週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

松本城下の感動「田舎しるこ」

 

おしることぜんざい。

 

関東と関西では言い方が違うが、中山道あんこ旅の途中で草鞋を脱いだ信州・松本でワンダーなおしるこに遭遇した。

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昼めし抜きで足が棒になるほど歩き回って、国宝・松本城にも登り、天守閣から松本城下を眺め、戦国⇒江戸⇒明治⇒大正⇒昭和⇒平成⇒令和を想いながら、あんこについて考える。

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あんこには平和がよく似合う、と思う。

 

気持ちを穏やかにし、ささくれだった心にも温かい何かが刺さる(刺さらないことももちろんある)。

 

あんこの平穏力

 

茶道とともに和菓子が発達したのも偶然ではない、と思う。

 

さて、そのワンダーなおしるこ

 

城下町歩きは私の趣味だが、偶然、蔵造りのレトロな甘味処を見つけた。

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甘味 塩川喫茶部(しおかわきっさぶ)」

 

不思議な店名に好奇心がむくむく。

 

お客の気配がない。ひょっとして休業か、恐るおそる引き戸を開けると、暗めの室内にご高齢の女将さんが一人、「4時でおしまいですけど」。

 

懐かしいタイル張りのカウンターといい、磨き抜かれた木のテーブルといい、昭和の古い造りだが、隅々まで清潔感が見て取れた。

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時計を見ると、午後3時45分。15分あれば、あんみつくらい食べれる。

 

ややオーバーに言うと、これが個人的にはある種の運命の出会い、となった。いや、正しくはあんこの神様の引き合わせ、が近いかな。

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メニューはごらんのとおり、この時期(3月いっぱいまで)は3種類しかないようだ。自家製アイスクリームもあるが、肌寒かったので、「田舎志る古」(税込み500円)を選んだ。

 

「志る古」(しるこ)と江戸からの表記を今も続けているのが、志しを感じる。

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熱いお茶が出され、7~8分ほどの待ち時間で目の前に置かれた「田舎志る古」は東京のおしるこで、つぶ餡の温かい海に焼き餅が2個浮かんでいた。関西ならぜんざいと表記されるもの。

 

松本は関東文化圏ということになる。

 

これが予想を超える逸品だった。

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つぶ餡の吹き上がるような風味が、私の中ではこれまで食べたおしるこの中でも頂上クラス。

 

抑え気味の甘さ。くどさがない。それでいて、小豆の本来の旨味を最大限に引き出すことに成功した熟練の味わい。そのボリューム。

 

餅のしっかりとした歯ごたえ。焦げ目の絶妙。

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感動がじわじわと押し寄せてくるのがわかった。

 

この女将さん、ただ者ではない。

 

時間をオーバーして、話が弾んだ。

 

「もう90年もやってますからね。私で2代目。小豆は昔からずっと北海道産、砂糖は上白糖です。あんこづくりは仕込みが大変なんですよ」

 

今も昔と変わらない、「銅鍋で薪(まき)を使って炊いている」と聞いて、このあんこの絶妙な美味さの秘密の一端を垣間見た思い。

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店名の「喫茶部」の意味を尋ねたら、元々が和菓子屋で、甘味喫茶を出すときにそうなったとか(和菓子屋はすでに店を閉じているようだ)。

 

樹木希林主演の「あん」で、あんこづくりの際に、小豆にささやきかけるシーンが出てくるが、この女将さんからもそんな気配が漂ってくる。

 

あちらは映画だが、こちらは現実

 

つぶ餡の恐るべき美味さをかみしめる。

 

いい塩梅の塩気、小豆のつぶのほっこり感。にじみ出る呉(ご=小豆の中身)の舌触り。すべてがAクラスだと思う。

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こういう出会いはそうザラにはない、と思う。

 

夏にはかき氷を始めるそう。このあんこを使ったかき氷を食べにまた来なくっちゃ。

 

