あんこ旅を続けていると、思わぬキラ星に出会うことがある。
日本一暑い街・熊谷は私にとってはその希少なエリアの一つ。
「四季の和菓子 ばらや」との出会いは驚きだった。
高くて美味いは当たり前、安くて美味いは?
今年の春、風のたよりで「豆大福がとってもおいしい」という情報を聞きつけ、夕方に訪ねてみた。
ほとんど売り切れていて、残りはほんの少しだった。
豆大福(形が珍しい円筒形だった)と大納言かのこを買い求め、「本日中に食べてくださいね」との女将さんの言葉に従い、自宅に戻ってから食べたら、これが絶品だった。
コスパのあまりの良さに感動すら覚えてしまった。
で、今回。
店をすぐ近くに移転したという情報が入り、再訪することにした。
売り切れる前にゲットしたい。
午前11時前になんとか到着。
「豆大福」のノボリがひるがえり、モダンで瀟洒な建物に変わっていた。
無駄のない、いい店構え。
前回と違って今回は作り立てがキラ星のごとくそろっていた。
★ゲットしたキラ星
豆大福 130円
季の餅(栗大福)150円
大納言かのこ 110円
京かのこ 110円
きんつば 120円
※価格はすべて税込みです。
【センターは大福2種】
豆大福:筒形のユニークな形の逸品
北海道産赤えんどう豆を練りこんだ石臼杵つき餅が素晴らしい。
無添加づくりなので、時間がたつと固くなる。
中は自家製つぶあん。
希少な大粒あずき「十勝産雅(みやび)」をグラニュー糖で仕上げている。
こだわりを感じるあんこ。
やや甘めで、塩気もほんのり来た。
餅の柔らかな腰と素朴なあんこのマリアージュがコスパ的にも「得した気分」になる。
雅の濃い小豆色と濃い風味が口の中で広がると、セロトニン(幸せホルモン)がどっと湧き出てくるのがわかった。
お客が多いのもなるほどという味わい。
季の餅(ときのもち):季節限定の栗大福
形は豆大福より横幅のある円筒形。
蜜煮した栗が丸ごと一個、栗餡とともに入っていて、栗好きにはたまらない。
形といい、栗の使い方といい、店主の腕とアイデアが冴えていると思う。
これも賞味期限は「本日中」。
【サイドは?】
大納言かのこ㊧:大納言小豆とこしあんのキュートな合体
大納言小豆の歯ざわりと風味が上質。
寒天の薄い膜がキラキラしていて、一瞬食べるのをためらってしまった。
中のあんこ玉との合体がほぼ極限。
甘さを抑えているので、2~3個すぐなくなってしまう。
塩気もほんのり。
京かのこ:京都のあでやかさを取り入れた逸品
表面には白いんげん豆とうぐいす豆。小ぶり。
中がピンク色のあん玉(白あんベース)で、これほどのカラフルなかのこは珍しいと思う。
味わいは白いんげん豆とうぐいす豆の風味が口の中で重なって、爆発的に広がってくる。そんな感覚が近い。
目で楽しみ、舌で堪能する。
小豆のあんことは一味違う味わい。
京都のはんなり文化が熊谷で花開いている。
不思議な感動すら覚えてしまった。
深川「梅花亭」のきんつばと形も味わいも共通するものを感じた。
小ぶりだが厚みのある、私の好きなタイプのきんつば。
小麦粉の薄い皮、小豆のふくよかな広がり。
くちどけの良さ。
120円というのもコスパ的には得した気分になる。
●あんヒストリー
創業は昭和(昭和45年ごろ?)。現在2代目。豆大福、だんご類、きんつばなど定番商品は先代から受け継ぎ、それを忠実に守り、さらに2代目が新しいチャレンジに繋げているようだ。素材選びから製法まで手作りをモットーにしている。「ばらや」のユニークな店名は祖母が「薔薇(ばら)好き」だったことに由来するとか。いい店なのは常連客の多さが証明している、と思う。
「四季の和菓子 ばらや」
所在地 埼玉・熊谷市箱田6-18-13