週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

週刊あんこ、東京FMにゲスト出演

 

今週は特別編です。私にとってはビックリのあんこニュースをお届けしたいと思います。

 

GW前のこと。東京FMの敏腕ディレクターから連絡が入り、ホラン千秋さんの番組にあんこ菓子特派員としてゲスト出演してほしい」という、私にとってはあんビリーバブルな出来事が起きました。

 

これは新たなフィッシングか、悪友のいたずらに違いない(まさか)。

 

「いやいやこれはあんこの神様の思し召しだよ。東京FMは全国ネット。日本全国に流れる。今コロナなどで苦しんでいる和菓子屋さんもきっと喜んでくれるはず。あれこれ迷ってる場合ではない。出・な・さ・い」という声がどこかから舞い降りてきました(ホントそんな気がした)。

 

フィッシングでもいたずらでもなかった(東京FMさん、失礼いたしました)。

 

メールでの打ち合わせが進み、ついにスタジオで生のホラン千秋さんを目の前にして、収録となったのだった。ウソみたい。

 

なんというスペシャルデー😂😍

放送日時は最後にリンクを張っておきます。もしよかったら、ぜひ聴いてください。

 

で、ちょっとだけ裏話

 

当日は私が感動したあんこ菓子やおすすめの和菓子を番組スタッフが用意してくれた。

 

一部は手土産代わりに浅草「徳太楼」のきんつばを持参した。

ホラン千秋さんはテレビでもわかるが、キュートな魅力にあふれていた。

 

頭の回転といい、感性といい、気をそらさないトークまで、内心脱帽したくなるプロフェッショナルで、記者時代にいろんな才能を見てきたが、これまで会った中ではトップクラスのウーマンだった。

 

おはぎがお好きだそうで、毎年お母さんとおはぎを作ったりもしているそう。

 

週刊あんこなので、失礼ながら、ご本人を和菓子に例えると、印象的には京都・老舗のキラキラした上生菓子だが、庶民的な、フツーのお嬢さんのような、気さくな面も持ち合わせている、と話しながら感心させられた。

 

用意されたあんこ菓子を「これ、おいしい!」と目を輝かせて味わいながら、鋭い分析と質問を投げかけてくる。

その模様は当日の放送をお楽しみに。

https://radiko.jp/#!/ts/FMT/20220515120000

 

【本日のセンター】

富山「鈴木亭」枠流し杢目羊羹と久しぶりのご対面

 

試食した中で二つほどさわりだけご紹介したい。

 

江戸時代の羊羹の流れをくむ「鈴木亭」の枠流し杢目羊羹(もくめようかん)は私にとって特に思い入れの深い煉り羊羹です。

賞味期限が約1週間という無添加の生羊羹で、江戸日本橋にあった幕府御用菓子司「鈴木越後(すずきえちご)」徳川幕府崩壊とともに店を閉じている)の製法を受け継いでいる、ちょっと驚きの煉り羊羹。

いい小豆の風味、きめの細やかさ、清流のようなみずみずしさ・・・以前はお取り寄せできなかったが、現在はお取り寄せが可能になっている。

 

ホラン千秋さんの反応がとても素晴らしかった。

 

その他、番組ではさまざまなあんこ菓子を取り上げています。

 

【本日のサブ】

浅草「徳太楼(とくたろう)」のきんつば

 

私のようなきんつば好きにとっては、頂点の一角に位置する東京のきんつばだと思う(西には大阪「出入り橋きんつば屋」がある)。

 

ごらんのとおり焼き色がない。乳白色の美しい角型のきんつばだが、北海道産小豆のきれいな風味が口の中に広がると、しばらくの間、全身が幸せホルモンに包まれる。

上品な、柔らかな粒々感が特徴のきんつばで、甘さがかなり抑えられていて、向島の料亭の女将さんにもファンが多い。

お酒とのマッチングも楽しめると思う。

 

個人的には辛口の純米酒が合う。

 

番組収録で食べたのは4~5種類だが、何を食べたか、ホラン千秋さんの反応は?

 

北は北海道、南は沖縄まで、できる限りバラエティーに富んだあんこ菓子を取り上げたつもりですが、時間とスペースの関係で、お話したのはほんの一部にすぎません。

 

何が飛び出すか?

