週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

パワースポットの饅頭「茶白桜3種」

 

編集長「東京も緊急事態宣言下に入り、困ったよ。高尾山の絶品饅頭を取り上げづらくなった。あの有喜堂本店(ゆうきどうほんてん)のまんじゅうだよ」

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あん子「大丈夫よ。だって宣言前に行ったんでしょ? 第一、あんこには厄除けの意味があるのよ。しかもパワースポットのまんじゅう。ここで書かなきゃ、いつ書くの? もォ~私が怒るわよ」

 

編集長「わかった、わかった。テイクアウトにしようかと思ったら、甘味処もやっていて、ちょうど蒸かしていた。饅頭は何といっても蒸かし立てが一番。即決、そこでコーヒーを飲みながら3種類の饅頭を堪能したよ」

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あん子「抹茶もいいけどコーヒーも意外に合うのよね。で、どうだったのよ。饅頭にもうるさい編集長さん」

 

編集長「茶(つぶあん)、白(こしあん)、それに桜の薯蕷(じょうよ=こしあん)を食べたけど、いわゆる観光スポットのレベルを超えてたね。こしあんも含めてあんこはすべて自家製というのが好感。一時的に製餡所の生餡を使っていたこともあるらしいけど、初心に帰って、昔のように職人の手作業に切り替えた。それが食べるとよくわかる」

 

あん子「ん、もう! 早くレポートしてよ」

 

編集長「落語じゃないけど、饅頭より怖い(笑)。どっちが編集長かわからない」

 

 

【今週のメーン】

有喜堂甘味処「桜上用まんじゅう」

 

桜は散っても桜まんじゅうは美味い。

 

有喜堂本店は高尾山が人気スポットになる前から「高尾山御用達」として、薬王院有喜寺との縁が深い。

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「有喜堂」という屋号も明治期に薬王院から下賜されたもの。現在は5代目となる。

 

今回はコーヒーとセット(税込み 500円)でいただいたが、木造の建物の中で食べると、いい空気感が味わいを深めてくれるよう。体の中に神気が入ってくる気がする(まさか、ね)。

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メニューには「上用まんじゅう」と書かれているが、正しくは「薯蕷(じょうよ)まんじゅう」だと思う。饅頭の中でも「上用」、つまり素材も作り方もひと手間以上かけている上級な饅頭。

 

皮は小麦粉ではなく米粉を使用、つなぎに大和芋を混ぜている。茶席などに使うことも多く、京都でも上生菓子のまんじゅうと言えば織部饅頭」をはじめ、こうした薯蕷饅頭を指すことが多い。

 

さて、有喜堂の「桜薯蕷まんじゅう」

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塩漬けの桜がちょこんと乗って、真っ白い薯蕷皮は噛んだ瞬間、もっちり感とみずみずしさが口いっぱいに広がる。この感触が上用。

 

中はこしあん藤色の上質なこしあんで、絶妙な甘さの奥にほんのりと塩気もあり、北海道十勝産小豆の粋を凝縮しているような、雑味のない味わい

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餡作りの砂糖はラニュー糖を使用しているようだ。

 

ほんのりとした塩気は塩漬けの桜から来ている。

 

その桜の香りも味わいに彩りを加えている。

 

目と舌と鼻の至福。

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おいしおすなあ。

 

なぜか、つい京都弁でそう表現したくなる。

 

この一品で有喜堂の和菓子職人の腕が確かだとわかる。

 

コーヒーもドリップ式で焙煎のいい香りと合う。

 

 

【今週のサブメーン】

 

「高尾まんじゅう」茶(つぶあん)vs白(こしあん

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有喜堂の目玉はこの高尾まんじゅう。2種類あり、皮に黒糖を使った茶まんじゅうは中が粒あん。小麦粉のままの白まんじゅうはこしあん

 

これを追加する。1個税込み120円。

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本音で言うと、上質な薯蕷まんじゅうよりこちらの庶民的な高尾まんじゅうの方がやや好みかな。

 

とにかくあんこが美味い。

 

ふんわりとした皮とたっぷり詰まったあんこが絶妙。

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甘さもほどよく、口の中でのあんこの広がり方がいい饅頭のもの。

 

