週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

超絶よもぎ餅😎郡上八幡の驚き

 

あんこの神様が頭上に降りてきて、岐阜方面を指さした(まさか?)。

 

行くっきゃない。

「水とおどりの町」郡上市に宿を取り、夕暮れ前の中心部をそぞろ歩く。街並みがいい。

 

木造の郡上八幡城を頂く魅力的な城下町で、名水百選第1号「宗祇水(そうぎすい)」でも知られる隠れたあんこスポットでは?という見立て。

 

意外に苦戦したが、灯台下暗し、宿のすぐ近くによさげな和菓子屋さんが鈍く光っていた。

私好みの古い町家づくり。「金華堂(きんかどう)」の看板が歴史を感じさせ、手書きのメニューボードによもぎ餅」、「肉桂餅(ニッキもち)」、「黒豆大福」、「いちご大福」などの文字。

あんこセンサーがぐいと反応した。むふむふ笑みが出る。

 

★今回ゲットしたキラ星

 よもぎ餅 100円

 肉桂餅  100円

 黒豆大福 100円

 青梅   180円

 どら焼き 150円

  ※すべて税込み価格です。

 

【センターは?】

よもぎ餅:餅の柔らかさに混乱する

 

この店のポリシーだろう、注文を受けてからつくり始めるという究極の朝生で、吉田川を見下ろすレトロな旅館でじっくり味わうことにした。

 

「本日中にお召し上がりください」という店主(3代目女将さん)の言葉通りの、恐るべき柔らかさ。

大きさはかなりの小ぶりで、サイズ的には左右45ミリほど。

 

自然な美しいよもぎ(地場のよもぎを使用)の表面には餅粉が夢のようにかかっている。

 

搗(つ)きたての餅で、菓子皿に移行しようとすると、あまりの柔らかさで、プラスチックの容器から離れない。

何とか剥がすようにして、菓子皿に移すと、今度は指先にくっついて離れない。

 

格闘しながら、包丁で切ろうとすると、これまたひと苦労。よもぎの香りが容赦なく鼻腔に来る。たまらない快感。

 

〈いざ実食〉 中は素朴なつぶしあん(むろん自家製)がたっぷり。北海道産小豆×白ざら糖で、じっくりと炊いていることがわかる。

 

甘さが控えめ。

ほんのりと塩気も感じる。

 

郡上八幡でこのような質の高い餅菓子と出会えるとは、正直期待以上だった。

じんわりとドーパミンのさざ波が寄せてくる、のがわかった。

 

小さな、素朴な洗練。

 

あえて言わせてもらうと、撮影のためにはほんの気持ち固めの方が扱いやすい(身勝手な話です)。

 

だが、そんな気持ちなどこのよもぎ餅の前では通用しない。

 

【サイドは?】

肉桂餅:大きさはよもぎ餅とほぼ同じ。小ぶり。

 

これも餅のあまりの柔らかさに苦労した。



その分、味わいは倍増する。

 

ニッキ(シナモン)の香りが舌から鼻へと抜けていく。さわやか。

 

中はしっとりしたこしあん。このこしあんも自家製。

求肥ではなく、注文を受けてから杵づき餅でつくり続けるのはそうそうできることではない。

 

肉桂餅とこしあんの相性がとてもいい。

 

黒豆大福:赤えんどう豆ではなく黒豆を使用していて、それが柔らかな餅にボコボコ練り込まれている。いい景色。

 

あんこはよもぎ餅と同じつぶあん

黒豆にほんのりと塩気があり、その風味がやや強めに出てくる。

 

素朴で上質。

 

3代目店主(女将さん)のこだわりは先代から受け継がれているようだ。

 

伝統のリレーに敬意を表したい。

 

青梅:これは上生菓子(こなし)だと思う。青梅の爽やかな色と形。

 

中は黄身しぐれだが、中心部には紫蘇餡がひそんでいた。

凝り方がすごいね。

 

赤紫蘇の酸味と吹き上がる香り、それに黄身しぐれが、こなしのムニュリとした歯触りとともに押し寄せてくる。ため息をつきたくなる味わい。

 

赤紫蘇を効果的に使った逸品だと思う。

 

どら焼き:サイズは直径80ミリほど。やや濃いめの焼き色で、渦巻きの焼き印が魅力的である。

 

中はつぶあん求肥

店に入った時、ちょうど出来上がったばかりで、この店のもう一つの人気商品とわかった。

 

こちらのあんこにはラニュー糖を使っている。

 

3代目女将さんのこだわり方、半端ではない。

フツーに美味いどら焼きで、手焼きのどら皮は薄めでもっちり、口に入れたとたん新鮮な卵の香りが来る。

 

つぶあんは甘さを抑えていて、柔らかく炊かれている。求肥餅がいい相の手となっていて、食べながらどんどん唾液が出てくるのがわかった。

こんなにこだわりの強い和菓子屋さん郡上八幡にフツーに存在すること、だからあんこ旅は止められない。

 

●あんヒストリー

店の創業ははっきりとはわからないそう。老舗の和菓子屋さんにはよくあることだが、「祖父の代から私で3代目。なので、百年くらい行ってると思います」とか。初代(祖父)は東京で和菓子屋の丁稚奉公をしていたが、関東大震災で、故郷の郡上に戻ってきて、和菓子屋を始めたそう。3代目は和菓子職人としての修業は2代目の父からの直伝のようで、それにプラスして独自の生菓子をつくっている。名水百選の地はいい和菓子職人も確かに生んでいる。

 

「金華堂」

所在地 岐阜・郡上市八幡町殿町170