 

それは放送当日のお楽しみということで、どうぞお許しいただきたい😂。

 

・放送日は全2回です。全国ネットです。お近くのFMからお聴きいただければうれしいです。

🎈番組名「apollostation Drive Discovery PRESS」

 ①5月15日(日) 正午~12時25分

 ②5月22日(日) 正午~12時25分

😁😍公式サイトこちらです⇒

https://www.tfm.co.jp/discovery/

https://radiko.jp/#!/ts/FMT/20220515120000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無人駅で「あんタイム」、百年以上続く笹子餅

 

新緑の5月。よもぎ餅の美味しい季節だが、JR中央本線笹子駅で途中下車した。目的は「みどりや」の笹子餅!

もともとは甲州街道の難所笹子峠の力餅だが、鉄道開通と同時に笹子駅で販売を開始、駅弁とともに中央線の名物あんこ餅となっている。

 

「みどりや」の創業は明治38年(1905年)。現在4代目。

 

木の香りがふわりと広がる経木(きょうぎ)に包まれた二口サイズ(ひと口より大きい)のよもぎ餅だが、経木を取ると、たっぷりの餅粉「ようおいでなすった」とほほ笑んでくる(そんな感じ)。

これが実に美味しい。

 

柔らかな杵づきのよもぎ、控えめな甘さのつぶしあんのバランスが絶妙で、小ぶりなので、あっという間に3個、4個と消える。

 

添加物は使っていない、創業当時から変わらない製法のため、賞味期限は翌日まで。

 

駅近くなのにほとんど人けがない。

10個入り(紙箱)と5個入り(包み)があり、私が迷っていると、4代目店主が「昔のままなのは5個入りの方ですよ」と教えてくれた。

 

店主があんこの神様に見える? ありがたや。

 

商品は笹子餅のほかに酒饅頭のみ。

 

・ゲットしたキラ星

 笹子餅(5個入り) 税込み500円

 蔵酒まん(酒饅頭) 5個入り700円

 

【センターは笹子餅】

経木とよもぎの香りでタイムスリップ気分

 

作りたてが一番おいしい。なので、食べれる場所を探したが、空は高く、山々が迫っている。茶屋もない。駅にも人けがない(たまたま?)。

そうだ、昔の旅人スタイルで行こう!

 

駅の中で紙包みを取ると、いい香りとともに経木が現れた。タイムスリップ感に襲われれる。

餅粉がたっぷりかかっていて、柔らかな笹子餅が経木の上でおしくらまんじゅうをしているよう。

 

いいね。

 

落ちる餅粉を気にせずに手づかみでパクリと行く。

早朝から杵づきしている餅の柔らかさ。

 

それでいてコシと伸びが十分にある。餅屋の餅。

 

口の中に広がる二つの香りが新鮮で、昔の人が現代人よりもグルメだったのではないか、という思いが強くなる。

 

中のつぶしあんはねっとりとふくよかで、甘すぎない。

あんこも自家製かと思ったら「北海道産小豆を使っていて、あんこ屋さんに特注してます」(4代目)とか。

 

いいあんこなのは確か。

 

猫一匹いない、狭い駅構内で、経木を広げて笹子餅を堪能する。

 

往年のにぎわいを想像しながら(カッコつけすぎ)。

 

次の電車はいつ来るか。あっという間に5個平らげてしまった。

 

【サイドは蔵酒まん】

強烈な酒饅頭にふらっとする

 

「蔵酒まん」は円形でフツーのサイズ。小麦粉の皮はところどころ裂け目があり、手作り感が十分にある。

糀(こうじ)の香りがふわりと来た。

 

中はつぶあん。笹子餅よりも少し甘く感じた。

 

驚くべきはつぶあんの中に、核のように、酒粕のペーストが入っていること。

なので、ややオーバーに言うと、吟醸純米酒を食べているような、感覚に陥った。

 

近くに酒蔵「笹一酒造」があり、この蔵まんは二つの老舗のコラボ商品でもある。

 

酒まんじゅうは随分と食べているが、酒粕をほとんどそのままあんこの中に押し込んで使っているのは初めて。

 

ある意味、キョーレツな酒まんじゅうだと思う。

酒が苦手な人にはおすすめできないが、酒好きな人にはたまらない。

 

無人駅構内が次第に金色に輝き始めるのだった。

 

しばらくは極上のあんタイム・・・。

 

