これって、簡単そうで意外に簡単ではない。
どうしてかっつーと、冷凍技術の発達で、新鮮なよもぎが一年中楽しめるようになっているから。
なので、よもぎの旬、つまり春先でなくても和菓子屋の店頭には美味しそうな草餅が「おいでおいで」している。
私的には、ほとんど一年中、パブロフの犬状態(笑)。
和菓子の楽しみ方「四季を楽しむ」も変わりつつあるのではないか。
とはいえ、冷凍ではない、旬のよもぎ(それも若芽)の草餅を無性に食べたくなる。特に今のこの時期。
あん子「ストップ! 前振りが長すぎます。よもぎが枯れちゃいますよ(笑)」
編集長「ごめん。コロナとウクライナで心が迷子になっちゃった・・・言い訳にならないかな」
気を取り直して、リセット。
その旬の草餅を京都からお取り寄せした。
龍安寺そば「笹屋昌園(ささやしょうえん)」の春限定品。
よもぎには体をきれいにする効果もあるし、小豆には魔除けの意味もある。
煩悩にあえぐ今の私にはこれ以上の癒しはない(ホンマかいな)。
【今週のセンター】
春のお菓子 草餅(4個入り)1120円(税込み)
※楽天市場から発注。送料は別途900円
たった4個なのに、クロネコ便で届いたのは大きめの段ボール箱。
開けると、かぐや姫を守るように周りが過剰なほど緩衝材が詰め込まれていた。
おおっと、て感じかな。
だが、はんなりとした小箱に納まった草餅は、ビジュアル的にはクールなものだった。
緑というより、むしろ青みがかった、自然な美しさで、餅粉がうっすらと粉雪のようにかかっている。店によると、よもぎは宮城産の若芽を使っている。
見事な丸み。見つめていると、気品すら感じる。
一個の重さは52グラムほど。手ごろな大きさ。
包丁で真ん中から切ると、中は丹波大納言小豆のつぶ餡。柔らかく炊かれた皮と半透明の呉(ご=小豆の中身)が絶妙なコントラストで、餡づくりのこだわりが伝わって来た。
藤紫色の上品なあんこ。目が吸い込まれそうになる。
店によると、「銅鍋で2~3日間かけてじっくりと炊いた丹波大納言です」とか。
よもぎの香りはほんのり。思ったほど強くない。
餅は柔らかすぎず硬すぎず。
何よりも中のあんこがいぶし銀の味わいで、甘すぎない。丹波大納言小豆の豊潤な風味が口の中に広がるのを感じる。
餡づくりの仕上げには白ざら糖を使用。水飴も少し加えているとか。
草餅をこれほど自然に、さり気なく洗練させていること。
京都老舗の和菓子職人のレベルの高さを改めて思い知らされる。
「笹屋昌園」の創業は大正7年(1918年)。初代は笹屋伊織で修業しているようだ。百年暖簾だが、京都の中では老舗の中でも幕内クラスかもしれない。
編集長「すべてがさらっとしていて、あんこも含めてむしろ淡白な草餅だね。それが洗練ということかもしれないけど、田舎の草餅好き、つまり私のような者にはちょっと物足りなくも思える。舌のレベルが下すぎるってことかな(笑)」
あん子「出た、おやじギャグ(笑)。余分なものを落としていくと、こういう宝石のような草餅になるのかなって思ったりもしますね」
編集長「塩気がない。これも京都の上生菓子に共通していて、この草餅も賞味期限は極めて短い。常温で届いたら、その日のうちに食べてください、というのもさすがって感じ(笑)」
あん子「コロナなどで足が遠のいているけど、たまには京都の生菓子を食べなくちゃいけませんね。何しろ日本の和菓子界の頂点ですから」
編集長「でも、京都の友人に言わせると、京都もレベルが落ちたって嘆いているよ。名前は言わないけど、おはぎで有名な〇〇〇や豆大福の××××も昔の方が美味かったって。代が替わると味が落ちるとぼやいてた・・・京都の陰口は恐ろしいよ(笑)」
あん子「あらあら・・・迷路にハマる前に今日は撤収ゥ~しましょう(笑)」
「笹屋昌園」