粒あんはなめらかで素朴な美味さ。小豆の皮まで柔らかく炊かれている。

 

こりゃうめえ

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こちらは京都弁ではなく江戸弁でつぶやきたくなる。

 

こしあんはみずみずしい。

 

緊急事態宣言直前のパワースポットでひそかに味わう饅頭3種。

 

神様、仏様、あんこ様・・・やっぱりあんこ旅は止められない。

 

所在地 東京・八王子市高尾町2302

最寄駅 京王線高尾山口から歩約5分

 

 

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京風炙りだんご&甘夏どら焼き

 

編集長「熊谷で面白い店見つけたよ。京都で11年間修業してから、ふるさとの熊谷で和菓子屋さんを始めたそうだよ。シンプルな店構えで、中に入ったら、きれいな和菓子が並んでた。小ぶりなどら焼きから上生菓子まで。じっくり見たら、一つひとつがすごいんだ。豆大福は売り切れてたけどね」

 

あん子コロナで京都に行けないストレスが吹っ飛んだってわけね。でも本場の京都で11年はすごいわねえ。編集長だったらひと月も持たない(笑)」

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編集長「多分1日で天国行きだ。店内に小さなテーブル席があったので『ここで食べれますか?』と聞いたら『どうぞ』と言うので、看板の一つでもある炙りだんごと上生菓子(薯蕷きんとん)を食べたよ。さり気なくお茶をサービスしてくれてね、いい時間だった。まさか熊谷でこういう店に出会えるとは」

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あん子「ふん、よかったわね。でも熊谷に失礼よ・・・で、お味はどうだったのよ。早く言ってよ」

 

編集長「京都の粋(すい)を感じた。頭の中で蝶々が飛んだよ。上生菓子のレベルは北関東ではあまりお目に掛かれないレベル(失礼)。へえ~となったのは炙りだんご。珍しい松葉竹串の炙りだんごで、5種類あるうち、こしあんと京風白みそだれ、それに黒ゴマだれを食べた。目、鼻、舌・・・五感で堪能できたよ。小ぶりだけど繊細、京都のはんなりが見事に詰まってた。店主の腕がわかった」

 

あん子「関東で松葉竹串の炙りだんごなんて、聞いたことないわ。フツーの一本竹串とは違うんでしょ? で今週のメーンはそれ?」

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編集長「写真で判断してほしい。本音で言うと迷った。その他にも上質を感じさせる和菓子が並んでいたからね。ていねいな餡作り、アイデア力、地元愛・・・アラ探ししたけど欠点が見当たらない。ま、あえて言うと、全体的に商品が小ぶりなことくらいかな」

 

あん子「それだって京都の粋でしょ? 編集長みたいなガサツなお方にはわからないかもね(笑)。内容に比べて値段もリーズナブルだし、ある意味、熊谷を舞台にすごいチャレンジをしてる和菓子屋さん、と言えなくもない」

 

編集長「エラソーに(笑)。そのひと言で本日のラインアップが決まった。では、しゃなりと行ってみよう」

 

【今週のメーン】

「和菓子処 かんだ和彩」

京わらびvs甘夏どら焼き

 

この店の実力を計るにはこの2品を取り上げるのがわかりやすいと思う。

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「京わらび」(税別 180円)は本わらび粉の練り方がひと味違った。「絹練り」と冠を付けているだけあって、糸を引くようなねっとり感が上質。中のこしあんはなめらかでみずみずしい。青紫色の、いいあんこの粒子が脳内できらめくよう。

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ほどよい甘さ。舌の上でスーッととろける感覚は本場の京都を感じさせる。11年の修業はダテではないことがわかる。

 

「甘夏どら焼き」(同 160円)は粒あんと甘夏のピールを挟み、一見ミスマッチかも、と思ったが、これが絶妙にマッチングしていた。

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つややかな粒あんはふくよかな、噛んだ瞬間、そよ風が吹き上がるような、いい小豆の風味が閉じ込められていた。京都の、塩気を感じさせない、雑味のない甘さ。

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それが甘夏のピールと愛し合い、1+1=3の世界を現出させている。

 

粒あんほのかな苦みがこんなに合うとは。

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大きさは日本橋うさぎやなどより一回り以上小さい。手のひらに載るほどのサイズ。