記者の目で欠点も探したが、ついに見当たらなかった。

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「甘味 塩川喫茶部」

所在地 長野・松本市大手4-12-8

 

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消えた「伝説の酒饅頭」を追う

 

編集長「今日は伝説と言われた前橋の酒饅頭を取り上げたいな」

 

あん子「片原饅頭(かたはらまんじゅう)でしょう? 編集長がずっと追ってたのよね。東京・荻窪にある『高橋の酒まんじゅう』とよく似た、平べったい酒饅頭ですよね」

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編集長「そう。1996年(平成8年)、惜しまれながら天保年間から続いた164年の歴史を閉じてしまった。イーストを使わず、昔からの製法を守り続け、糀(こうじ)で発酵させ、長時間寝かせ、中のこし餡も自家製。手間暇かけて蒸し上げていた」

 

あん子「その後継店も1年半ほど前に店主がご高齢で『体力気力が続かない』と閉店してしまったのよね。悲しいわ」

 

編集長「で、今回。その痕跡を求めて、前橋まで飛んだんだ」

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あん子「それが『酒饅本舗 妙見茶屋』(みょうけんちゃや)というわけね。でも足元がふらついてますよ(笑)」

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・今回ゲットしたキラ星

酒饅頭 1個108円(税込み)

    サービス品(9個)540円(同)

草餅 150円(同)

桜餅 150円(同)

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【今週のセンター】

酒饅頭は片原饅頭と同じルーツだった⁉

私がこれまで食べた自家製酒饅頭には二つの形があると思う。一つは秀吉の時代から大阪で暖簾を下げている大阪最古の『高岡福信(たかおかふくのぶ)』、そして日光最古の『湯沢屋』

 

どちらもお尻のように丸くて糀の香りと中はこし餡。今も手間暇かけて手造りを続けている。アンビリーバブルな酒饅頭と言える。

 

もう一つが今回の片原饅頭タイプ。形は平べったくて、中はこちらもこし餡。同じように手作業を基本に据えて、糀の香りが立ってくる。東京・荻窪「高橋の酒まんじゅう」もこちらに属する。

 

では、今回の「妙見茶屋」は?

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今回行ったのは前橋大胡店(おおごてん)だけど、実際に見て驚き、食べてなるほどと思わされた。ほお~が二つも出た。

 

片原饅頭と見た目もほとんど同じで、味わいもかなり近いのでは?と思わされた。

 

1個108円(税込み)。店の陳列棚に「サービス品」と書かれた、規格外れの酒饅頭も置いてあったので、こちらもゲット(9個入っていて540円)。

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このことだけでもちゃんとした酒饅頭を作るのが難しいことがわかる(気温や湿度も関係してくるので)。

 

その約5時間後、自宅で友人からいただいた神奈川・茅ケ崎の地酒「天青 朝しぼり」(無濾過生原酒)を置いて、親子のマッチング(?)も試してみた。

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酒饅頭の賞味期限は「本日中」。もったいないので一部は冷凍保存した。

 

妙見茶屋の酒饅頭は皮の艶やかさ、表面張力のような手触り、口に入れたときのもっちり感、糀の吹き上がるような感覚。

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酒饅頭好きにはたまらない共通項。

 

これまで食べた中では「高橋の酒まんじゅう」とよく似ている。

 

中のこし餡は甘さが抑えられていて、しっとりとしている。

 

塩気もほんのり。

 

幻となった片原饅頭もきっとこれに近い、同じ種類の味わいだったのではないか。

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「天青朝しぼり」はやや酸味のある辛口とキレで、この上品で素朴な酒饅頭と合っている。

 

これは当たり、の化学反応だと思う。

 

翌日、気になって「妙見茶屋本店」に電話取材を試みた。

 

思わぬ収穫。片原饅頭と同じルーツだったことがわかった。詳しいことは別の機会に譲るが、明治維新後、武士をやめて酒饅頭屋になったことなどなど。

 

