週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

「バナナ大福」あんこにしびれる

 

食べる前はフルーツ大福の際物かと思ったが、食べたらあまりの美味さに「ほお~」が連続して出かかったのが、ローカルの和菓子屋さんで出会った「バナナ大福」

 

餅粉がたっぷりかかった搗(つ)きたての餅、あまりにふくよかなつぶあん、それに完熟バナナ。

1∔1∔1=∞ 

 

小豆の粋が舌の先から宇宙にまで広がっていく(そんな比喩を使いたくなる)。

 

あくまで個人的な感想だが、これまで食べた大福類の中でも特筆したくなるレベルの美味さだと思う。

 

凄腕の和菓子職人がいる。

 

それも大都市ではなく、山梨のローカル、韮崎(にらさき)の和菓子屋「うさぎやでのこと。

正直に言うと、たまたま以前、大福類が飛び切り美味い店の存在を耳にして、いつかちょっと覗いてみるか程度だったが、あんこ旅の途中で道草気分で寄り道、午前9時半に到着した(店は9時から)。

 

こんなに早い時間なのに、店の前には車が4~5台止まっていて、3~4人ほど並んでいた。

でもまあこのくらいなら10分も待てば順番が来る、と思いながら店内をのぞくと、さほど広くない店内にも10人ほど並んでいた。びっくり。

 

ひょっとしてあの「うさぎや」の暖簾分け?

 

常連が多いのか、数種類ある大福を10個、20個と買っていく。

 

「予約していた××です」「はい、少々お待ちください」

 

予約客も多いようで、3人の店員さんがテキパキとお客をさばいていた。

 

並んでいるうちにどんどん大福類が売り切れていく。

 

目の前で小さな夢がどんどん消えていく。焦りが出始める。

結局、40分ほど並んでようやく順番が来たと思ったら、残っていた大福類は「バナナ大福」が1個といちご大福5個ほど。大福や草餅は売り切れ。何という事態(悔し涙)。

 

この店がどうやら「朝生菓子」の店だとわかった。

 

仕方なく方針転換。残った生菓子を何とか手に入れることができた。

 

・ゲットしたキラ星

 バナナ大福 1個150円(税別)

 いちご大福 1個180円(同)

 きんつば  1個 80円(同)

 二色だんご 1串 80円(同)

 

【今週のセンター】

期待していなかったバナナ大福の逆転劇

 

運よくバナナ大福は最後の1個。前の人がお赤飯だけ買っていったので首の皮一枚でぎりぎりラッキー。

 

いちご大福も数個ほど残っていたので(それも時間の問題)一緒に食べ比べてみようと思ったのでゲットした。

バナナ大福の大きさは左右60ミリほど。高さはトップで35ミリほど。重さは98グラム。

 

餅粉がたっぷりかかり、見るからに柔らかそう。

それでも自宅に帰って来たのが午後7時過ぎだったので、買ってから9時間以上経過している。

 

「添加物を使っていないので、今日中に召し上がってください」(店のスタッフ)

 

すでに餅は少し固くなりかかっていた。これは本物。

 

包丁で何とか切ると、真ん中に角切りのバナナ。

その周囲を艶やかなつぶあんがたっぷりと包んでいる。

 

この段階では期待もさほどではない。

 

だが、ひと口

 

びっくり。餅の柔らかさと完熟バナナのフルーティーな甘さがぐわんと来た。

そこからさらにつぶあんの大波がキラキラと押し寄せてきた(そんな感じ)。

 

つぶあんの美味さがマックスに近い。

 

渋切りを抑えて、いい小豆の風味を絶妙に残していることがわかる。塩気がほんのり。

 

完熟バナナとあんこの相性がこれほどマッチするとは。

価格設定も大衆的で、コスパの良さ。朝から行列の秘密がわかった気がした。

 

食べる前、バナナ大福を少し軽く見ていたことが悔やまれる(ごめんなさい)。

 

翌日、職業病でつい電話取材したら、小豆は北海道十勝産、砂糖は上白糖を使って毎日銅鍋で炊いているそう。

 

餅も自家製で「もち米は岩手産ヒメノモチです」。柔らかいのにコシがあるのが特徴。

 

店の創業は昭和21年(1946年)。現在3代目。

 

うさぎや」なので、東京の「うさぎや」との関係を尋ねたら、「全然関係ないんですよ」。これもちょっと意外だった。

 

【セカンドはいちご大福】

 

レベルの高いいちご大福で、つぶあんの美味さが絶対的。いちごは少し酸味があり、それがバナナ大福のフルーティーな甘さと対照的だと思う。

いちご大福の名店と比較してもつぶあんの美味さが秀でているので、負けていないレベルだと思う。

 

きんつばと二色だんご】

どちらも1個80円(税別)が信じられないレベルだと思う。きんつばは丸形で、つぶあんの美味さがストレートにわかる。十勝産小豆の炊き方がとてもいい。小豆の皮まで柔らかく、ふっくらと炊かれていて、甘すぎない。塩気が効いていて、ドンピシャ好み。

二色だんごこしあんと抹茶あん。こしあんのしっとり感と抹茶あんの苦み(白あん∔抹茶)が柔らかな米粉餅と協調している。4代目の腕と志が伝わってくる。

 

和菓子は朝作って、その日のうちに食べる。つまり「朝生菓子」が確かに一番うまいかもしれない。

 

うさぎや製菓」

所在地 山梨・韮崎市本町1-11-4

最寄り駅 JR中央本線韮崎駅から歩約8~10分