「大久保だんご」と言えば、東京の古い暖簾の一つで、目黒から高輪、白金エリアにかけて3軒ほどある。
和菓子屋と食堂を今も併設している、レアなスタイルがクール。
創業が大正初期という歴史もさることながら、ルーツは同じながら、それぞれが独立した和菓子店&食堂&甘未処を営んでいるのも心惹かれる。
この際だから、3軒ともまわることにした。タイムスリップ気分。
セピア色が似合う、どこか懐かしい店構え(高輪総本店)、レトロ度がマックスの白金店、そしてこの目黒不動尊前にある下目黒店。
それぞれに歴史を感じさせる店構えと中身だが、個人的に私のあんこセンサーにもっともきらめいたのがこの下目黒の「大久保だんご」だった。
自家製の朝ナマ菓子の多さとこだわりの強さ。
店構えも3軒の中では最も明るく、和菓子に力を入れていることが窺えた(時間が早かったので食堂はまだ開いていなかった)。
比較してはいけないが、自家製のあんこ力と個人的な好みから、今回はこの目黒不動尊前「大久保だんご」を取り上げたい。
★ゲットしたキラ星たち
あんこだんご 一串140円
みたらしだんご 140円
豆大福 160円
かのこ 160円
※価格は税込みです。
【センターは?】
あんこだんご:あんだんごではなく「あんこだんご」とあ・ん・こに力を入れていることがわかる串だんご。
「こ」へのこだわりに思いが伝わってくる。
写真をご覧いただきたい。
こしあんの量が半端ではない。
あんこはすべて自家炊きで、北海道産小豆×上白糖、それに塩気が絶妙に絡んでくる。
江戸からの伝統を感じる塩気の多さ。
それが独特の絶妙を生んでいる。
米粉餅の柔らかさとのマッチングがとてもいい。
午前中に売り切れることも多いと聞いていたので、口開けとほとんど同時に訪問したら、「日によりますけれど、そんなことはないですよ」(3代目)と笑われてしまった。うーん、いい感じ(笑)。
●あんヒストリー
下目黒店の創業は大正11年(1922年)。白金店もほぼ同じころの創業のようで、源流の高輪総本店(大正2年=1911年創業)から暖簾分けしているようだ。レトロ感たっぷりの高輪総本店はむしろ食堂が中心、白金店は甘味処、そしてこの下目黒店。いずれも3代目で「みんな親戚です」とか。少しずつ路線が変わってきているが、「大久保だんご」の暖簾は守り続けている。
【サイドは?】
豆大福:杵つき餅の柔らかさ、赤えんどう豆の歯ごたえ、中のつぶあんの素朴な洗練。たっぷりの餅粉。
賞味期限が本日中だが、夕方自宅に戻ると、少し硬くなりかけていた。
本物はこうでなくっちゃ。
赤えんどう豆の塩気とつぶあんの塩気が絶妙になじんでいて、口の中で広がる風味がたまらない。
個人的な印象では東京豆大福御三家に劣らない、と思う。
サイズは約65ミリ×60ミリ。重さは約89グラムだった。
かのこ:より塩気が強めだが、噛んだ瞬間、表面の大納言あずきから立ち上がってくる風味と中のこしあんがいい馴染み方で、私的にはこれは「塩かのこ」と呼びたくなった。
店主の手の香りがするような、素朴な美味さ。
重さは約62グラム。堪能。
目黒不動尊前という場所柄、茶店の気配を残す、いい和菓子屋さんだと思う。
しばらく見ていると、常連さん(?)が次々とやってきた。
「大久保だんご 下目黒店」
所在地 東京・目黒区下目黒3-5-1
最寄り駅 JR目黒駅から歩約10分