伝説の酒饅頭・・・似てるはずだよ。

 

【サイドは草もち】

あん子「酒饅頭に比べると、こっちはフツーかな。私は草もちが気に入ったわ。よもぎの香りと中のどろりとしたつぶ餡がたっぷりで、いい和菓子屋さんだとわかります」

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編集長「同じ意見だよ。桜もちは中がこし餡。それで面白いのは皮がクレープ状に二重巻きになってること。甘さがかなり抑えられていて、印象がちょっと薄いかな」

 

あん子「やっぱり今回は酒饅頭ですね。添加物は使っていないし、どぶろくで発酵させてるんでしょ? 片原饅頭と同じというのがわかっただけでも編集長の執念が実ったわけですね」

 

編集長「微妙に違うところもあると思うけど、ルーツが同じとわかって、片原饅頭がまったく消えたわけではない。あとは手間暇かけた手造りをいつまでできるかが、気になるくらいかな」

 

あん子「酒饅頭の歴史は鎌倉時代までさかのぼるんでしょ?」

 

編集長「虎屋の歴史とも重なってくる部分がある。中国から来て、それが日本で独自の進化を遂げている。長くなるので、そのあたりはまた別の機会に(笑)。乞うご期待ってとこかな」

 

「妙見茶屋本店」

群馬・高崎市引門町159-1

大胡店 前橋市堀越町848-1

 

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山形ずんだ😋だだ茶豆のじんだん餅

 

これまで何度かずんだ餅の美味さを書いてきたが、今回冷凍便でお取り寄せした山形のずんだ餅・・・いや「じんだん餅」について少し書きたい。

 

枝豆を搗(つ)いたりすり潰したりして作ったずんだ餅の本場は宮城、それも仙台が中心と思っていたが、修正が必要かもしれない。

 

元祖じんだん饅頭をお取り寄せついでに、じんだん餅も注文した。

 

これが素朴の極み、と表現したくなる美味さだった。

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仙台では「ずんだ(あるいはづんだ)」だが、山形に行くと地域によって少しずつ違ってきて「じんだん」南陽市など置賜地方「じんだ」、あるいは「ぬた」山形市など村山地方)と呼んでいるようだ。

 

一般的にはずんだ・・・だが。

 

昔からの郷土食なので、伝言ゲームのように、発音のニュアンスが少しずつ変わっていったのではないか。どちらが先かはニワトリと卵かもしれないので、ここではあえて踏み込まない。

 

今回お取り寄せしたのは、南陽市に本店がある「じんだん本舗 大江(おおえ)」から。「元祖じんだん饅頭」が目玉の和菓子屋さん。

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あん子「前置きが長すぎます。でも名称も味わいもなんだかとっても素朴なずんだ餡・・・間違い、じんだん餡ですね(笑)」

 

編集長「使っている枝豆が希少なだだ茶豆を使っていることかな。枝豆の王様とも言われている、白山地区(鶴岡市)でしか栽培されていない、皮が少し茶色っぽい枝豆で、同じ枝豆でもコクと風味がちょっと違うんだ。仙台のずんだがきれいな風味だとすると、こちらはコクのある風味ってとこかな。ワインに例えると、ブルゴーニュボルドーの違いみたいなもの、だよ」

 

あん子「その例え・・・返って、わからなくなりますよ(笑)。先行ってください」

 

・今回ゲットした2品

 じんだん餅 8個入り 800円(税別)

 元祖じんだん饅頭 5個入り 550円(同)

 ※送料は別途

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【今週のセンター】 じんだん餅

自然解凍したら、究極の素朴(?)が現れた

 

添加物などは使用していないので、解凍したら賞味期限は2日間。宮城のずんだは見た目がきれいな枝豆色が多いが、こちらはうまく表現できないが、少しどろっとしたような熟成した茶豆あんこで、つい美熟女という言葉がよぎった(ハズしたかな?)。

