週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

日曜増刊号😎湧き水「元祖葛まんじゅう」

 

新宿高島屋で開催された「旅する和菓子」で、人気を集めていた一つが「元祖葛(くず)まんじゅう」だった。

 

福井・小浜市「御菓子処 伊勢屋」の逸品。

このイベントのためにわざわざ小浜から地下30メートルから湧き出ている名水「雲城水」(名水百選にも選ばれている)を運んできた。すごいこだわり方。

 

6代目が熟練の技で自家製の葛生地を造り、手づくりあんこ玉を包み、名水に浮かべていく。

つい見入ってしまった。

 

夏季限定の商品だが、今回は「旅する和菓子」イベントのためにスペシャルサプライズとなったようだ。

本当なら福井まで足を運んで、若狭名物「丁稚羊羹」(同店のもう一つの目玉)などと一緒に味わうべきものだと思う。

 

自分の目と足と舌であんこ旅を続けている身としては、これはラッキーなのかアンラッキーなのかわからない(汗)。

 

だが、見てしまった。

 

迷っている場合ではない。

 

この2月の時期に味わえるのは「餡ラッキー」とあんこの神様に感謝することにした(当たり前だ)。

 

★ゲットしたキラ星

 元祖くずまんじゅう 3個入り 660円

 桜どら焼き 250円

 ※価格は税別です。

 

金星あんこ:元祖くずまんじゅう

《見た目》名水に浮かぶ半透明の葛生地。淡い光を吸い込むように自家製こし餡がしっかり控えている。

一見すると、和菓子屋さんで見かける水まんじゅうと変わらないが、ガラスの皿に置いてよくみると、そのオーガニックな気品と奥行きに「ただならぬもの」を感じた。

 

秘すれば花、の誘惑。

うっすらと見えるこし餡、その赤紫色のオーラと甘い予感

 

一個のサイズは約45ミリ、横から見ると半円形で、一個一個微妙に形が違う。

 

絶妙な手づくり感。

 

《味わい》葛の風味がプルプル感とともに舌と口の粘膜をくすぐる。たまらない。

すぐ後から自家製こし餡の波が押し寄せてくる。

 

甘さは控えめ。だが、厳選あずきのいい風味がドドと来る。

口どけが素晴らしい。

 

次第に今自分が食べているのは「水の精」ではないか、と思えてきた。

 

あずきの精と水の精のマリアージュ

葛はあの江戸時代の儒学者頼山陽吉野葛に負けない、と感嘆した福井・熊川葛を使用している(頼山陽は美食家としても知られている)。

 

葛生地は素材の美味さを生かして砂糖は加えていない。

 

自家製こし餡は北海道十勝産×白ザラメ。

添加物などは加えていないので「できれば今日中に召し上がってください」。

 

食べながら目を閉じて舌の上で溶けていく極上感を味わう。

 

夏ではなく、寒い冬に味わえるなんて。

 

「旅する和菓子」を旅をしないで味わうなんてこれでいいのか、贅沢すぎる。

 

銀星あんこ:桜どら焼き

こちらも季節限定品。塩漬けした桜葉をまとったきつね色のどら皮が気分をリッチにする。

ユニークなどら焼き、独創力を感じる。

サイズは約80ミリ、重さは73グラムほど。

 

大きくはないが小さくもない。

 

《味わい》どら皮のしっとり感がとてもいい。卵の黄身と蜂蜜のバランスもいい。

中は自家製つぶ餡。このあんこが格別で、よく見るとつぶとこしを別々に炊いて合わせたような、つぶのテカリとこしの蜜な感じがいい掛け算になっている。

塩漬け桜葉が一足早い春を運んでくるようで、これは絶妙などら焼きだと思う。

 

桜粒の塩気がいアクセントになっている。

 

●あんヒストリー

創業は天保元年(1831年)。現在5代目。息子さんの6代目も新進の和菓子職人としてコンテストで受賞する他、フランスで和菓子のワークショップ行うなど活動の幅を広げている。注目の若手の一人。

 

「御菓子処 伊勢屋」

所在地 福井・小浜市一番町1-6