この掛け算にはあんこ大好きの私もびっくり。
ちょいとおしゃれな街、東京・中目黒「寿 kotobuki tokyo」。
ガラス張りのこじゃれた小さなカフェだが、ただのカフェではない。
入り口に「ようかん×チーズケーキ」と表記されたバナースタンドが、私のあんこころにコンコンと小さくノックした。
ドアに「和洋菓子」の金文字も見えた。今どきの店?
好奇心がむくむく。
不思議の国のアリスになった気分(笑)。
飛び込むことにした。
これが創作菓子の最前線を行く、志しを感じさせる店だった。
一見ハンバーガーのような「塩どら焼き」(あんバター)のメニュー写真にも「おおお」となった。
これはすごいね・・・コンコンがキンコンカーンとなりかかった。
トーゼンのように店内で食べることにした。
★味わったキラ星
塩どら焼き(あんバター) 350円
・ようかん×チーズケーキ
プレーン 360円
フランボワーズ&ピスタチオ450円
ブレンドコーヒー 420円
※すべて税込みです。
●アプローチ
店は狭いが、カウンターの向こうが厨房になっているようで、注文してから、あんバターの塩どらを作っている気配が伝わった。
待ち時間は約10分ほどと長め。
しっかりと作っているのがわかる。
来た、来た。
びっくり(びっくりが多いが)、うな重のようなお重が目の前に置かれた。
おもしろい凝り方。
蓋を取ると、ごらんのとおり、注文した3品があでやかに納まっていた。
どれをセンターにするか迷った。
【センターは?】
ようかん×チーズケーキ プレーン:珠玉のマリアージュ
長方形の、ちょっと見には二層の洋菓子に見えるが、外側が小豆ようかんになっていて、内側がフロマージュ(フランス語でチーズの意味)、底の部分はビスケット生地という凝ったつくり。
独創的な進化系ベイクドチーズケーキといったほうが近いかも。
これがプレーンというのだから、この店の店主(パティシエでもある)はクリエイティブ能力にあふれている、と思う。
小豆ようかん部分はむしろ水ようかんに近い食感で、小豆のいい風味がふわりときた。
甘さが抑えられていて、淡白な深味(妙な表現だが)すら感じる。
チーズケーキの部分はなめらかなチーズのいい風味と酸味が押し寄せてくる。
上質のオリジナルチーズケーキ。
小豆ようかんとのマリアージュは1×1=∞の世界で、口の中が一瞬にして小天国に変化した。
くちどけの良さ、しばらく残る余韻、これはすごい掛け算だと感心させられた。
ようかん×チーズケーキは黒ゴマやレモンなど全部で10種類ほど。
いずれも独創的で胃袋と時間とお金がもっとあったら、全部食べたい。
【セカンドは?】
フランボワーズ(ラズベリー)&ピスタチオ:絶妙な合体
チーズケーキ部分にピスタチオペーストが練りこまれていて、明るい創作ようかんとのマリアージュがミスマッチと思いきや、絶妙な味わいを生んでいる。
このフツーありえない、不思議な掛け算に言葉が追い付かない。
創作ようかんの上には木いちごのドライフルーツなどが星屑のように散っていて、それがちょっとしたとしたアクセントにもなっている。
塩どら焼き(あんバター):全体が5層になっていて、分厚い有塩バターが上質なつぶあんでサンドされている。
上下にはパンケーキのようなきつね色のどら皮(自家製の塩こうじを使用)。
横から見ると、すごい構造😍。
横から見ると、スイーツ版ハンバーガーに見えなくもない。
きれいな小倉色のつぶあんは甘さが控えめ。しかもたっぷり2層とは。
固めに焼かれた塩こうじどら皮も手焼きで、ナイフを入れてから、がぶりと行くと、バターのいい風味がわっと立ち上がってきた。
和と洋のオーガニックな合体。
「うちの人気1位なんですよ」(スタッフ)とか。
おもしろい時代になってきたのう。
●あんヒストリー
創業は2022年4月。店主は製菓の専門学校を卒業後、東京・銀座の洋菓子店でパティシエ修業。その後、独立。この中目黒の地で、手づくりの創作和洋菓子に特化したカフェを始めた。若い女性客が多く、私が行ったときは外国人のカップル(常連?)が美味そうに創作和洋菓子を食べていた。店名も含めて、あんこの世界がいよいよボーダーレスになってきた。
「寿 kotobuki tokyo」
所在地 目黒区上目黒2-11-1