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みずみずしいではなく、自然な円熟した深みの予感。目が吸い込まれそうになってしまった。

 

食感は見た目よりもなめらかで、粒々感が見事に消えている。つまり、枝豆の皮をむいた後、よりていねいにすり潰されているということになる。

 

自然な甘さに近い、かなり抑制された甘さ(砂糖は上白糖を使用しているようだ)。

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白山地方しか栽培していない、だだ茶豆のコクが口の中で吹き上がってくる。

 

塩気が強め。それがウッドベースのように効いている。

 

餅は山形産ヒメノモチを使用、それを杵(機械)で打っているようだ。

 

なので、柔らかすぎず、硬すぎず。きれいな白で、しっかりとしたコシと伸び。

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じんだん餡がたっぷりと付いているので、仙台のずんだ餅とはひと味違う、あまりに素朴な、熟成した旨味で、好みにもよるが、お茶はもちろん、純米酒のアテにも合うのではないかと思う。

 

あん子「フツーに食べると、どこか懐かしいような、素朴すぎるずんだ餅だけど、じっくり潜っていくと、山形の食文化の深さに触れるような気がしますね」

 

編集長「もぐる? いい表現だね。だだ茶豆自体の歴史が江戸時代までさかのぼるというから、伊達政宗も上杉もどこかに隠れていそうだね」

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あん子「宮城もいいけど、山形も侮れないってところですね。ちょっと上から目線ですかね」

 

編集長「下から目線がいいね(笑)。岩手・一関でもずんだ餅を食べたことがあるけど、ずんだの食文化は東北一帯にあるかもね。でも、今やずんだの魅力に日本中が気付いた感じがする。ずんだ⇒じんだ⇒じんだん・・・だんだん広がるずんじんだん(笑)。

 

【セカンドは?】元祖じんだん饅頭

じんだん本舗大江の創業は昭和27年(1952年)。饅頭にしたのは初代で、ごらんのとおり吹雪饅頭である。

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岩肌に雪が降りかかったような姿が吹雪と似ているところから吹雪饅頭命名されたものだが、中が小豆餡ではなく、だだ茶豆の餡なので、見た目もいぶし銀の美しさがあると思う。

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じんだん餅に比べて、こちらはやや粒々感がある。塩気はやはり強めで、それがほどよい甘さと合っている。ふくよかな素朴って感じ。

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あん子「私はこっちも好き。饅頭というのが珍しいですね。甘さが控えめなので、2~3個すぐに食べられそう」

 

編集長「だだ茶豆のコクと風味がストレートに広がるのがわかる。ずんだ餡好きにはたまらない味わいかもね。電話取材して、今回は山形のずんだ・・・じゃなかったじんだんの魅力が少しわかった気がして、ひと口に東北と言ってもいろいろ違うことがわかった。あん子クンが山形好きがわかった気がするよ」

 

あん子「コロナで遠くなったけど、また行きたいですね」

 

編集長さくらんぼの季節あたりかな・・・」

 

「じんだん本舗大江」

所在地 山形県南陽市三軒通37-5

 

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「名物たい焼きvsあんぱん」冷凍対決

 

コロナ禍で遠出がしづらくなり、反比例するように、お取り寄せにハマっているが、マジ意外な発見が多い。思ったよりもお取り寄せに応じている店が多いことがわかっただけでも、ここ2年ほどの収穫だと思う。

 

もちろんお取り寄せできない、とてもいい仕事をしている店も多い。

 

今回のテーマは「冷凍便」

 

あん子「編集長の遠出できない苛立ちがどんどん変化していくのがわかったわ(笑)」

 

編集長「まあね。でもフルーツ大福や水ようかんまで、これまで店に行かないと味わえないと思っていた和菓子が、全部とは言わないけど、クール便や冷凍便で手元に届く。ま、送料はかかるけど、それは仕方がない」

 

