週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

盛岡特別編😎「くるみ羊羹と駄菓子」二刀流①

 

盛岡にはいい和菓子屋が多い。

 

前回の「ふるさとや」は朝ナマのだんご屋さん、今回ご紹介するのはみちのくあんこ旅の中でも予想を超える驚きとなった「関口屋菓子鋪」(せきぐちやかしほ)です。

 

江戸・明治までさかのぼる東北三大駄菓子エリア(盛岡、仙台、会津若松)の中でも、盛岡の「関口屋菓子鋪」は私のあんこハートにぐいっと迫って来た和菓子屋さん。

雑誌やTVやネットで見るよりも、ぜひ生で見ていただきたい、風格のある店構え。

 

一回で終えるのはもったいないので、今回は2回に分けてレポートしたいと思います。

 

まずはその前編。「関口屋菓子鋪」生菓子編です。

 

今回ゲットしたキラ星

 ・くるみようかん 144円(税込み)

 ・黒糖まんじゅう 89円(同)

 ・チョコまん 144円(同)

 

●あんヒストリー

関口屋菓子鋪の創業は明治26年(1893年)。現在4代目。初代は飴屋で大八車売りからスタートしているようだ。寒い風土の中で保存食にもなる駄菓子づくりも始め、先代3代目のときに和菓子屋としてさらに幅を広げ、数々の賞を受賞。手づくりにこだわった盛岡駄菓子と和菓子の二刀流を続けている。4代目女将さんによると、早朝7時から職人さんたちと作業を始め、店を開けるのは午前9時半から。盛岡和菓子文化の奥座敷の一角に立つ。

 

【センターは?】

和くるみの風味が吹く黒糖の生羊羹

 

京都の老舗和菓子屋のような、蔵造りの堂々とした店構え。

 

隅々にまで清楚が行き届いている印象。

余分な飾りがないのが、この店の凄みを静かに醸し出している。

 

見事な木枠の台の上に竹かごが並び、それぞれに盛岡駄菓子が盛られた光景はタイムスリップ感があり、ちょっと感動もの。

だが、手づくり駄菓子だけではないことがすぐにわかる。

 

入り口の「冷蔵ケース」に目が行く。

「くるみようかん」「チョコまん」(チョコレートまんじゅう)、「黒糖まんじゅう」さらにはゼリー類など生菓子たちが私に流し目を送って来た。ぴこぴこ。

 

無添加なので日持ちは2~3日か。

 

なので、ぎりぎり自宅に帰る前日にゲットして、冷蔵庫で少し冷やしてから賞味となった。

センターに選んだのは伝統と新しさを融合した「くるみようかん」。くるみは地場(盛岡産)の希少な和ぐるみを使用している。

見た目:見た目は練り羊羹ではなく黒糖水ようかんに近いと思う。

 

和くるみがボコボコと入っていて、菓子楊枝で切ると、断面から黒い蜜が滲み出るよう。みずみずしい。

味わい:舌に冷たい感触が来た。沖縄産黒糖の風味と和くるみのカリッとした歯ごたえと鮮烈な風味が絶妙にコラボする。こしあんがベースにひそんでいる。ありそうでなかなかないコロンブスの卵的な生の黒糖くるみようかんだと思う。

 

【サイドは?】

黒糖まんじゅう:黒糖まんじゅうはそう珍しくはないが、中のこしあん(自家製)が絶妙な塩気でしっとりとふくよかに口の中に広がる。素朴に美味しい。黒糖皮とこのこしあんの相性がとてもいい。

チョコまん:白あんの焼き菓子をチョコレートでコーティングしたもの。てっぺんに和くるみがちょこんと乗っかっている。見た目は洋菓子で、中が栗まんじゅうのよう。白あんの塩気が効果的。若い人にファンが多いとか。

 

《編集長のつぶやき》

▼本格的な手づくり駄菓子をつくり続ける和菓子屋さんが減っている▼東北三大駄菓子も例外ではない▼会津駄菓子の老舗「長門屋」は中心を上菓子に転じ、すでに駄菓子製造を止めている▼仙台駄菓子の老舗「石橋屋」も先月下旬、138年の歴史にピリオドを打っている▼そうした中で、盛岡駄菓子のこの老舗がバッターボックスに立ち続け、新旧二刀流的なビビッドな立ち位置を守っている▼ここは改めて、敬意を表したい。

 

「関口屋菓子鋪」

所在地 岩手・盛岡神明町2-3

 

※次回特別編②は多分6月11日(日)予定です。