週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

ウマ🤩スモーク羊羹×スコッチ=ゾーン?

 

宇都宮の老舗和菓子店「高林堂」(こうりんどう)で、クールな和菓子に出会った。

 

ジャンル的には創作ようかんになると思うが、黒いシャレた箱に「燻×羹(くんばいかん)」と凝ったネーミング。そこだけ異質の世界が黒くきらめいているようで、つい引き込まれてしまった。

 

これは何だろう?

「和菓子では非常に稀な『燻(いぶ)す』という製法を・・・」うんぬんと説明書きがしたためてあった。

 

つまりスモークした創作ようかん、ということ? まさか?

1本1156円(税込み)。

 

好奇心がむくむく。

 

和菓子の中で「YOKAN」(横文字で書きたくなる)は新しい可能性とともに、さまざまなチャレンジがなされていることは知っていたが、「燻(いぶ)す」というのはちょっと想定外だった。

 

高林堂は明治18年(1885年)創業、現在3代目。

この3代目が進取の気性に富んだ和菓子職人で、経営難に陥った店を立て直し、栃木の和菓子界をリードしていることもわかった。

 

東京で5年間修業後、実家に戻り、かりんとう饅頭「宮のかりまん」などのヒット商品を生み出し、上生菓子から「あげあんパン」まで、素材にこだわった新しい和菓子づくりにチャレンジしていることもわかった。

 

たまたま店にいらした気さくな2代目女将さんにあれこれ伺う。

 

「燻×羹(くんばいかん)」は3年ほど前に3代目が作り上げたものとか。

 

燻し(スモーク)にはウイスキー樽に使うオークのチップを使用しているようだ。

 

これは家に帰ってから、スコッチとのマリアージュを楽しむっきゃない。

 

以前このブログでもご紹介した「とらや小形羊羹×マッカラン(作家・開高健のユニークな楽しみ方)を超えるか。はたまた討ち死にするか。

 

syukan-anko.hatenablog.jp

 

★今回ゲットしたキラ星

 「燻×羹(くんばいかん)」1本

  税込み1156円

  あげあんパン1個 同270円

  宮のかりまん   同140円

 

【センターは?】

黒糖羊羹とゆず錦玉のスモーク加減に驚く

 

センターには超レアな「燻×羹(くんばいかん)」を選んだ。

 

見た目:黒い厚紙のパッケージを開けると、琥珀の錦玉(上半分)と黒糖羊羹(下半分)が現れた。1本約230グラム。

●あんポイント 「錦玉(きんぎょく)」とは寒天と砂糖を煮詰めて羊羹状に固めたもの。琥珀色(こはくいろ)から様々な色どりまで、和菓子職人の腕の見せ所の一つでもある。

さらに開けていくと、燻(いぶし)の独特の香りがわっと広がった。

スモークサーモンやいぶりがっこと同じ、食欲中枢を刺激する、ある種官能的な匂い。

 

錦玉には柚子(ゆず)が点々と閉じ込められていて、琥珀の化石のように見える。

 

下部の黒糖羊羹からは蜜が滲み出ていて、北海道産小豆と波照間産黒糖の幸せな融合が見て取れた。

これは大人のための創作羊羹・・・あんこころがときめいた。

 

味わい:目で楽しんでから口に運ぶ。スモーク独特の風味とともに、濃厚な黒糖と練り羊羹の柔らかな、凝縮した歯ざわり。広がり。

これはちょっと驚き。

 

そこに錦玉に練り込まれた柚子の香りがバイオリンのように重なる(表現がちょっと陳腐かな?)。柚子は栃木・茂木産を使用、地場を大事にしていることがわかる。

 

くちどけの良さ。

ベースの黒糖羊羹の美味さが舌に残る。

 

用意したスコッチマッカランエスト)をちびり。

合う。数秒間、目を閉じたくなった。

 

マッカランの吹き上がるような風味に負けていない。

以前このブログで試した「とらや小形羊羹」よりもむしろ私の好み。

 

ゾーンに突入した感覚。

 

私にとっては、新たなあんこの世界の発見と言いたくなる(あくまでも個人的な感想です)。ウマ×ウマ=ゾーンって感じ。

 

【サイドは?】

・あげあんパン

・宮のかりまん

 

陳列棚に「あげあんパン」が目立つように置かれていて、店主の「初心忘れず」の心意気を感じた。

コッペパンにあんこを挟み、油で揚げている。

 

あんドーナツの一種だが、パン生地の美味さと自家製あんこの美味さが融合していて、実にいい味わい。

つぶあんこしあん2種類。賞味期限は「本日中」。添加物は使用していず、コッペの小麦粉も地場の「麦のかほり」とスキがない。

 

あんこ(北海道産小豆)炊きの砂糖は白ザラメ、それに塩少々。

 

私がゲットしたのはつぶあんだったが、いい小豆の風味がガブリ寄って来た。

 

「宮のかりまん」はこの店のヒット作で、時間が経過していたせいか、思ったほど黒糖皮がカリカリしていなかった。

中はこしあん

 

バランスのいいかりんとう饅頭で、ちょっとしたおやつにはいいかもしれない。

 

「高林堂(こうりんどう)」

所在地 栃木・宇都宮市馬場通り3-4-18

最寄り駅 JR宇都宮駅から歩約10分