あん子「今回は冷凍便でしょう? 広島の『行列店のたい焼き』と岩手のあんこ全開『温泉あんぱん』。南と北。選択がすごすぎ(笑)」

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編集長我が家にいてあんこ旅が楽しめる。生きててよかった気分になるよ(笑)」

 

あん子「も~船が出るわよ。早く先に進めましょ」

 

・今回ゲットした2品

よしおのたい焼き 10個1600円(税込み)

花巻温泉あんぱん 10個2000円(税込み)

※いずれも送料は別途

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【センターは?】

焼き立てを急速冷凍した羽根つきたい焼き

あん子「広島では行列のできるたい焼き屋さんですってね。こっちをセンターにしたのはどうして?」

 

編集長「正直迷ったよ。花巻温泉あんぱんの想像をはるかに超えるつぶ餡の量に心がときめいたし、薄皮のパン生地の焼き色が素晴らしい。だけど、取材したら、主役のあんこが自家製でないことなどを考えると、あんこマニアとしてはよしおのたい焼きを選んだってとこかな」

 

あん子「私もどちらかと言うと、たい焼きが気に入りました。つぶ餡も甘すぎなくて、ふっくらと炊かれていて、冷凍のレベルとしては凄いなあ、って」

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●試食レポ

安芸太田町の本店に電話取材したら、「5~6年前に焼き立てを急速冷凍するようになってから、『こちらで食べるものとそう変わらない』という反応が増えました」とか。

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冷凍を取り出し、ラップをかけずに600Wで約1分レンジでチン。さらにオーブンで少し焼く(時間はお好みで)。

 

編集長「冷凍で届いたときから焼き色が濃いけど、レンジ⇒オーブンと進むにつれて、皮の何とも言えないたい焼き特有の香りが出てくる」

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あん子「でも編集長はオーブンに入れる前に霧吹きで水をちょっとかけたでしょ?」

 

編集長「その方がより地元で食べるものに近くなった気がするよ。自家製のつぶ餡は北海道十勝産を使っているのも好感。甘さがやや控えめで、小豆の風味が素朴でいいよ」

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あん子「塩気もほんのりとあって、私は好きですね。尻尾まであんこが入っていて、冷凍ものとは思えないだわ」

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編集長「そりゃあ広島まで行って食べるのが一番だと思うけど、冷凍でこのレベルは満足まんぞく」

 

あん子「大あっぱれ?」

 

編集長「そこまではいかないよ。中あっぱれくらいかな」

 

【サイドは花巻温泉あんぱん】

姿がとてもいい。卵黄のテカリと焼き色。サイズは左右約65ミリ×高さ55ミリ。重さは133グラム(袋込みで)。

レンジ(500W)で約1分。パン生地は薄く、中のつぶ餡が驚くなかれ全体の7~8割くらいを占めている。

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パン生地の香ばしい美味さ。小麦粉は地場の「銀河のちから」を使っている。中のつぶ餡はむしろねっとりしていて、甘さはほど良い。あんこ好きにはたまらない構成だが、あんこ自体は外注しているようで、よく言えば素朴、別の言い方をすると、あんこの質よりもボリューム勝負のあんぱんだと思う。

 

元々、花巻温泉のグランパティシエが「新しい花巻温泉名物を」と作ったモンスター級のあんぱんで、去年6月からは冷凍販売を始めている。メディアなどでも取り上げられ、多い時には一日千個以上売れたそう。

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編集長「何も考えずに食べると、パンの美味さと圧倒的なあんこに感動すら覚える。乳化剤など添加物を使用しているのはちょっと残念だけどね」

 

あん子「花巻は宮沢賢治の故郷だし、大谷翔平高校は花巻。凄い人が出てる土地でしょ? このあんぱんも頑張ってほしいわ。翔平さんのようにさらにレベルアップしてほしい・・・なんてエラそうに(笑)。がんばれ、花巻温泉あんぱん!」

 