 

1枚1枚手焼きしているのがわかる、香ばしさとしっとりした歯ごたえ。ムラのない焼き色。

 

私の大好きな京都・松原通「松壽軒」の「みかさ」を思い出した。

 

小麦粉は評価の高い熊谷産あやひかりを使っているのも好感。

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あんこの基本、小豆は北海道産。砂糖はグラニュー糖。和菓子の種類によって素材も炊き方も変えているようだ。いい店の条件の一つ。

 

上生菓子と創作どら焼き。

 

ここにもあんこの神様に魅入られた、凄腕の和菓子職人がいる、と実感した。

 

あっ、忘れていた。この「かんだ和彩」の由来が泣かせる。父母の代まで熊谷で代々続く和服の仕立て屋だった。「神田和裁」の屋号をほとんどそのまま引き継いでいる。仕立て屋を継がなかったことが店名を残した理由のようだ。

 

和菓子の専門学校を卒業後、千葉・船橋の「菓匠 白妙」で5年間修業、そこから京都「京菓匠 游月(ゆうづき)」に移り、そこでさらに11年間、腕を磨いた後、故郷の熊谷に戻り、2015年11月にこの地でオープンしている。

 

【今週のサブメーン】

炙りだんご3種こしあん、京風白みそ、黒ゴマ)

 

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松葉の竹串を使った炙りだんごは関東では珍しい。最初見たとき、京都・今宮神社門前の炙り餅を連想してしまった。

 

あちらは1000年ほどの歴史があり、白みそ1種類だけだが、こちらは平成⇒令和で5年ほどの歴史。しかも種類は5種類ほど。歴史の点と線が面白い。

 

今回食べたのはこしあん(1串 税込み90円)、京風白みそ(同 90円)、黒ゴマ(同 100円)の3種類。

 

二股の細い竹串に5個の小さな炙りだんごが刺さり、そこにこしあん、京風白みそ、頃ゴマがそれぞれほどよくたっぷり乗っている。

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こしあんはなめらかな自家製で、きれいな余韻が広がる。なによりもだんごが美味。手焼きの加減、しかも餅粉のように柔らかい。米粉に餅粉を加えているかもしれない。

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京風白みそは上品な甘辛具合が舌をリセットさせてくれる。

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黒ゴマはごまの風味が濃厚。黒ゴマ好きにはたまらない味わい。

 

京都の粋(すい)が熊谷と言う関東の気風に根付くか、注目したい。江戸時代、京からの下りものが和菓子屋番付の上位に並んでいたことを思うと、令和のこの時代に、新しい番付表ができてもおかしくはない。

 

京都✖熊谷、つまり京熊の新しい和菓子の世界に注目したい。

 

●所在地

「和菓子処 かんだ和彩」 埼玉・熊谷市鎌倉町2 星渓園そば

 

 

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究極か?奥秩父「幻の草もち」

 

編集長「今日はうれしいよ。奥秩父で見つけたとんでもない草餅を紹介できる」

 

あん子「また編集長のオーバー癖が始まった。過剰も過ぎると誰も相手にしなくなるわよ。と言いたいところだけど、今回はホントだった(笑)。私も驚いたから」

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編集長「おばあちゃんがやってる昭和レトロな店で、食べる前は田舎の素朴な草餅だとまあ、軽く考えてた。あんこも渋切りをほとんどしない、野暮ったい粒あんだろうな、と思ってた。ところがどっこい・・・

 

あん子「ああ、じれったい。早く次行きましょ。草餅大好きの変なヘン集長の食レポ、聞いてあげるわよ」 

 

編集長「編の字が違うよ(汗)。今回はそのメーンともう一軒、小鹿野町の別の店の草餅(粒あんこしあん)も取り上げ、秩父の草餅対決にしたい。着地が決まったね」

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あん子「対決好きに付ける薬はないわ。和菓子って対決するもんじゃないのに・・・困ったクセねえ」

 

【今週のメーン】

幻級の草餅、柴崎製菓「草もち」

 

この草餅の存在を知ったのは5年ほど前。知人からの情報。添加物はゼロ、「すべて早朝の手作りで、作る数が限られているので、朝並べるとすぐに売り切れてしまう。幻の草餅って呼ぶ人もいる」というものだった。