「みどりや」

所在地 山梨・大月市笹子町黒野田1332

最寄り駅 JR中央本線笹子駅から歩約5分

 

           

 

😥😍甘いニュース:あんこ菓子の旅をお楽しみください。

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道明寺×つぶあん+ほおば(朴葉)の魔力

 

柏餅のおいしい季節だが、中津川の老舗「すや本店」でたまたま見つけたのが「朴葉巻き(ほおばまき)」。

別の和菓子をゲットするつもりが、あまりに見事なシックな店構えに気後れしたが、一歩足を踏み入れると、やや暗めの店内で、その一角が渋いオーラを放っていた。

蒸し立てがイグサで結わえられてビニール袋に納まっていた。

 

まるで私を待っていたかのように?・・・残り一個!

これが・・・あんこの幸福ホルモンに包まれるような、めちゃウマだった。なので、今週はこのユニークな「朴葉巻き」を取り上げたい。

 

この季節だけの希少なあんこの伝統菓子でもある。

・ゲットしたキラ星

 朴葉巻き 一袋1242円(税込み)

 

【今回のセンター】

柏餅を超えるか、道明寺とつぶあん∔朴葉の魔力

 

「本日中にお召し上がりください」

 

店の人にこう念押しされたので、夕方、宿泊先のホテルに戻ってから大急ぎで食べてみた。

 

ご覧の通り、枝から5個ほどイグサできちんと縛られて、ぶら下がっているよう形で、見た目がおもしろい。

私にとっては初めて食べる、この地方独自の季節の餅菓子だと思う。

 

端午の節句には欠かせないそうで、関東は柏餅、京都は粽(ちまき)、木曽周辺はこの朴葉巻きというのがこのエリアの習わしらしい。

 

結ばれたイグサを取り、朴葉をひらく。

小ぶりの白い道明寺が現れ、菓子ようじで切ると、つややかなつぶあんが「は・じ・め・ま・し・て」とほほ笑んだ気がした(ほんまかいな)。

 

ひと口で上質なもっちり感と絶妙なあんこに「持っていかれそう」になった。

雑味のないあんこは京都の上生菓子に通じるような、みずみずしいつぶあんだとすぐにわかった。

 

きれいな道明寺、それに朴葉の若芽の香りがあんこを引き立てている。朴葉の新鮮な魔力かな。

 

これはう・め・え・・・(しばらく余韻に浸る)

ところで、ほおばって何だ?

 

木曽から中津川周辺にかけて自生する落葉高木「ホオノキ」の葉で、朴葉巻きはそれであんこ餅を包んだもの。

 

木曽では米粉餅を使うのが一般的だが、このすや本店は道明寺を使っているのが特徴。

 

すや本店の創業は元禄年間(1688~1704年)で、屋号でおわかりのように元々は「酢」を扱っていたようだ。それがやがて和菓子屋に転身している。

 

中津川宿は江戸よりも京都寄りにあり、京都あんこ文化の影響をかなり受けているのではないか。

 

栗のシーズンは栗きんとんなど栗菓子が並べられている。

 

【翌日の味は意外なことに・・・】

木曽周辺では当日よりも「味がなじむ翌日のほうがうまい」という人もいる。

 

なので、一部を自宅に戻ってから食べることにした。購入時から約18時間ほど経過している。強引に言えば「当日」の範囲内と言えなくもない。

これが意外なほど美味だった。

 

個人的な印象ではホテルで食べたときよりも旨味がじんわりとなじんでいる気がした。

 

よく見ると、つぶあんは小倉餡のようで、柔らかく炊かれたつぶあんこしあんが絶妙にブレンドされている?

しっとりと舌先をくすぐる。

 

いい小豆(北海道十勝産)の風味が増し、塩気もほんのり。

 

朴葉には殺菌効果があるので、鮮度が落ちていない気がした。

 

今回は気温が低かったので翌日でも十分楽しめたが、暑い日はおすすめできない。

 

木曽路はやっぱり奥が深い、と思う。

 

「すや本店」

岐阜・中津川市新町2-40

最寄り駅 JR東海中央本線津川駅歩約5~6分

 

           

 

😍🤣😜あんこなニュース、みてね!