編集長「アイデアも全体も文句なし。あとちょっとだけだと思うなあ。あんぱん甲子園で待ってるぞ~」

 

あん子「あんぱん甲子園? その言い方、ハズしてますよ~(笑)」

 

・所在地 

鯛焼屋よしお 広島・山県郡安芸太田町筧3538-4

温泉ベーカリー 岩手・花巻市湯本1-125ー25

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日光vs福井「水ようかん」対決

 

水ようかんの美味しい季節は夏か冬か。

 

と、限定して考えるのもはや間違っている、と思う。

 

私の答えは「昔はいざ知らず、現在は一年中おいしい」。

 

で、本日のテーマは水ようかんの双璧、日光と福井を4ラウンドVS形式でレポートしてみよう。

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まず前提として、ちょっとズルいかもしれないが、どちらも大好き(ホントです)。ここは礼儀としても押さえなければいけない。

 

赤コーナーの日光は大まかにいうと、こしあんの風味が強めで、角型が特徴。

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一方、青コーナーの福井は黒糖を使用していて、こしあんが弱めで、形は平べったい。冬に食べる水ようかんとして地元に根付いている。

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もちろんどちらも店によって少しずつ違う。

 

なので、この対決はあくまでも個人的な好みで、ご参考までに、と予防線を張っておこう、と思う(へぼレフェリー引っ込め!の声)。

 

青コーナー 日光代表:湯沢屋(ゆざわや)

1箱(10本入り) 1400円(税込み)

赤コーナー 福井代表:錦梅堂(きんばいどう)

1箱(一枚流し450グラム)798円(税込み)

 

〈1R〉店の歴史勝負 

日光湯沢屋の創業は文化元年(1804年)。現在7代目。創業時からの手造り酒饅頭が有名だが、水ようかんの評価も高い。

錦梅堂の創業は弘化4年(1847年)。現在8代目。越前羽二重餅の元祖としても知られるが、昔ながらの水ようかんの評価も高い。

 

〈2R〉あんこ力勝負

湯沢屋は小豆は北海道十勝産小豆、砂糖は「よりコクを出すため」上白糖を使っている。渋切りを少なくして、小豆の風味をより前に出している。

一方、錦梅堂も小豆は北海道産、砂糖は黒糖とグラニュー糖をブレンド黒糖風味とキレをより前に出している。

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〈3R〉味わい勝負

湯沢屋の水ようかんは濃い藤色で、口に入れると、こしあんと寒天が絶妙に溶け合っていて、みずみずしい。こしあんの存在感とコクが深め。

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錦梅堂の水ようかんはやはり黒糖の風味が強く、その分、こしあんは湯沢屋ほど感じない。後からこしあんが追いかけてくる感じ。寒天の存在感が強め

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〈最終ラウンド〉個人的な判定は?

黒糖好きなら福井だが、こしあん好きなら日光に軍配が上がると思う。あえて個人的な好みで言うと、昼食べるなら日光の水ようかん。夜食べるなら福井の水ようかんってところかな。ドローはずるい? では正直に・・・。微妙だが、ほんの少し日光湯沢屋の方が好みに近い。こしあんの風味があんこ好きの私の舌にすっと刺さった。でも、これはあくまでも個人的な好みです(わかった、わかりましたよ=笑い)。

 

所在地

湯沢屋 栃木・日光市下鉢石町946

錦梅堂 福井・福井市順化1-7-7

 

 

 

 

 

こしあん極楽地区の「パンだんご」

 

パンダとあんこ好きにはたまらない、超レアな串だんごを見つけてしまった。

 

その名も「パンだんご」。写真を見ていただきたい。笑える。愛らしい。だけど、食べてみたら、これがとても美味い。中身もクールだった。

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千葉から茨城にかけてあんこ行脚中に常総市石下だんご(いしげだんご)が食べたくなって、立ち寄った。

 