 

何とか電話がつながり、今回、ようやくゲットすることができた。田舎のおばあちゃんが作る草餅。食べなくても想像がつく。まあ気が向いたら食べに行こう・・・本音で言うと、かなり遠いので、半分忘れかけていた。

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「天空の神社」三峯神社に行く用があり、なかなかつながらず、3度ほど電話してようやく予約、期待半分でご対面となった。コロナの影響で客足が落ちているのもラッキーだった(?)。

 

「草もち」のノボリがひるがえり、かなりご高齢の女将さんが一人。少し前までは栃餅なども売っていたが、他のものは止め、現在は「草もち」一本勝負とか。

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店内は暗めで、写真撮影は「汚いから」とダメ出しを食らってしまった(遠慮深いが、当然とも言える)。

 

「風邪が流行ってからはお客が減った」

 

とボヤキ節も出たが、創業年などは「昔からやってる」とだけで、教えてくれなかったが、「柴崎製菓」の店名でわかるように、元々はフツーの和菓子屋さんだったようだ。「風邪」がコロナのことだとわかるまで少し時間がかかった。

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「今日中に早めに食べてくださいよ。すぐ固くなるから」

 

賞味期限は本日中。1パック(6個、税込み600円)を買い求め、夕方自宅に戻ってから、いよいよもぐもぐタイムとなった。

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餅粉がかかったお姿はよもぎの色がきれい。重さは手作り感がマックスで、一個ずつ微妙に違う。58グラムから62グラム。

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搗(つ)き立てから約6時間後、手に持つと餅の柔らかい感触がしっくり来た。意外だが、よく見ると、よもぎの鮮度が繊細で美しい。

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中の粒あんがこれまでの想像を超えていた。透明感のある藤色の小倉あん。小豆の形はしっかり見えるのに、羽毛のように柔らかい。

 

しっとりととろみのあるあんこで、小豆の中の呉(中身)の白い透明感が砂糖の愛で、くねくねと身をよじらせているような(表現がヘンかな?)。ありそうであまりないあんこだと思う。それがたっぷり。

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よもぎ餅は表面がほんの少し固くなりつつあったが、羽二重餅のように柔らかい。

 

最初のひと口でやられてしまった。

 

あんこの塩気がストレートに来た。いやな塩気ではない。きれいな、あまりにきれいな塩気。

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すぐ後から、とろみのある粒あんが口中に放射状に広がるのがわかった。

 

えー。

 

うまく表現できないほどの、質の高い、素朴とはほど遠い、むしろ特別な洗練を感じる粒あん。繊細な柔らかさ。

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甘さも絶妙にほどよい。このあんこの美味さ、京都の上生菓子屋の粒あんを思い出したほど。

 

これは別格の草餅だと思う。

 

秩父にこんな草餅が隠れていたなんて(別に隠れていたわけではない)。

 

これまで食べた草餅の中では浅草・向島の「志”まん草餅」に匹敵する抜けるような味わいだと思った。幸せあんこ。好みの問題だが、あるいはあんこはこちらの方がゼロコンマですごいかも(体調の関係かも)。

 

断片的に取材したこと。

 

小豆は北海道十勝産。砂糖はグラニュー糖。完全自家製。よもぎはひょっとして手摘みかと思ったが「体がもたないよ」でどうやら問屋さんから仕入れているようだ。餅も自家製。

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おばあちゃん女将にまさかお一人で作っている?と聞いたら、「この年じゃ無理だよ」で、何人か(ご家族?)で手作業しているようだ。一個一個大きさが微妙に違うのもこれで納得。

 

それにしても凄い草餅で、事前の田舎⇒素朴⇒それなり、の図式が狂った。脱帽いたします。

 

【今週のサブメーン】

「和菓子 かのうや」の草もち

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小鹿野町で戦後創業。現在2代目。饅頭から大福、練り羊羹まで幅広いラインアップ。草餅は粒あん」と「こしあん。どちらも税込み110円。

 

柴崎製菓の草もちよりも平たく大きい。重さも87グラムほど。

 

きな粉がかかっているのが特徴。

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粒あんよりもこしあんの方が個人的には美味かった。こちらもあんこは自家製で、北海道産小豆と上白糖、塩で素朴にまとめている。

