驚き、と表現するほかない路地裏のいぶし銀和菓子屋さんの暖簾をくぐった。
百の言葉よりも、まずは季節の上生菓子たちをご覧いただきたい。

前職の活字メディアにいたときから、人形町は大好きな街で、夜も昼も居酒屋、料理屋、洋食屋、喫茶店、和菓子屋・・・と随分ブラ歩きした。
このブログを書くようになってからは和菓子屋中心に変化したが、人形町の主な店は大体食べつくした、と思っていたが、大間違いだった。
思い込みに付ける薬はない。
「御菓子司 東海」を見落としていたとは。

このあたりは何度も通ったはずなのに。
路地裏に昭和のセピア色の小さな店構え。
どこか京都の渋い和菓子屋さんのような。

タイムスリップ感。
隅々まで磨かれた、神経の行き届いた小世界。
肩に力が入りすぎだ。ここはゆっくり行きたい。
★ゲットしたキラ星
水羊羹 250円
きみしぐれ 250円
うぐいす 250円
羽二重もち250円
※すべて税込みです。

【センターは】
水羊羹:猛暑も消えるみずみずしさ
正直言うとゲットしたすべてが予想を超えるレベルで、何をセンターに持ってくるか迷った。


水羊羹を持って来たのは、あまりの暑さにあん心がよろめいたから、というしかない。
かまぼこ型の水羊羹のみずみずしさ。
蜜の滴りとテカリ。
ひと目で「本物」と実感。
〈味わい〉冷蔵庫でじっくり冷してからいただく。

こしあんの粒子を感じる舌触り。

寒天が主役のあんこを邪魔しない、ほんのり塩気も感じる。
桜葉(?)にも手抜きがない。
極上の水羊羹、だと感服してしまった。
【セカンドは】
羽二重もち:淡い桜色の餅の柔らかさ、表面の餅粉。うっすらと中のあんこが透けて見える。たまらない。

中はふっくら炊かれたつぶあん。
ボリューミー。

餅の柔らかさと伸び。甘さ控えめなつぶあんの上質。
シンプルだが深い。何というきれいな味わい、と店主の腕に舌を巻きたくなった。
うぐいす:青きな粉のうぐいす餅。中は塩気やや強めなこしあんだが、ほどよい甘さが来た。

サイズは約55ミリ×40ミリほど。
求肥餅なので、実に柔らかい。

この時期にもうぐいす餅をつくっているのもすごい。
きみしぐれ:店主の手を感じる淡いきみしぐれで、ふわりと仕上がっている。

黄身あんがほどよい甘さで、蒸し方まで上品。
派手さよりも実質と言いたくなる上生菓子だと思う。

口に入れてひと噛みしただけで、卵の黄身の鮮度が来る。
甘さを抑えた白あんとのマリアージュがとてもいい。
「いい店は隠れている」と改めて思い知らされた。
私にとっては温故知新、いやあんこ知新のたまらない時間。
●あんヒストリー
▼人形町のこの場所に店を出したのは昭和28年(1953年)。▼現在2代目。ご高齢だが、今も現役バリバリの和菓子職人。▼仕事の最中だったのでお話は少ししか聞けなかったが、素材選びから製法まで一人でおやりになっているようだ▼初代のときに伊豆修善寺で暖簾を下げていた時期もあるとか。▼店名の「東海」はそこから来ているようだ。▼すごい店に出会ってしまった。
「御菓子司 東海」
所在地 東京・人形町1-16-12
※今回は一回では収まらないので、日曜増刊号(14日発行)で、半生焼き菓子と栗きんとん最中を取り上げる予定です。これも私にとっては特別な出会いでした。