2年ほど前、「春子屋」のうわさを聞きつけて取材したところ、赤福に似た、もっと素朴なだんご(串のない餡だんご)のあまりの美味さ(ドンピシャ好みだった)に目がウルウルしてしまった。その舌の記憶が今も消えない。

 

今回訪ねたのは競うように隣接した「ゆたかや本店」

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こちらの石下だんごも見た目はほとんど変わらない、こし餡も餅も素朴であきれるほど美味い。賞味期限が「本日中」というのも同じ。つまり添加物ゼロ。

 

店内を眺めているうちに、面白い串だんごを見つけてしまった。

 

パンダがだんごになっている・・・おもろ。どんな味わいなのか気になった。

 

・今回ゲットした二品

 パンだんご 2串(150円×2) 300円(税別)

 いしげだんご(黒パック) 450円(税別)

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【今週のセンター】

パンダも驚く?あんこ入りみたらしだんご

 

竹串に刺さったパンダ君は2個。石下だんごを差し置いて、こちらをセンターにしたのはイデアと中身が「ほう」と唸りたくなるものだったから。

 

受け狙い(?)もここまでくると、脱帽もの。

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地場産コシヒカリ米粉を蒸し上げてから搗(つ)いた真っ白いだんごの中に自家製こし餡が入っている。

 

買った後「ちょっとお待ちくださいね」と言われて待っていると、女性スタッフが奥の板場であぶり始めた。いい匂いが来た。仕上げに下の部分にみたらしをたっぷりつけている。

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だんごもみたらしも作り立てがが一番うまい。どちらも無添加なので、日持ちがしないのも好感。

 

その約4時間後、自宅に帰ってから緑茶を淹れて賞味となった。

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目の周囲と手などは竹炭で黒くしている。かわゆい。

 

米粉餅はとても柔らかくて、みずみずしい。

 

中のこし餡はほどよい甘さで、裏側にほどよく塗られたみたらしとの相性もいい。

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店によると、こし餡は地場の小豆を使い、上白糖で炊き上げている。

 

ネーミングも含めて、店主はかなりのアイデアマンと見た。

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「ゆたかや本店」の創業は昭和3年(1928年)。お隣の「春子屋」も同じ創業年だったので、調べてみると、「もともとはこの一帯は食堂街で、最後に残ったのがゆたかやと春子屋なんですよ。昔からだんごも売ってましたからね」(郷土史家)

 

東京など大都市で売ったら案外イケるのでは? という実力を伴った創作だんごだと思う。

 

上野動物園から話が来てもおかしくはない。

 

【サイドは名物石下だんご】

ごらんの通り、素朴な、こし餡が波打つようなだんご。あんこ好きにはたまらない光景だと思う。

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2年前に春子屋のものを食べたときはこし餡の美味さと米粉餅の柔らかさに感動したが、この「ゆたかや本店」もドンピシャ好みだった。

 

地場の小豆を使った自家製のこし餡は色といい、しっとりした舌触りといい、自然に「うめえ・・・」と言葉が漏れるほど。

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控えめな甘さと塩気のバランスがとてもいい。

 

いい小豆の風味が口いっぱいに広がる感覚は、私的には伊勢名物赤福にも劣らない。

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常総市の郊外にかような店が2店舗、競うように90年以上暖簾を下げていることがうれしい。

 

筑西市もそうだが、茨城県南部の底力を感じる。

 

ローカルのあんこ、これからもどんどん発信したい。

 

「ゆたかや本店」

所在地 茨城・常総市本石下3054-5

最寄り駅 関東鉄道常総線石下駅から歩くと約15~20分

 

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まさかの「ずんだ餅3種」お取り寄せ

 

オミクロンと北京五輪などで自宅にこもる時間が増えた。

 

夢は枯れ野・・・じゃなかった、あんこを駆け巡る(笑)。

 

こういう時はお取り寄せに限る。選択はいくつかあるが、最初に浮かんだずんだ餅を取り寄せることにした。

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私がこれまで最も感動したずんだは仙台市の「村上屋餅店」のものだが、生ものなのでお取り寄せができない(残念)。

