週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

日曜増刊号:金星あんこ🤩鹿の子の驚き

 

約10年以上も前のこと。

 

たまたま訪れた結城紬ゆうきつむぎ)の町、茨城・結城市の和菓子屋さんで買った「田舎饅頭」の美味さに驚かされた。

 

古い店構えで、当時はたいして期待せずに入って、田舎饅頭や結城名物・ゆでまんじゅうを買い求めた。

すべてが大きめで見るからに手づくりとわかる饅頭類がいくつか。

 

今思うとわが身の傲慢さに腹が立つが、当時はローカルというだけで、京都や東京などの和菓子屋より少し下に見ていた(無意識のうちに)と思う。

 

だが、自宅に戻ってから食べたら、やや黄色みがかった皮生地のふっくらした密度と、何よりもぎっしりと詰まったつぶあんの吹き上がるような美味さに心がときめいた。

 

その後、結城に行くたびに立ち寄ったが、売り切れていたり、休業だったりと、縁がなかった。罰が当たったのかもしれない。

 

店の名前は「和菓子処 山田屋」

今回は早い時間だったので、ようやくゲットできた。

・ゲットしたキラ星

 田舎饅頭 105円

 ゆで饅頭 100円

 茶饅頭  95円

 鹿の子135円

 ※いずれも税別です。

 

☆金星あんこ:鹿の子(かのこ)

 

〈個人的評価〉10年前は見かけなかった(売り切れていたのかもしれない)「鹿の子」にあんこころがときめいた。

 

表面を覆う大粒小豆の明るい小倉色とボリューム感。

一般的な鹿の子よりも一回り大きい。

 

ほぼ円形で左右天地約48ミリ×重さ約60グラム。

菓子楊枝を入れると、中はきれいなこしあんこしあんも自家製)で、口に運ぶと、しっとりとしていて、いい小豆の風味が衝撃的に広がるのがわかった。これは?

甘すぎない、ふくよかな甘さ。

 

プラス。塩気が絶妙で「キミ、いい塩梅だね」と話しかけたくなるほど、オーバーではなく、心にまで染み入ってくる味わい。雑味のなさ。

「田舎饅頭」が目的だったのに、今回は「じゃない方」の鹿の子に傾斜してしまった。

 

●あんヒストリー 現在3代目。創業は「私で3代目ですが、はっきりとはわからないんですよ」とか。おそらく大正か昭和初期創業ではないか。「作り方はおじいちゃんから受け継いだやり方です」とか。和菓子の専門学校に行ったとか、どこかで修業したではないようで、代々伝承というのが希少だと思う。結城にはゆで饅頭が売りの和菓子屋さんが数軒あるが、私が個人的に耳にした地元の口コミでは「やっぱり山田屋ですよ」という声が意外に多かった。他の店も十分に美味しいが。

 

★銀星あんこ:田舎饅頭&ゆで饅頭

 

〈個人的評価〉つぶあんの美味さも素朴で高いレベル。小豆は北海道産、砂糖は上白糖。じっくりと炊いていることがわかる、小豆の皮がとろけるよう。塩気もほどよくある。

田舎饅頭の生地のもっちり感と独特の風味。店主の手の形が温かく残る包み方。それはゆで饅頭にもしっかりと受け継がれている。

ゆで饅頭(写真下)の方がつぶあんは水分がほんの少し多い(茹でているからだと思う)。皮が半透明でそそられる。

甘さを抑えて風味を見事に引き出している。

 

10年以上前、あれほど感動したのに、今回はゆで饅頭の方がマリアージュ的にはズドンと来た。体調のせいかもしれないが(笑)。

 

もちろん田舎饅頭の美味さも筆舌に尽くしがたい。

 

「和菓子処 山田屋」

所在地 茨城・結城市白銀町386

最寄り駅 JR水戸線結城駅から歩約2分

 

           

 

 

 

 

 

 

わらび餅×藤紫こしあん😎古河の珠玉

 

