柏餅のおいしい季節だが、中津川の老舗「すや本店」でたまたま見つけたのが「朴葉巻き(ほおばまき)」。
別の和菓子をゲットするつもりが、あまりに見事なシックな店構えに気後れしたが、一歩足を踏み入れると、やや暗めの店内で、その一角が渋いオーラを放っていた。
蒸し立てがイグサで結わえられてビニール袋に納まっていた。
まるで私を待っていたかのように?・・・残り一個!
これが・・・あんこの幸福ホルモンに包まれるような、めちゃウマだった。なので、今週はこのユニークな「朴葉巻き」を取り上げたい。
この季節だけの希少なあんこの伝統菓子でもある。
・ゲットしたキラ星
朴葉巻き 一袋1242円(税込み)
【今回のセンター】
柏餅を超えるか、道明寺とつぶあん∔朴葉の魔力
「本日中にお召し上がりください」
店の人にこう念押しされたので、夕方、宿泊先のホテルに戻ってから大急ぎで食べてみた。
ご覧の通り、枝から5個ほどイグサできちんと縛られて、ぶら下がっているよう形で、見た目がおもしろい。
私にとっては初めて食べる、この地方独自の季節の餅菓子だと思う。
端午の節句には欠かせないそうで、関東は柏餅、京都は粽(ちまき)、木曽周辺はこの朴葉巻きというのがこのエリアの習わしらしい。
結ばれたイグサを取り、朴葉をひらく。
小ぶりの白い道明寺が現れ、菓子ようじで切ると、つややかなつぶあんが「は・じ・め・ま・し・て」とほほ笑んだ気がした(ほんまかいな)。
ひと口で上質なもっちり感と絶妙なあんこに「持っていかれそう」になった。
雑味のないあんこは京都の上生菓子に通じるような、みずみずしいつぶあんだとすぐにわかった。
きれいな道明寺、それに朴葉の若芽の香りがあんこを引き立てている。朴葉の新鮮な魔力かな。
これはう・め・え・・・(しばらく余韻に浸る)
ところで、ほおばって何だ?
木曽から中津川周辺にかけて自生する落葉高木「ホオノキ」の葉で、朴葉巻きはそれであんこ餅を包んだもの。
木曽では米粉餅を使うのが一般的だが、このすや本店は道明寺を使っているのが特徴。
すや本店の創業は元禄年間(1688~1704年)で、屋号でおわかりのように元々は「酢」を扱っていたようだ。それがやがて和菓子屋に転身している。
中津川宿は江戸よりも京都寄りにあり、京都あんこ文化の影響をかなり受けているのではないか。
栗のシーズンは栗きんとんなど栗菓子が並べられている。
【翌日の味は意外なことに・・・】
木曽周辺では当日よりも「味がなじむ翌日のほうがうまい」という人もいる。
なので、一部を自宅に戻ってから食べることにした。購入時から約18時間ほど経過している。強引に言えば「当日」の範囲内と言えなくもない。
これが意外なほど美味だった。
個人的な印象ではホテルで食べたときよりも旨味がじんわりとなじんでいる気がした。
よく見ると、つぶあんは小倉餡のようで、柔らかく炊かれたつぶあんとこしあんが絶妙にブレンドされている?
しっとりと舌先をくすぐる。
いい小豆(北海道十勝産)の風味が増し、塩気もほんのり。
朴葉には殺菌効果があるので、鮮度が落ちていない気がした。
今回は気温が低かったので翌日でも十分楽しめたが、暑い日はおすすめできない。
木曽路はやっぱり奥が深い、と思う。
「すや本店」
岐阜・中津川市新町2-40
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