「週刊あんこ」の別冊とも言える「完全保存版 47都道府県あんこ菓子」が楽天市場の沼メディア「ソレドコ」に掲載されました。お取り寄せで全国あんこ旅が楽しめます。あんこ好き、そうでない方も「これちょっと違うよ」「いやなかなかだよ」「もっとうまいあんこ菓子があるぞ」などなどどんどん感想をお寄せください。あんこのネタとしてもぜひお使いください。

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「週刊あんこの別冊」が出ました

ちょっとおもはゆい臨時ニュースをお知らせいたします😂。

 

楽天市場の沼サイト「ソレドコ」で不肖私めが選んだ「全国47都道府県あんこ菓子」(お取り寄せ)がアップされました。

 

新着記事をクリックしていただければアクセスできると思います。

srdk.rakuten.jp

北は北海道・江差町五勝手屋羊羹(ごかってやようかん)」から南は沖縄県「沖縄風ぜんざい」まで(下の写真)、あくまでも個人的な好みで選んだ47のあんこ菓子をエリア別に紹介しております。

条件が限られた中では最大限、満足できるレベルのものを選んだつもりですが、あるいはもっと優れたあんこ菓子もあるかと思います。

 

この仕事のきっかけは去年の秋、優秀な編集者との出会いでした(詳しい内容は長くなるので割愛)。

 

最後まで体が持つか、不安を解消できないまま、今年1月末から調査を始め、財布の中身と相談しながら、お取り寄せを開始。

 

次々と到着するあんこ菓子を順次チェックし、楽しみながら食べまくりました。

途中で二度ほどタオルを投入しようかと思ったりもしましたが、何とかやり終えました。実感としては「日本のあんこ山脈」をそれなりに走破した気分です。

 

日本のあんこ文化の深さと奥行きを改めて感じております。

 

とはいえ、今回の甘いチャレンジはシビアな目で見ると、あんこ文化のほんの一端に触れた程度だと思います。

 

あんこの深いふかい森に迷い込んだアリ一匹、といった言い方もできるかもしれません。

 

もしよかったら、この「週刊あんこ」の別冊ともいえる分量のある記事に少しだけでも目を通していただけたらとってもうれしいです。

 

関心のある県をそこだけピックアップしても楽しめる構成にしたつもりです。

 

最後になりましたが、お世話になった皆さんに改めて感謝したいと存じます。

 

あんこの素晴らしい世界をどうぞお楽しみください。

 

※内容は取材時のものです。県別の代表として取り上げているのではなく、個人的な好みと多角的な視点を入れたつもりです。うまく伝わればいいのですが(汗)。

 

  週刊あんこ編集長 さとう祐介

 

     2022年4月25日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バナナ大福」あんこにしびれる

 

食べる前はフルーツ大福の際物かと思ったが、食べたらあまりの美味さに「ほお~」が連続して出かかったのが、ローカルの和菓子屋さんで出会った「バナナ大福」

 

餅粉がたっぷりかかった搗(つ)きたての餅、あまりにふくよかなつぶあん、それに完熟バナナ。

1∔1∔1=∞ 

 

小豆の粋が舌の先から宇宙にまで広がっていく(そんな比喩を使いたくなる)。

 

あくまで個人的な感想だが、これまで食べた大福類の中でも特筆したくなるレベルの美味さだと思う。

 

凄腕の和菓子職人がいる。

 

それも大都市ではなく、山梨のローカル、韮崎(にらさき)の和菓子屋「うさぎやでのこと。

正直に言うと、たまたま以前、大福類が飛び切り美味い店の存在を耳にして、いつかちょっと覗いてみるか程度だったが、あんこ旅の途中で道草気分で寄り道、午前9時半に到着した(店は9時から)。

 

こんなに早い時間なのに、店の前には車が4~5台止まっていて、3~4人ほど並んでいた。

でもまあこのくらいなら10分も待てば順番が来る、と思いながら店内をのぞくと、さほど広くない店内にも10人ほど並んでいた。びっくり。

 

ひょっとしてあの「うさぎや」の暖簾分け?

