2017-01-01から1年間の記事一覧
草だんごといえば、つい寅さんを連想する。 あんこ好きの悲しいサガ。 映画「男はつらいよ」(山田洋次監督)の舞台、東京・柴又帝釈天の門前には草だんごの店がズラズラーッと並んでいる。 最も古くて有名なのは「高木屋本舗」だが、「何言ってんだい、草だ…
あんこ餅菓子にも出会い系がある。 さよならだけが人生、ではない。 東京・北区の十条銀座商店街をぶら歩きしていると、甘味処「だるまや」が見えた。 入り口にはのり巻きやおいなり、だんご、豆大福などが雑然と置いてあり、下町の餅菓子屋の佇まい。 目が…
あんまり暑いんで、今日は冷たいあんこの話。 小倉アイスの元祖が東京・湯島にある「みつばち」と知っている人は少ない。 明治42年(1909年)創業。もともとは氷あずきが目玉だったが、二代目のとき、冷夏で売れ残ってしまった。もったいないので桶(…
戦国時代にタイムスリップしたくなったら、この和菓子を食べてみてほしい。 幻のあんこ菓子を求めて三千里の旅。 今回ご紹介するのは、にわかには信じがたい、堺の「芥子餅(けしもち)」である。 創業が室町時代・天文元年(1532年)。当代は何と二十代…
コッペパンがブームになっている。 あのアンパンマンの世界でも、仲間外れだったコッペパン。 それがどうして一躍人気者なったのか、不思議だ。 だが、東京周辺で、その火付け役の一つになったのが、東京・亀有「吉田パン」である。 ここの「あんマーガリン…
テレビや食べログなどで高評価を得ているスイーツ店が美味いとは限らない。その逆もある。 話は三年ほど前に遡る。 古都・足利でのこと。鑁阿寺(ばんなじ)の参道近くにある古民家カフェにたまたま立ち寄ってみた。ちょうどティータイム。 「あまから家」と…
この特製きんつばを食べたとき、塩の絶妙さに驚いた。 何という塩加減だろう? きんつばというより、「塩きんつば」と表記した方がいいのでは? 大納言小豆の風味と抑えられた甘さが、その塩加減によって、ステージの前面に押し出されてくるような感じ。塩の…
「地球最後の日」をどのように迎えたいか? SFみたいな話だが、誰しも一度は考えたことがあると思う。 あんこ好き、いや私にとって、答えは決まっている。 「白ワインを飲みながら、あんこの海にぷかぷか浮いていたい」 その甘すぎる妄想を形にしたのが、東…
GW、京都の人気はすさまじい。 日本人はもちろん、外国人観光客のラッシュぶりに、京都の友人などは「もう勘弁してほしいわ。この時期はモグラみたいに地下に潜って、お経でも唱えてるしかあらへんで(笑)」と大いに嘆く。ある意味、こわ~。 で、今回取…
一時、フレンチトーストにハマったことがある。 フレンチトーストは官能的、である。 もとい、官能的なフレンチトースト そう表現した方が正しい、と思う。 酒とバラとスイーツの日々、二、三度ほど、そんな体験をした。 その一つが、東京・池袋「三原堂」の…
たい焼きと今川焼き、どっちが好きか? これはあんこ党にとっては超難問である。 両方好きと言うのが正直な感想だが、たい焼きの方が人気なので、判官びいきとしては、今川焼きと答えておこう。何だかエラそうだが。 たい焼きが明治末あたりの発祥と言われて…
きのうのこと。たまたま銀ブラしてたら、物凄い人出に出くわした。 何だろう? ジャスティン・ビーバーでも来たのか? それとも、宇宙人でも買い物に来たのか? 「GINZA SIX」のグランドオープンだった。 人混みをかき分けて、B2へ。さらに人混み…
この水ようかんを何と表現したらいいんだろう? 見事な小倉色の宇宙に、小豆の粒つぶが星雲状に浮かび上がっている。 一辺が15センチほど。大きな舟型に流し込まれてから冷水で固められた、ほぼ真四角の水ようかんが、細長く五つに切り分けられている。 買…
「幻のあんこ菓子」を探して、三千里の旅へ。 今回は桜が舞う四国に上陸。金刀比羅宮、通称こんぴらさんの門前町で素朴な大福餅に出会ってしまった。 あまりに、あまりに素朴な。繰り返し、そう形容したくなる大福餅。 蔵造りの和菓子屋「浪花堂餅店」。たま…
パン屋×あんこ=あんパン 明治7年(1874年)あんパンが誕生して以降、この長らく君臨してきた数式にバターが加わってきている。名付けてあんバター。これがめっちゃ美味い。 パン屋×あんこ×バター=あんバターコッペ 岩手・盛岡のコッペパン専門店「福…