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編集長「柴崎製菓が凄すぎて、比べるのが違う気がする。こちらもフツーに美味い。特にこしあんはしっとり感といい、ふくよかさといい上質だな」

 

あん子「柴崎製菓の草もちはひと味違うのは確かね。塩草もち、と言いたいくらい塩気が強いけど、なんて表現したらいいのか、雑味がない、ピュアな美味さ。編集長も最初は小バカにしてたけど、食べたら、目がまん丸になってたわよ(笑)」

 

編集長「小バカにはしてないよ。でもまあ、今回は秩父の和菓子の底力を感じたなあ。かのうやもいいレベルだと思うよ。今回の教訓。思い込みは世界を見間違える」

 

あん子「ダメね、思い込みが強すぎるのよ。ようやく自分の欠点を理解したのね」

 

編集長「編集長を交代したくなってきた・・・」

 

●所在地 

「柴崎製菓」 埼玉・秩父市荒川白久1567-1

「和菓子 かのうや」 秩父郡小鹿野町小鹿野404-11

 

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超絶いちご大福「粒あんvs白あん」

 

編集長「フルーツ大福がすごいことになってるね」

 

あん子「何をいまさらって感じ。大阪の話でしょ?」

 

編集長「知ってた? 堺の一心堂

 

あん子「情報が遅すぎる。季節限定も入れて、この時期は10~14種類よ。マンゴーからマスクメロン、スイカまであるわよ」

 

編集長「クール便で届いて、届いたその日が賞味期限というのもちょっと驚いた」

 

あん子「かったるい。話をすすめましょ。お取り寄せしたんでしょ?」

 

編集長「はい・・・遅まきながら(汗)」

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【今週のメーン】

 完熟いちご大福粒あんvs白あん

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1980年代にすい星のごとく登場した「いちご大福」は今では置かない和菓子屋さんを探すのが難しいくらい。

 

大阪・堺に本店がある「一心堂」のいちご大福はミルクあんも含めると3種類ある。

 

元々は昭和30年(1955年)創業の町の和菓子屋さんだったが、京都で修業した2代目が継いでから、フルーツ大福をメーンに押し出し、阪急うめだ、あべのハルカス近鉄、神戸阪急に支店を出すほどの人気となっている。メディアで取り上げられることも多い。

 

ホントなら全種類お取り寄せしたいが、フトコロ事情とイブクロ事情でどうしようかと迷っていたところに4種類のお取り寄せの存在を知り、注文した。

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4種類は「完熟いちご大福」が2種類。白あんと粒あん。それにパイナップル大福とモンブラン大福。宅急便で届いたら、その日のうちに食べなければならない。

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編集長「やっぱり主役はいちご大福だね。紙箱を開けた瞬間、パステルカラーが4種類。くすぐり方が上手い。いちご大福は朝摘みしたという完熟いちご、本店に直撃したら、この時期はあまおうを使ってます、とか」

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あん子「話が長~い。私が気に入ったのは白あん(右)。北海道産手亡(てぼう)のこしあんで、手にくっつくほどの柔らかな求肥餅、糖度の高いあまおうとのマッチングがばっちし。粒あんもいいけど、余韻のきれいさとみずみずしさが抜けてる」

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編集長「フツーなら粒あん好きのわたくしも四分六分で賛成かな。粒あん丹波大納言を使ってるようだけど、この組み合わせだと北海道の手亡に軍配てとこだね。単に好みの問題だけど」

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あん子「餡作りに使う砂糖はどうなってるの? ちゃんと取材したんでしょ?」

 

編集長「どっちが編集長かわからなくなってきたよ。もちろんだよ。基本はラニュー糖で、それに商品によって数種類使い分けてるとか。餡の甘さがきれいなのはそのせいだよ。ついでに初心を忘れない、フルーツ大福も手包みで、職人気質が生きてるのも評価できるね」

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あん子「価格は安くないけど、フツーなら店に行かないと買えない生菓子を冷凍でお取り寄せできるようにしたこともそれなりに評価できるわね」

 

