広尾で見つけた和モダンな和菓子屋さんのキラ星を取り上げたい。
広尾エリアは各国の大使館が点在し、インターナショナルな高級住宅街のイメージが強い。有栖川宮記念公園や聖心女子大もある。
、
遠い昔、私が短期間勤めていた広告代理店のあった場所でもある。
懐かしさとあんこセンサーの向かうがままに、猛暑の中、恵比寿駅からブラ歩き。
「菓匠 正庵」(かしょう しょうあん)の和モダンな店構えが視界に入った。
あんこころが引っかかった。
「あんず大福」「水ようかん」などの品書きが見える。
★ゲットしたキラ星
水ようかん(カップ入り)421円
双茶(二層の水菓子) 421円
あんず大福 280円
いちご大福 405円
※すべて税込み価格です。
【センターは?】
水ようかんvsレアなつぶあん双茶
水ようかん:まずは夏限定(今月中旬まで?)の水ようかんの色に目が釘付けになった(写真㊨)。
藤紫色の洗練されたシンプル。透明で大きなカップ入り。
店主はかなりの自信家で、「あんこは直焚きでしょうね」と言うと「当然です」と胸を張った(自然体でいやらしくはない)。
自宅に戻って冷蔵庫で1時間ほど冷やしてから、賞味となった。
〈味わい〉
スプーンで口に入れると、舌ざわり(ビロードのよう)が素晴らしい。
甘さは控えめ。
主役のこしあんと寒天の配合が絶妙で、このシンプルの極め方に店主の和菓子職人としての繊細な技術を感じる。
よく見ると、長方形の笹があしらわれている。
小豆は北海道産で砂糖は「鬼ザラメ」(氷砂糖に次ぐ最高級白ざら糖)で、寒天の存在が背後に隠れている。
あんこの粒子を感じる冷たい美味。ゆっくりと癒しの時間が流れる。
餡ハッピーだよ。
双茶(ふたちゃ):これも大きなカップ入りで、抹茶と煎茶の柔らかな錦玉羹。
抹茶の濃緑色が強めで、藻のようにも見える。
二層になっていて、最下層にはつぶあんの海。
双茶の意味は抹茶と煎茶をブレンドしていることのようだ。
スプーンで掬うと、ぷるるんと揺らぎ、抹茶の苦みが熱い舌に心地よい。
下層のつぶあんが洗練された直焚きつぶあんで、小豆の柔らかな風味が全体をほっこりさせる。冷たいほっこり。
この合わせ技がユニークで、「双茶」という菓銘までユニーク。
わかりにくいが、店主はかなりの凝り性と見た。
●あんヒストリー
創業は1997年(平成9年)。店主は製菓学校には行かず、和菓子屋をいくつか直に修業したそう。あんこづくりは素材選びを含めて独自のこだわりを持っているようだ。「丹波大納言は濃すぎて、私は北海道十勝産を使っていますね」とか。
【サイドは?】
あんず大福:この店の目玉商品がこのあんず大福。
シロップ漬けした干しあんずとつぶあんを杵つき餅で手包みしている。
餅の柔らかさとあんずの酸味、陰の主役柔らかなつぶあんとのバランスがとてもいい。
サイズは直径60ミリ×50ミリほど。
朝生なので、賞味期限が「本日中」。
あんず独特の風味が、大福と合体して、フツーのフルーツ大福とは違う味わいをつくっている。
いちご大福:この時期までいちご大福をつくっているのは珍しい。
いちごは北海道産を使用、この時期のいちごは酸味が強いそう。しかも小ぶり。
つぶあんの甘さを抑えたふくよかなねっとり感が小粒ないちごの酸味と絶妙にコラボしていて、清々しい余韻を舌先に残す。
この時期のいちご大福の味わいはまた格別。
髭が似合う、どこかシェフのような店主の世界観は面白いと思う。
「菓匠 正庵(しょうあん)」
所在地 東京・渋谷区広尾1-9-20
最寄り駅 JR恵比寿駅から歩約10分