クリスマスに味噌饅頭、というのもオツかもしれない。
というミソなツカミ(ん?)で、今回は佐野厄除大師とラーメンの町、栃木・佐野市に足を運んだ。
「味噌まんじゅう 新井屋」は私のディープスポットでもある。
ここの味噌まんじゅうが実に美味い。
つぶしあんとこしあんの2種類。1個90円(税別)。
小判型の黒糖饅頭で、老舗の味噌屋の香ばしい味噌を練り込んだ皮のもっちり感にまずハートを掴まれる。
口に入れた瞬間、幸せホルモンがほのぼのと立ち上がる。
続いて、主役のあんこの美味さがガツンと来る。
たっぷりと詰まったつぶしあんの素朴な、ねっとりした感触。北海道産小豆の皮が溶け込んでいる。まろやかな風味がたまらない。雑味がない。塩気がほんのり。
それが味噌の伴奏で、絶妙に口の中に小さな幸福感を作る。とにかくうめえ、とつぶやきたくなる。
こしあんはつぶしあんの食感とは違って、しっとりとなめらか。甘さもほどよい。きれいな余韻がさわやかでさえある。
うめえが二つ続くと、どっちが好みかわからなくなる。
体調と気分によって、好みが行き来する。その変化がここちよい。
病みつきになるほどの味噌まんじゅうで、佐野ばかりではなく首都圏からもわざわざ買いに来るお客も多い。正月の佐野厄除け大師初詣の後、ここに立ち寄るのを楽しみとしている人も多い。
と書いたところで、今回は数量限定の「白あん」(同90円=税別)もゲットした。
これまで何度も売り切れの苦い水を飲んだので、早朝から電話で予約した。
一日100個ほどしか作らないので、超レアな味噌まんじゅう。
北海道産白いんげん豆のこしあん。きれいな風味で、甘さも控えめ。確かに美味いが、つぶしあん、こしあんほどの「ワオ~」はない。好みの問題だが。
ここのもう一つの人気スイーツが「味噌ぷりん」(1本 280円=税込み)。
とろとろとなめらかな舌触り。生クリームと味噌が卵黄と牛乳の中に忍び込んで混じり合い、たまらない。底には味噌カラメルソース。甘すぎないのがいい。
クリスマスなので、もう一品。
期間限定の「栗ぜんざい(白玉入り)」(300円=税込み)。
これも午前中に売り切れてしまうこともある。翌日までしか持たないのも数量限定にしている理由のようだ。痛しかゆし。
とろりとした茹で小豆のようなぜんざいは甘さがかなり抑えられている。
白玉と栗、それに一晩蜜漬けした小豆がいいアクセントになっていて、冷やしたままを温かい室内で食べると、クリスマスソングではなく「もういくつ寝るとォ~」を口ずさみたくなる。
クリスマスイブに3種類のあんこと味噌とプリンと輪になってとろけ合う。
不思議な気分にもなる。
創業が昭和4年(1929年)。現在三代目。
本店は「たぬまの杜」にあるが、個人的にはこの本町通り店の方が建物も含めてクールだと思う。周辺の情緒も気に入っている。
明治時代建築の薬種問屋を使用、星宮神社参道入り口というのも歴史を感じさせる。
所在地 栃木・佐野市本町2942
最寄駅 JR佐野駅から歩いて約10分