編集長「エラソーに(笑)。税込みだと1個400円近くなるのはビンボー編集長にはつらい。今回は楽天でお取り寄せしたけど、計算してみたら、そう安くはないかな」

 

あん子「天にも昇るほどうめえーって叫んでたくせに。ぼやかないぼやかない」

 

編集長「名ばかりとはいえ、編集長はつらいよ(ウソです)」

 

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【今週のサブメーン】

 

パイナップル大福。いちご大福よりも一回りデカい。重量は約110グラム。こちらも白あん。パイナップルはフィリピン産のハニーだそうで、ごろっと入っている。みずみずしく甘い。個人的にはパイナップルの存在が目立ち過ぎで、白あんが隠れてしまっているのが少し残念。

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モンブラン大福。渋皮ごと蜜煮した国産栗が丸ごと一個入っていて、その周りを栗あんと生クリームが薄く包んでいる。栗好きにはたまらないが、フルーツ大福の中では地味すぎる。それが長所かもしれないが。

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一心堂本店 大阪・堺市東区日置荘原寺町19-7

 

●今回のお取り寄せ

 

フルーツ大福4種お試しセット(楽天から)

 合計2500円(消費税、送料込み)

 

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トリュフ?絶品「こしあんわらび餅」

 

歴史のある町にはいい和菓子屋が多い。

 

古河公方で知られる、茨城・古河で出会ったのが、「御菓子司 はつせ」の「わらび餅」こしあん入り)だった。

 

まずその色に心がときめいた。

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きな粉がかかっているのが定番だが、ここのは少し違った。

 

これってチョコレートトリュフではないか?

 

そう錯覚しそうな、濃い焦がしきな粉がたっぷりかかっていた。

 

「珍しいですね」

 

感じのいい女性スタッフに言うと、「よく言われます」とほほ笑んだ。

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一箱10個入りが置かれていたが、「1個からでも大丈夫ですよ」。

 

ここが日本の和菓子屋さんのいいところで、京都の老舗でも同じ対応をしてくれることが多い。敷居が高くない。

 

添加物ゼロなので、日持ちしない

 

まずは6個(税別120円×6)をゲット。

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花桃と桜が満開だった古河総合公園帰りだったこともあり、わらび餅の隣に可憐に咲いていた(残り1個だった)「桜まんじゅう」(税別130円)、それにこの店の目玉でもある「しら玉」(同75円×2)、大納言小豆の「さざれ石」(同130円)も買い求めた。

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台湾帰りの友人からもらった「凍頂ウーロン茶」で賞味することにした。このマッチングは悪くない、と思う。

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焦がしきな粉がたっぷりかかったわらび餅は、フツーのきな粉よりも香ばしさが口の中で立ってくる。ホントです。

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本わらび粉を使ったわらび餅の質の高さと、中のこしあんの美味さが半端ではない。ぷるるん感とみずみずしいこしあん

 

北海道十勝産小豆のそよ風に舌がしびれる。

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こしあんも自家製。

 

濃い藤色のなめらかな、上質のこしあん

 

ほどよい甘さと口どけの素晴らしさ

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焦がしきな粉の風味がしばらくの間、口内にとどまる。

 

これはたまらん、たまらんのう・・・そうつぶやきたくなる。

 

店の創業は昭和33年(1958年)で、現在2代目。

 

食べ終えてから気になって、追加取材すると、2代目は東京・赤坂の御菓子司「塩野」で修業したお方だった。

 

レベルの高さになるほど、と納得。

 

高ビーでないことも好感。

 

古河公方は鎌倉から来たが、ここは赤坂経由で来た、ということになる。

 

ちなみに以前私が感動した群馬・桐生の「御菓子司 あら木」の店主も「塩野」の出だった。塩野、恐るべし。

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残り一個となっていた「桜まんじゅう」は皮につくね芋を使った薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)で、中はきれいなこしあん

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皮の清涼感といい、こしあんの口どけといい、文句のつけようがない。

 

塩漬けした桜の花びらの香りが余韻を彩る。

 

「しら玉」はウズラの卵大の小ぶりで、外側をホワイトチョコレートのようなミルクでコーティング、中のあんこは白あんに黄身を練り込んだような、洋菓子の要素も取り入れた逸品だと思う。