 

常連が多いのか、数種類ある大福を10個、20個と買っていく。

 

「予約していた××です」「はい、少々お待ちください」

 

予約客も多いようで、3人の店員さんがテキパキとお客をさばいていた。

 

並んでいるうちにどんどん大福類が売り切れていく。

 

目の前で小さな夢がどんどん消えていく。焦りが出始める。

結局、40分ほど並んでようやく順番が来たと思ったら、残っていた大福類は「バナナ大福」が1個といちご大福5個ほど。大福や草餅は売り切れ。何という事態(悔し涙)。

 

この店がどうやら「朝生菓子」の店だとわかった。

 

仕方なく方針転換。残った生菓子を何とか手に入れることができた。

 

・ゲットしたキラ星

 バナナ大福 1個150円(税別)

 いちご大福 1個180円(同)

 きんつば  1個 80円(同)

 二色だんご 1串 80円(同)

 

【今週のセンター】

期待していなかったバナナ大福の逆転劇

 

運よくバナナ大福は最後の1個。前の人がお赤飯だけ買っていったので首の皮一枚でぎりぎりラッキー。

 

いちご大福も数個ほど残っていたので(それも時間の問題)一緒に食べ比べてみようと思ったのでゲットした。

バナナ大福の大きさは左右60ミリほど。高さはトップで35ミリほど。重さは98グラム。

 

餅粉がたっぷりかかり、見るからに柔らかそう。

それでも自宅に帰って来たのが午後7時過ぎだったので、買ってから9時間以上経過している。

 

「添加物を使っていないので、今日中に召し上がってください」(店のスタッフ)

 

すでに餅は少し固くなりかかっていた。これは本物。

 

包丁で何とか切ると、真ん中に角切りのバナナ。

その周囲を艶やかなつぶあんがたっぷりと包んでいる。

 

この段階では期待もさほどではない。

 

だが、ひと口

 

びっくり。餅の柔らかさと完熟バナナのフルーティーな甘さがぐわんと来た。

そこからさらにつぶあんの大波がキラキラと押し寄せてきた(そんな感じ)。

 

つぶあんの美味さがマックスに近い。

 

渋切りを抑えて、いい小豆の風味を絶妙に残していることがわかる。塩気がほんのり。

 

完熟バナナとあんこの相性がこれほどマッチするとは。

価格設定も大衆的で、コスパの良さ。朝から行列の秘密がわかった気がした。

 

食べる前、バナナ大福を少し軽く見ていたことが悔やまれる(ごめんなさい)。

 

翌日、職業病でつい電話取材したら、小豆は北海道十勝産、砂糖は上白糖を使って毎日銅鍋で炊いているそう。

 

餅も自家製で「もち米は岩手産ヒメノモチです」。柔らかいのにコシがあるのが特徴。

 

店の創業は昭和21年(1946年)。現在3代目。

 

うさぎや」なので、東京の「うさぎや」との関係を尋ねたら、「全然関係ないんですよ」。これもちょっと意外だった。

 

【セカンドはいちご大福】

 

レベルの高いいちご大福で、つぶあんの美味さが絶対的。いちごは少し酸味があり、それがバナナ大福のフルーティーな甘さと対照的だと思う。

いちご大福の名店と比較してもつぶあんの美味さが秀でているので、負けていないレベルだと思う。

 

きんつばと二色だんご】

どちらも1個80円(税別)が信じられないレベルだと思う。きんつばは丸形で、つぶあんの美味さがストレートにわかる。十勝産小豆の炊き方がとてもいい。小豆の皮まで柔らかく、ふっくらと炊かれていて、甘すぎない。塩気が効いていて、ドンピシャ好み。

二色だんごこしあんと抹茶あん。こしあんのしっとり感と抹茶あんの苦み(白あん∔抹茶)が柔らかな米粉餅と協調している。4代目の腕と志が伝わってくる。

 

和菓子は朝作って、その日のうちに食べる。つまり「朝生菓子」が確かに一番うまいかもしれない。

 

うさぎや製菓」

所在地 山梨・韮崎市本町1-11-4

最寄り駅 JR中央本線韮崎駅から歩約8~10分

 

             

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

百年一筋、中津川宿のビックリ酒饅頭

 

あんこ旅には思わぬ出会いがある。

 

私的に表現すると、あんビリーバブルな出会い。

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栗の町・中津川(旧中山道中津川宿)を栗菓子の老舗を目指して歩いていたら、雰囲気のいい建物が見えた。

 

私のあんこセンサーがピピピと反応した。

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それが「恵那饅頭(えなまんじゅう)」の二葉軒(ふたばけん)だった。

 

