週刊あんこ

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つぶ餡とこしあん😎京老舗の焼き菓子

 

「あん古都」京都の奥深さについて。今回は焼き菓子を取り上げたい。

 

キラ星が多すぎて、選択が容易ではないが、たまたま出会った「本家玉壽軒(ほんけたまじゅけん)」の二品をご紹介したい。

 

つぶあんこしあんの絶妙な焼き菓子。

「くずや」と「茶つう」という老舗らしい菓子名で、上生菓子やまんじゅう、餅菓子とはひと味違う、凝った味わいを楽しめる。

 

●あんポイント

「本家玉壽軒」の創業は慶応元年(1865年)。現在6代目西陣の織屋「井筒屋」から菓子屋に転じた老舗で、明治に入ってから屋号を「玉壽軒」に変え、菓子屋専業になっている。京都の老舗中の老舗でつくる「百味會(ひゃくみかい)」のメンバーでもある。

 

【出会うまで】

京都独自の大徳寺納豆を使った「紫野(むらさきの)」が有名だが、私の興味はむしろ冬期限定の名物、酒まんじゅう高砂饅頭(たかさごまんじゅう)」だった。

今出川通りに面したレトロな表屋造りの暖簾をくぐると、夜空の星のような上生菓子が浮かび上がるように並び、その横辺りに焼き菓子くずや」と「茶つう」が見えた。

6代目がいらして、少しだけお話を伺うことができた。

 

麹を使う「高砂饅頭」はまだつくっていない、とのこと。

 

手間ひまがかかるため、例年なら11月に入ってから作り始めることが多いが、今年は暑さが続いたため、「少し遅れてます。まだ目途が立っていません。これからです」とか。

 

時期をもっと調べておくべきだったよ😥

方向転換。高砂饅頭はあきらめて、この二品をゲットした。3個ずつ計6個を箱詰めにしてもらう。ていねいな応対は老舗のもの。

 

・くずや 1個税込み152円×3個

・茶つう 1個税込み130円×3個

 

【センターは?】

不思議な形「くずや」の皮とつぶあん

 

「くずや」とは日本古来の屋根、葛屋葺き(くずやぶき)の形を菓子名にしたそう。

 

賞味期限が約1週間なので、自宅に帰ってから賞味した。

焼き色が栗饅頭のようだが、栗は使っていない。

小麦粉と卵を使った皮は絶妙な固さで、歯触りがほっくりしている。

中が大納言小豆(北海道産)を使ったボリューミーなつぶあんで、やや甘め。砂糖は白ザラメを使っている。大納言小豆のいい風味が口の中でどんどん広がる。

焼き菓子なので、水分が少し飛んでいるが、しっとりしていて、思ったよりも柔らかい。その崩れ落ちる小豆の食感が生菓子とは違う、独特の素朴で香ばしい風味を生んでいる。

舌の上でやや硬から軟へ混じり合う。口どけがとてもいい。これがホントのあん楽死?(昇華の意味です)と冗談を言いたくなる。

 

【サイドは茶つう】

こちらは皮に抹茶を使った焼き菓子。

もっちりとした皮で、表面の焼き色とちょこんと付いた黒ごまがいいアクセントになっている。

 

こちらのあんこは北海道産小豆のこしあん。控えめな甘さ。

こちらも口の中で混じり合うと、抹茶のほのかな香りが全体をふんわりと包んで、上品なこしあんがシンプルに生きてくる。

 

黒ごまの風味もそれなりに効いている。茶席の和菓子としても使われている。

 

●あんポイント 西陣にある「千本玉壽軒(せんぼんたまじゅけん)」は「本家玉壽軒」から昭和13年(1938年)に暖簾分け。こちらも「百味會」のメンバーになっている。間違える人も多い。

 

「本家玉壽軒」

所在地 京都・上京区今出川通大宮東入ル

最寄り駅 地下鉄烏丸線今出川駅」から歩約15分