栗羊羹と栗蒸し羊羹の元祖がほとんど隣り合わせ、というのが面白い。
成田山新勝寺の参道に明治⇒大正から暖簾を下げている、米屋(よねや)と米分(よねぶん)。
米屋については以前書いているので、今回は「栗蒸し羊羹の元祖」と言われる米分を取り上げたい。
実は5年ほど前に店内のイートインで味わっているが、そのときは期待したほどの感動の波が来なかった(失礼しました)。
今回は自分の舌をもう一度確認したい、と再訪した。
赤紫色の水引暖簾をくぐる。以前と同じシンプルな店構えときれいな店内。
「元祖栗蒸し羊羹」の隣りあたりからの柔らかな視線を感じた。ん?
「こよね」(生栗蒸し羊羹)の表記。あんこころがピコピコ(笑)。
悩ましいウインク(死語かも)を送って来た感じ。
★今回ゲットしたキラ星
元祖栗蒸し羊羹 1本800円
こよね(生栗蒸し羊羹)1本1400円
栗つぶら(栗最中)1個240円
※すべて税込み価格です。
【センターは?】
こよね:栗がボコボコ、こしあんの存在感
黒い紙箱と「生」の赤文字が印象的なパッケージで、中を開けると、栗がボコボコと入っていて、ベースの蒸し羊羹の色が元祖栗蒸し羊羹よりもほんの少し明るい。
サイズは170ミリ×50ミリ。元祖(約25ミリ)よりも厚みがある(約35ミリ)。重さは360グラムほど。
600円高いのも納得。
しばらく見ていたくなるいい景色。
実食タイム ナマ感が確かにある。柔らかなもっちり感でこしあんと小麦粉、葛粉がいいバランスで蜜煮した栗を押し上げている。甘さは甘すぎない(下の写真左がこよね、右は元祖栗蒸し羊羹)。
栗は国産(茨城産)のようだ。柔らかな歯触りと風味が口の中で広がる感覚がとてもいい。
塩気はほんのり。塩は九十九里浜の揚げ塩を使用している。こだわり。
元祖を名乗る老舗だけのことはあるなあ、と納得。
【サイドは】
元祖栗蒸し羊羹:サイズはこよねとほぼ同じだが、厚みが薄い(約25ミリ)。栗の量も4個ほどと多くはない。
実食タイム 元祖だけあって、素朴な、やや固めのもっちり感だが、強めの塩気が全体を引き締めている。
好みの問題だが、編集部のあん子さんは「私は元祖の方が好きかな。塩気が絶妙だし、コーヒーと合ってる。素朴な歴史も感じる」。
以前は感じなかった美味さ(繰り返し食べたくなる)を今回は感じた。とはいえ、私の好みは「こよね」に軍配。
●あんヒストリー
創業は大正8年(1919年)。現在4代目。たまたまいらっしゃった2代目の女将さんによると、「初代は米屋さんで働いていて、そこから暖簾分け。なので『米分』なんですよ」とか。し、知らなかった(汗)。その初代が蒸し羊羹に栗を入れることを発案したと言われる。新勝寺の精進料理の一つ「栗羹」がルーツという説もある。
栗つぶら:もう一品も見事な栗最中。栗の形の皮種はサクッとしていて、中に蜜煮した栗が丸ごと一個、テカリの強い自家製つぶ餡に覆われている。
栗蒸し羊羹もそうだが、素材選びにもこだわり。小豆は北海道産、砂糖は白ザラメ(栗蒸しはグラニュー糖を使用)を使用している。
粒あんの粒々感が濃い。甘めのあんこ。
蜜煮した栗のくっきりとした食感との野趣感がとてもいい。
「米分本店」
所在地 千葉・成田市上町503