店から漂う香りですぐに恵那饅頭=酒饅頭だとわかった。

 

大正7年(1918年)創業以来、酒饅頭(さかまんじゅう)一筋の中津川界隈では知られた店。

 

店内に入ると、メニューは一種類だけ。驚きの饅頭屋さん。

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雰囲気のある女性(3代目女将さんだった)が、下町娘のような気さくさで地元客にこやかに応対していた。朝10時過ぎ。早朝からひっきりなしに注文をさばいているのが見て取れた。

 

奥が板場になっていて、2~3人の職人さんが酒饅頭づくりに励んでいた。糀(こうじ)の香りが湯気とともにさわやかに押し寄せてくる。

 

ああ、いい光景。思いっきり香りを吸い込む。

 

・今週のキラ星 一折り10個入り(税込み1000円)

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【蒸かし立てを試食】

女将さんが「これ食べてみて」と蒸かし立てを1個サービスしてくれた。

 

通りの反対側に出てから、熱々をフーフーしながら試食。

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円形で大きさは左右5~6センチほど。厚みは2センチほどか。

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蒸かしたばかりなのに、つやつやとした生地は表面張力でぴんと張っていた。酒饅頭の名店と同じ密度の小世界。

 

添加物などは使っていないので、賞味期限は「本日中」。時間が経つと固くなるのが実感できる。

 

背後に恵那山を控えた「二葉軒」を眺めながら、二つに割る。

 

きれいなこし餡が現れた。

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口に運ぶと、生地のもっちり感に軽く驚く。

 

糀の香りは思ったほど強くはなく、絶妙なほんのり感と表現したくなるもの。

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北海道十勝産小豆を使った自家製こし餡の上質な美味さ。砂糖は白ザラメでほどよい甘さに仕上げている。こし餡の量もたっぷり。

 

感動がじわじわ来た(この感覚がたまらない)。

 

ひょっとして私の大好きな東京・荻窪の「高橋の酒まんじゅう」(こちらも酒饅頭一筋)を超えるかもしれないぞ。

 

【約8時間後の試食】

 

夕食前にホテルに戻ってから包みを解いて二度目の試食。

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驚いたことに表面のつやつやは同じだが、すでに固くなり始めていた。凄いこっちゃ。

 

おじいちゃんの代(先々代)から同じ作り方なんですよ。糀(こうじ)から発酵させ、仕込みに時間をかけてます。伝わってる話では糀自体はおじいちゃんの前からのものなので、もっと古いんですよ」

 

お客が他にいたので、詳しくは聞けなかったが、酒饅頭一本勝負で店を維持しているのが驚きだが、自家製糀と地場の小麦粉で練り上げた生地を長時間寝かせ、それで自家製のこし餡を一つひとつ手包みして、毎日毎日その日の分を早朝から蒸かす。

 

賞味期限がその日中、というのもなるほどと思える。

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皮は幾分固くなり始めていたが、こし餡のしっとりとしたきめ細やかさは1ミリも変わらなかった。

 

控えめな甘さと小豆のきれいな風味。糀の香りとその余韻。

 

残りは冷蔵庫に入れて、「固くなっても油で揚げたり、フライパンで焼いてもおいしいんですよ」(女将さん)の言葉を実践することにした。

 

【翌日約30時間後の試食】

 

翌日自宅に戻ってから、フライパンにサラダ油を多めに引いて、焼いてみた。

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酒饅頭をこうしたやり方で食べるのは初めて。

 

表面の生地は固くなっていたが、焦げ目からいい匂いが漂ってくる。

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これが別の美味さ。

 

表面がパリパリ。焼き色が渋い。焼き大福を思わせるが、生地が小麦粉なので、もっと香ばしい。

 

こし餡はほとんど変わらない。

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なめらかな、あんこの粒子を感じる上品な味わい。

 

糀の香りは少し退却したが、揚げ饅頭よりも質が高いのではないか。

 

中津川で出会ったスーパーな酒饅頭。

 

あんこの神様は確かにいる。

 

「二葉軒」

所在地 岐阜県中津川市淀川町1の23

最寄り駅 JR東海中央本線津川駅歩約3~4分

 

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京都から「旬の草餅」お取り寄せ

 

よもぎの美味しいシーズンに草餅(よもぎ餅)を食べる。

 

これって、簡単そうで意外に簡単ではない。

 