「づんだ」は和スイーツの新しい流れだと思う。 小豆ではなく、枝豆を搗(つ)いて、そこに砂糖を加えたもの。搗くから転じて「づんだ」と呼ばれるようになったようだ。「ずんだ」とも表記されるが、本来は「づんだ」が正しいと思う。 いわば枝豆のあんこ。…
夢にまで見た、幻のよもぎ餅・・・。 京都に住む友人から、その存在を知ったのは3年ほど前。彼が上京した折に、わざわざ手土産に持ってきてくれた。 賞味期限はその日中ということだったので、夜、みんなで折詰を開けると、瑞々しいあんこで覆われた、見事なよ…
どら焼きの名店「うさぎや」には三系統ある。 初代が大正2年(1913年)に創業した東京・上野、その三男が始めた日本橋、初代の長女が始めた阿佐ヶ谷。 見た目はほとんど同じだが、それぞれ作り方も味わいも微妙に違う。 根っこは同じなのに、それぞれ「…
あんこ界において、あんぱんは特別な存在だと思う。 オーバーではなく、明治維新後の傑作の一つだと思う。 今ではほとんどの人がそんなことは考えないで、普通に食べているが、あんぱんはカツ丼やカレーライスとともに、日本が生んだ食文化における コロンブ…
あんこ好きにとって、東京・神楽坂の甘味処「紀の善(きのぜん)」は欠かせない店の一つ。 甘味屋としての創業は1948年(昭和23年)だが、明治維新後に寿司屋として創業している。幕末には口入れ稼業(今でいうと人材派遣業)をしていたらしい。 神楽…
あんこ好きには、上質のきんつばはミューズ(女神)だと思う。 あんこ界のビヨンセ、と呼びたくなるほど。 日本三大きんつばを挙げろと言われれば、一に東京・浅草の徳太楼、二に大阪・出入橋、三に金沢・中田屋を挙げたい。 江戸時代・安政4年創業の「榮太…
今でこそ煉り羊羹(ねりようかん)といえば、虎屋だが、それは明治以降の話。 虎屋はそれ以前は饅頭(まんじゅう)の方が有名だった。 では煉り羊羹の元祖は? それが驚いたことに、安土桃山時代に行きつく。時は秀吉の時代。 大茶会で使うため関白秀吉が当時…
豆大福好きにとって、京都「出町ふたば」の名代豆餅は避けて通れない。 ここでは豆大福と呼ばず、豆餅と名付けられている。 東京・護国寺の「群林堂」や原宿「瑞穂」を押しのけて、「日本一」の称号を付ける人も多い。 「そんなの、最終的には結局好みの問題…
今さらだが、京都の和スイーツには驚かされることが多い。 烏丸五条にある「今西軒」のおはぎもその一つ。 ある日のこと。東京の有名デパ地下で買った「仙太郎」のおはぎに感動したことを、京都に住む畏友に話したところ、「そりゃ、結構な話やなあ。でもな…
小粋な包みを解いて、浅草「徳太楼」のきんつばを初めて見たときのこと。 それまでのきんつばとは、まるで色味が違うことに、つい見入ってしまった。 きれいな乳白色の皮。それが8個入っていた。 1個135円(税込み、箱代は別料金)。真四角の形で、小ぶ…
「赤福餅」には複雑な思いがある。 大好きだっただけに、愛憎半ばするのだ。 手ごろな価格で、あんなに美味いあんころ餅はあんまりなかった。今でもそう思う。出張の多いカメラマンが関西に行くたびに手土産で買ってきてくれた。 折詰の蓋を取った瞬間のとき…
かつて旧日光街道、日本橋から数えて最初の宿場町だった北千住。 ここに東京でも有数の串だんご屋がある。 ひそかに東京一ではないか、と思っている。築地の茂助ダンゴよりも好み。 こう書くと、そりゃオーバーだよ、という声が聞こえてきそうだが、最初に食…
究極のあんこ、というものは永遠の謎かけだと思う。 とはいえ、それに近いものはきっとある。 「一幸庵」のあんこは多分、その一つだと思う。 東京・小石川にある和菓子の名店。老舗とはいえないが、当主は知る人ぞ知る和菓子職人で、こだわり抜いた生菓子な…
元祖安倍川もちを食べに静岡まで行った。 JR静岡駅で降り、そこからバス。安倍川沿いにその店はあった。 そこだけ江戸時代。東海道五十三次の世界。弥次喜多がぬっと出てきそうな気配。 「元祖安倍川もち 石部屋(せきべや)」と染め抜かれた茶色の暖簾が下…
和スイーツ界の頂点に位置するのが京都であることに異論はない。 いい店が多すぎる。 今回ご紹介するのは、北野天満宮前の「粟餅所 澤屋(あわもちどころ さわや)」。 創業は江戸時代前期の天和2年(1682年)だが、もっと以前から粟餅は北野名物だった…