週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

秋田「あずきでっち」の甘い衝撃

 

編集長「本日はお取り寄せ。幻のあんこを求めて、ネットサーフィンしていたら、すごいお宝にぶつかったよ」

 

あん子「もったいぶり過ぎです。『小豆でっち』でしょ? 3.11後に東北を縦断した時に十文字道の駅で出会ったのと同じだ、って大騒ぎしてたでしょ? バレバレよ」

 

編集長「秋田でも成瀬村周辺でしか作られていない、きわめてレアな郷土生菓子でね。十文字道の駅で食べたときのことを思い出したよ。柔らかく炊いた小豆にもち米と砂糖を加えて練り込んだ、一見蒸し羊羹みたいな、あんこ生菓子なんだよ。とにかくめちゃウマだった。その味が忘れられなくて、しばらくの間、どこかにないかと探したけど、日持ちしないので、現地に行くしかないと言われてあきらめていた。それが今回・・・」

f:id:yskanuma:20211007172327j:plain

 

あん子「ついに見つかったというわけですか。誰も感動しない、お一人さま感動の再会というわけですね(笑)。冷凍便で買えるようになったことが大きいわね」

 

編集長「長い10年だったなあ(涙)」

 

あん子「こっちまで泣けてきそう(笑)。でもでも感動話はこの際、横に置いといて、ではでは小豆でっちの食レポお願いしまーす」

 

【本日のセンター】

レアなあんこ生菓子、あずきでっち(一本勝負です)

 

お取り寄せした先はいろいろな故郷の美味いものをネット販売している「なみへい合同株式会社」(なみへい村の故郷便)。安心安全な特産品のみを扱っているとか。あずきでっちもその一つ。

 

作っているのは秋田県雄勝郡東成瀬村の「TAKAYA OYAMAFOODS」で、小規模で手作りしているそう。

 

夕暮れどき、クロネコ冷凍便で到着。待ってた、ほい。

f:id:yskanuma:20211007172355j:plain

f:id:yskanuma:20211007172457j:plain

f:id:yskanuma:20211007172609j:plain

 

すぐにレンジでチンして食べようと思ったが「常温で解凍し、翌日までにお召し上がりください」と注意事項が書いてあった。

 

我慢の時間。翌日、ドリップコーヒーを淹れ、賞味することにした(あんこ菓子にはコーヒーが意外に合う)。

 

まずは眩いばかりの素朴なナイスバディを見ていただきたい。

f:id:yskanuma:20211007172018j:plain

 

小豆色の凝縮・・・ハッと息を飲むほど美しい(ホントです)。

 

吸い込まれそうになる(ブラックホールではない)。

 

あんこ界のビヨンセか、ニッキー・ミナージュか、はたまたアリシア・キーズか?

 

サイズは長さ130ミリ×幅55ミリ×厚さ36ミリ。重さは300グラム。

 

3時間以上テーブルの上に置いておいたので、すっかり解凍されていて、包丁が少しくっつきながらズズと入る。

f:id:yskanuma:20211007171912j:plain

f:id:yskanuma:20211007173122j:plain

 

よく見ると、こしあんとつややかな小豆が融合している。それにもち米が星雲状に散りばめられていた。

 

ひと口目。

f:id:yskanuma:20211007172848j:plain

 

しっとりとした風味豊かなつぶあんともち米が口の中で小爆発し、やがていい余韻を残しながら、舌の奥まで沁み入るように蕩けていく。

 

う・ま・い。

 

ほどよい甘さ。塩気が意外に効いている。

f:id:yskanuma:20211007173003j:plain

 

このみずみずしい、春風のような食感、何かに似ている。しばし目を閉じる。

 

それがおはぎだとわかるのに時間はかからなかった。

 

京都今西軒のおはぎを長方形に固めたら、こうなるのでは? そんな例えをしたくなる、雑味のない、深い味わい。

 

あんこともち米の見事なコラボだと思う。

f:id:yskanuma:20211007173312j:plain

 

少し脱線するが、秋田のこのあたり(湯沢エリア)は小野小町の出身地とも言われる。京都との何かの縁を感じるのは考え過ぎか?

 

「でっち」という表現も、例えば「でっちようかん」(蒸しようかんや水ようかん)などは、京都にでっち奉公している地方の農家のせがれがお盆やお正月に帰省する際に、店の主人からお土産に持たされたことに由来している(諸説ある)。

 

製造元に電話で確認すると「あずきでっちを練るときにでっちでっちと音がすることから来ていると言われてます。京都ですか? どうなんでしょう?」と逆に質問されてしまった。

 

ほんの少しレンジで温めてみた。500Wで約20秒ほど。作り立ての感じがさらに出てくるようだった。出来立て感。

f:id:yskanuma:20211007173506j:plain

 

ただでさえ美味いのに、おはぎ度が高まった気がした。

 

電話直撃したときについでにあれこれ聞いてみた。

 

小豆は北海道産、もち米は地場のオーガニック米、あんこ作りは自家製で白ザラメと上白糖と塩しか使っていず「すべて手作業で作っています。あんこはゆるーく炊いてます」と教えてくれた。

 

個人的にはこの「あずきでっち」の美味さは全国レベルだと思う。

 

物流の発達でお取り寄せでもほとんど作り立てを賞味することができることがわかった。

 

知られざる名品。

 

あっ、忘れるところだった。

f:id:yskanuma:20211007173610j:plain

 

一本の値段と送料がほぼ同じなので、注文するとき、一瞬だけ、ちょっとどうかな、という思いもあったが、送られてきた冷凍便の黒い紙箱を開けたら、丁寧な礼状とともに「上生菓子が一つ」入っていた。

 

これがスグレモノの「練り切り」で、発売元のなみへい合同会社に「これも秋田ですか?」と尋ねたら、「それは私の知り合いの和菓子教室の先生が作ったもので、サービスです」と笑われてしまった。

 

夢のあずきでっち、コロナが明けたら、また会いに行きたいな。

 

〈本日のお取り寄せ〉

「あずきでっち」 1本(箱詰め)税込み850円

                ※送料は別途

 

・なみへい村の故郷便(なみへい合同会社

東京・中央区日本橋本石町4-2-6神田GMビル

・TAKAYA OYAMAFOODS

秋田・雄勝郡東成瀬村岩井川字沼又59-40

 

               f:id:yskanuma:20211007173845j:plain