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口に入れたとたん、スーッと溶けていく感覚にちょっと驚く。クリーミーさ、マックスだよ。

 

大納言小豆の「さざれ石」も表面の糖化したじゃりじゃり感がイケた。

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改めてあんこの神様にかしわ手・・・だからあんこ旅はやめられない。

 

所在地 茨城・古河市横山町1-14-12

最寄駅 JR宇都宮線古河駅から歩約6分

 

 

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京都と江戸の遺伝子、大納言小豆のロール

 

あんこ好きにはたまらない逸品と鉄道ファンのメッカ、栃木・真岡(もおか)で出会った。「めっけ!」の気分。

 

これだからあんこ旅は止められない。

 

ぜいたくな丹波大納言をじっくりとブレンドした小倉あんこしあんの時雨(しぐれ)で渦巻き状に巻いたもの。

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菓名は「真岡しぐれ」、1本1520円(税込み)。

 

タネを明かせば、私がずっと追っている江戸幕府の終えんとともに暖簾をたたんだ御菓子司の一つ「紅谷志津摩(べにやしづま)」の流れを汲むかもしれない和菓子屋「紅谷三宅」を訪ねたときに偶然見つけたもの。

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いちご大福や草餅、かわいい動物の煉り切りが目玉の和菓子屋さんで、地元では有名な店だった。

 

正午過ぎに着いて、店内をのぞいてみたら、いちご大福はきれいに売り切れていた。和菓子だけでなく洋菓子も並んでいた。

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いい店構えのセンスのいい店で、感じのいい女性(2代目の奥さんだった)と話すうちに、「真岡しぐれ」の存在に気づいた。

 

京都の老舗、俵屋吉富の「雲龍(うんりゅう)」鶴屋吉信の「京観世(きょうかんぜ)」と同系の凝った和菓子で、信州・松本「開運堂」の「老松(おいまつ)」も連想させた。

 

腕がないととても作れない、これがかなりの感動ものだった。

 

人気だという「栗ふくさ」(税込み280円)と黄身時雨(同200円)も買い求め、店主は仕事中ということで、話を聞くのは断念して、店を後にした。

 

翌日、自宅に帰ってから賞味した。

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一本の重さは539グラムもある。手に持つとズシリと来た。大きさは200ミリ×55ミリ×45ミリ。

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何よりも外側は見事な紫色の時雨(しぐれ)で、丹波大納言小豆を練り込んだ小倉あんが渦巻き状になっていた。ロール状のあんこスイーツと言ってもいいと思う。

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京都の粋の遺伝子が頭の中にぐるぐると回った。真岡でまさかの出会いということになる。

 

コーヒーを淹れ、包丁で切ってから、口に入れる。

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外側の時雨(しぐれ)の口どけの良さ。きれいなこしあんの風味が広がる。

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丹波大納言のふくよかな小倉あんと溶け合うと、何だかここはあるいは極楽か、と思いたくなる。

 

素晴らしきまったり感。

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砂糖は白ザラメを使っているようだ。甘さがほどよく整えられている。

 

あんこはすべて自家製

 

栗ふくさも黄身しぐれも上質な美味さ。

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店の創業は平成2年(1990年)。2代目の奥さんによると、初代が東京の「紅谷」で修業したとか。それが紅谷志津摩の流れを汲む和菓子屋さんのようだ。

 

私がこれまで食べた紅谷系の中で、個人的に最もすごいと思ったのは「青山紅谷」で、創業は大正12年(1923年)。シンプルな上菓子屋さんだった(ちなみにすぐ近くの珠玉の名店「まめ」が3月27日で店をたたむ。すごい店なので、とても残念)。

 

「紅谷三宅」と「青山紅谷」の関係は不明だが、私にとっては「紅谷」の名前が残っていることがうれしい。

 

コロナ禍の夢の時間。

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京都と江戸のあんこ遺伝子が口の中で、くんずほぐれつ、ぶつかり合い、合体し、溶け合いながら昇天していく。

 

脳内エンドルフィン、全開だよ。

 

たまらない。

 

所在地 栃木・真岡市並木町2-20-15

最寄駅 真岡鉄道真岡駅から歩いて約7分

 

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相模原の宝石だよ「栗蒸し」に驚く

 