どうしてかっつーと、冷凍技術の発達で、新鮮なよもぎが一年中楽しめるようになっているから。

 

なので、よもぎの旬、つまり春先でなくても和菓子屋の店頭には美味しそうな草餅が「おいでおいで」している。

 

私的には、ほとんど一年中、パブロフの犬状態(笑)。

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和菓子の楽しみ方「四季を楽しむ」も変わりつつあるのではないか。

 

とはいえ、冷凍ではない、旬のよもぎ(それも若芽)の草餅を無性に食べたくなる。特に今のこの時期。

 

あん子「ストップ! 前振りが長すぎます。よもぎが枯れちゃいますよ(笑)」

 

編集長「ごめん。コロナとウクライナ心が迷子になっちゃった・・・言い訳にならないかな」

 

気を取り直して、リセット。

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その旬の草餅を京都からお取り寄せした。

 

龍安寺そば「笹屋昌園(ささやしょうえん)」の春限定品。

 

よもぎには体をきれいにする効果もあるし、小豆には魔除けの意味もある。

 

煩悩にあえぐ今の私にはこれ以上の癒しはない(ホンマかいな)。

 

【今週のセンター】

春のお菓子 草餅(4個入り)1120円(税込み)

楽天市場から発注。送料は別途900円

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たった4個なのに、クロネコ便で届いたのは大きめの段ボール箱

 

開けると、かぐや姫を守るように周りが過剰なほど緩衝材が詰め込まれていた。

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おおっと、て感じかな。

 

だが、はんなりとした小箱に納まった草餅は、ビジュアル的にはクールなものだった。

 

緑というより、むしろ青みがかった、自然な美しさで、餅粉がうっすらと粉雪のようにかかっている。店によると、よもぎは宮城産の若芽を使っている。

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見事な丸み。見つめていると、気品すら感じる。

 

一個の重さは52グラムほど。手ごろな大きさ。

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包丁で真ん中から切ると、中は丹波大納言小豆のつぶ餡。柔らかく炊かれた皮と半透明の呉(ご=小豆の中身)が絶妙なコントラストで、餡づくりのこだわりが伝わって来た。

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藤紫色の上品なあんこ。目が吸い込まれそうになる。

 

店によると、「銅鍋で2~3日間かけてじっくりと炊いた丹波大納言です」とか。

 

よもぎの香りはほんのり。思ったほど強くない。

 

餅は柔らかすぎず硬すぎず。

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何よりも中のあんこがいぶし銀の味わいで、甘すぎない。丹波大納言小豆の豊潤な風味が口の中に広がるのを感じる。

 

餡づくりの仕上げには白ざら糖を使用。水飴も少し加えているとか。

 

草餅をこれほど自然に、さり気なく洗練させていること。

 

京都老舗の和菓子職人のレベルの高さを改めて思い知らされる。

 

「笹屋昌園」の創業は大正7年(1918年)。初代は笹屋伊織で修業しているようだ。百年暖簾だが、京都の中では老舗の中でも幕内クラスかもしれない。

 

編集長「すべてがさらっとしていて、あんこも含めてむしろ淡白な草餅だね。それが洗練ということかもしれないけど、田舎の草餅好き、つまり私のような者にはちょっと物足りなくも思える。舌のレベルが下すぎるってことかな(笑)」

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あん子「出た、おやじギャグ(笑)。余分なものを落としていくと、こういう宝石のような草餅になるのかなって思ったりもしますね」

 

編集長「塩気がない。これも京都の上生菓子に共通していて、この草餅も賞味期限は極めて短い。常温で届いたら、その日のうちに食べてください、というのもさすがって感じ(笑)」

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あん子「コロナなどで足が遠のいているけど、たまには京都の生菓子を食べなくちゃいけませんね。何しろ日本の和菓子界の頂点ですから」

 

編集長「でも、京都の友人に言わせると、京都もレベルが落ちたって嘆いているよ。名前は言わないけど、おはぎで有名な〇〇〇や豆大福の××××も昔の方が美味かったって。代が替わると味が落ちるとぼやいてた・・・京都の陰口は恐ろしいよ(笑)」

 

あん子「あらあら・・・迷路にハマる前に今日は撤収ゥ~しましょう(笑)」

 

「笹屋昌園」

所在地 京都市右京区谷口園町3-11