 

7年ほど前に店の中で食べたずんだ餅とくるみ餅、ごま餅の3種セットがめちゃ美味かった。

 

特にずんだ餅はつきたての柔らかな餅と凍る寸前まで冷やした微粒子のような気品あるずんだが絶品だった。

 

天にも昇るずんだ、というのがあることをこの時知った(それまでの私の認識では、ずんだ餅は主役になれない脇役だった。当時の感想です。すみません=汗)。

 

で、半分あきらめかけた時に、冷凍便で送ってくれる餅屋さんがあることを知った。

 

それが「笠原餅店」だった。

 

過剰に期待せずにネット注文し、その5日後に冷凍便で届いた。

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ずんだくるみあんこ」の3種類(下の写真左から)。

 

説明書に書いてあった通りに約4時間常温で解凍した。

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ごまではなくあんこだったが、村上屋餅店とほぼ同じ構成。これはこれで好感。

 

〈今回ゲットした商品〉

3種もちスイートセット3パック

・ずんだ

・くるみ

・あんこ

合計 1998円(送料込み)

 

【本日のセンター】

枝豆と餅のこだわり、ピュアなずんだ餅

 

ずんだ、くるみ、あんこの3種類の中でもっとも感心したのがずんだだった。

 

餅屋さんなので餅の美味さは予想していたが、ずんだの雑味のないピュアな美味さにちょっと驚いた。

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これまでいくつか食べたずんだの中でも最高ランクの一つ。過剰に期待せずに食べた分、感動もひとしおとも言えなくもないが、一緒に試食した辛口の編集部員あん子クンも「すごくきれいな味わいですね。餅もきめ細やかできれい。たまに買うスーパーのずんだとはワンランク違うわね」と評価したので、編集長の舌もまんざら外れてはいない、と思う。

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枝豆の細かな粒々感、抑え気味の甘さ、塩気。口の中で立ち上がる素朴な風味がきれい。

 

期待以上だったので、元記者のサガでつい電話してしまった。

 

たまたまなのか、電話口に出たのが3代目だった。

 

「枝豆は山形から特別なものを仕入れてます。地元では『秘伝豆』と言われていて、とてもいいものです」

 

それを茹で、ていねいに皮むきしてからすり潰す。砂糖はピートグラニュー糖を使っているとか。

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もち米は地元の「みやこがね」。昔ながらの製法で、ガスは使わずに薪を使ってかまどで炊き、機械で搗いている。きめ細やかで粘りの強い餅ができるんです、と口数少なめに語る。そのこだわり方。

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大好きな酒蔵「清水酒造 花菱」の純米吟醸生原酒とマッチングしてみたら、これが絶妙にプラス1になっていた。

 

ずんだ餅は日本酒に合う、と再発見した気分。

 

【サイドはくるみとあんこ】

個人的な評価ではずんだほどではなかったが、餅の美味さが目立つので、くるみもほどよい美味さだった。

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くるみは北米産をすり潰して砂糖を加えたもの。

 

くるみの風味とねっとり感がくるみ好きにはたまらない。塩気が効いていて、柔らかな餅を引き立てている。

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あんこはきれいなこしあんだが、あんこ好きとしてはもっとボリュームが欲しい。ちなみにあんこだけはあんこ屋さんから仕入れているとか。

 

3種類を味わってみて、最後に私の好みを言わせてもらえば、1位は断トツでずんだ、2位くるみ、3位あんこの順。

 

とはいえ、レベルの高いずんだ餅が冷凍でお取り寄せできることに天国の伊達政宗もびっくりしているに違いない。

  

ずんだ餅は戦国武将・伊達政宗が最初に考案とも言われている(諸説ある)。政宗は相当なグルメ大名だった。

 

「笠原餅店」

所在地 宮城・黒川郡大和町吉岡中町45

 

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