神奈川・相模原周辺は酒饅頭の町でもある。

 

東京・荻窪の高橋、日光の湯沢屋など、これまで職人の手の匂いのする酒饅頭を食べ、その糀(こうじ)の香りのする皮とあんこに胸が躍った。

 

美味しい酒饅頭は美味しい(このロジック、ヘンだ)。

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酒饅頭の歴史は遠く鎌倉時代までさかのぼるが、ここでは長くなるので省く(書きたいけど残念😂)。

 

たまたま橋本駅ちかくで、地元でも有名な和菓子屋さんをのぞいてみた。

 

「御菓子司 志美津屋(しみずや)」の看板と饅頭をデザイン化した屋号。酒まんじゅうの文字も見えた。

 

大きくはないが、隙のない、いい店構え。

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季節のいちご大福やうぐいす餅、豆大福から上生菓子まで作っている。

 

だが、いちご大福もうぐいす餅も売り切れていた。きれいな女性(3代目若女将だった)が申し訳なさそうな表情をした。

 

「酒饅頭はありますか?」

 

「はい」と言って奥に引っ込んでから、つぶあんとみそあんがありますが」と聞いてきた。「両方ください」と私。

 

「本日中にお召し上がりください」

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その二品(税込み 各120円)と「栗むし羊羹」(同 260円)、「栗どら焼き」(同 170円)を買い求めた。

 

最も驚いたのが、たいして期待せずに買った「栗むし羊羹」だった。

 

夕方自宅に戻り、賞味の時間。

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小ぶりだが、きれいな栗(国産)が多分1個分以上、どかどかと入っていて、上品な藤紫色の蒸し羊羹とのコラボが絶妙の予感。

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口に入れた瞬間、蜜煮した栗と蒸し羊羹がスーッと溶けていくのがわかった。

 

このスーッに舌先がびっくり(舌にだって感情がある)。

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夢の名残りのような、羽衣のような、湧水のような。そんな表現を超える絶妙な美味さとしか言いようがない。

 

感覚的には栗と蒸し羊羹の境界線がない! 不思議な食感。

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これは、すごい。オーバーではなく、これまで食べた栗蒸し羊羹の中でもベスト3に入る、あまりに繊細な味わい。塩加減がとてもいい。相模原の宝石を見つけた思い。

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ほどよい、雑味のない甘さ。素材を見ると、吉野葛を加えている。

 

翌日、電話してしまった。

 

店の創業は昭和29年(1954年)。初代は酒饅頭屋さんで、現在3代目。この3代目が腕利きの若手和菓子職人だとわかった。都内の老舗和菓子屋で8年間修業、実家の跡を継いだ。すぐれた和菓子職人「選・和菓子職」にも選ばれている。

 

そこから酒饅頭専門から、和菓子屋に変身したようだ。

 

想像通り、基本のあんこへのこだわりが半端ではない。つぶあんはもちろん、こしあんまで自家製。その日出す和菓子はその日の朝に作る、を基本にしていることもわかった。

 

こしあんは作業が面倒なので、製餡所から生餡を仕入れる和菓子屋さんが多い中で、呉(ご=小豆の中身)からこしあんを手作りしている和菓子屋さんはそう多くはない。

 

小豆は北海道産、砂糖は白ザラメを基本にしている。

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酒饅頭はつややかな皮の素朴なもっちり感と口の中に広がる糀(こうじ)の香りがとてもいい。皮自体が美味い。中のつぶあんも美味い。

 

味噌あんは味噌が強めで、白あんをわき役にしている。この地方で昔から作られている素朴な酒饅頭だと思う。

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歌人俵万智さんがこの酒饅頭のファンだったらしい。

 

ちなみにこの酒饅頭だけは先代が担当しているようだ。

 

栗どら焼きはフツーの美味さ。中のつぶあんはいいテカリで、やや甘めで濃厚。栗の風味が効いている。

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期待していなかった「栗蒸し羊羹」のあまりのレベルの高さに驚いた分、他はやや辛口になってしまったが、次回は何としてもいちご大福やうぐいす餅をゲットせねば、そう思うのだった。

 

所在地 神奈川・緑区橋本6-39-8

最寄駅 JR横浜線橋本駅北口から歩約7分

 

 

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