今回は茨城の古都・古河市で出会った素晴らしき和菓子屋さんについて書きたい。

 

「プロフェショナル」と呼びたくなる和菓子職人さんはそう多くはないが、ここは首都圏でもいぶし銀のオーラを放つ店の一つだと思う。隠れた名店。

 

蔵造りの店構え。

 

「和心 いちえ」の看板と暖簾。「わらび餅」のノボリ。

上生菓子から酒まんじゅう、どら焼きまで、作っている和菓子がいずれも珠玉のようで、菓銘も京菓子の伝統を引き継いでいて、一品一品が凝っている。

 

志の高さを感じる店。

 

★ゲットしたキラ星

 わらび餅 1個130円

 冬の便り(上生菓子) 280円

 大納言甘納豆めぐみ 一袋700円

 夢咲まんじゅう(酒饅頭)120円

 栗薯蕷(上生菓子)180円

 鮒焼(半生焼き菓子)130円

 ※価格はすべて税別です。

 

【センターは?】

 ゲットした和菓子は量よりも質にこだわったものであることが、見た目から食感まで一貫している。

なので、どれをセンターに持ってきても耐えられるレベルだが、私の個人的な好みから、「わらび餅」を選んだ。

 

わらび餅:まずはお姿を見ていただきたい。

ほぼ球形で、直径45ミリほど。ほどよい大きさ。重さは約50グラム。

焦がしきな粉のかかり具合、本わらび粉を使った柔らかなわらび餅、かすかに透けて見えるこしあん

 

秘すれば花の小世界。

 

ひと目でこれは美味い、と確信した。

 

〈味は?〉わらび餅は薄い膜のようで、ぷにゅりとした柔らかな歯ざわり。焦がしきな粉の香ばしさがふわりと来た。

驚くべきはたっぷりと詰まった自家製こしあん

きれいな藤紫色。

 

しっとりと舌に絡みついてきた。

甘さが控えめで、むしろあっさりしている。

 

小豆は十勝産「ふじむらさき」を使用、この一点だけでも店主のこだわりがわかる。

 

砂糖も基本的に白ザラメ。

 

雑味のない、きめ細やかなこしあんで、舌に残る余韻もとてもいい。

 

●あんヒストリー 創業は2003年(平成15年)。古河市の老舗和菓子店「はつせ」の次男で、長男が「はつせ」を受け継ぎ、次男がこの「いちえ」を創業している。 店名は一期一会から取っているようだ。和菓子専門学校を出てから東京の老舗で修業し、父親の「はつせ」に入り、そこから独立している。達人が腕を競う「TVチャンピオン」(テレビ東京)にも出場している。

syukan-anko.hatenablog.jp

【サイドは?】

上生菓子「冬便り」:羊羹と浮島(蒸し生地)、3層の美しい生菓子で、雪の結晶のアクセントも効いている。

すっきりとした練り羊羹と儚い甘さの浮島のコラボが素晴らしい。上生菓子は3種類ほど置いてあったが、菓銘も含めて、店名通り「和心」を感じさせてくれる。後味がきれい。

 

大納言かのこ「めぐみ」高級な丹波大納言をじっくりと蜜煮した上質な甘納豆。ふっくらと煮詰められていて、個人的にはとても気に入った。

小豆の凝縮した風味を楽しみたい人にはおすすめ。皮まで柔らかい。

 

夢咲まんじゅう:小ぶりな酒饅頭で、酒種のいい香りと中のこしあんがいい具合に広がる。地場の酒蔵の酒粕を使用。ここにも手抜きがない。

栗薯蕷(くりじょうよ):凝った薯蕷饅頭で、中は栗あん。栗は熊本産。小ぶりだが、甘さを抑えた栗あんと薯蕷皮(米粉と大和芋の皮)のマリアージュが素晴らしい。

鮒焼:古河名物「鮒(ふな)の甘露煮」を形どった一品。黒糖を使ったしっとりした半生焼き菓子で、中のつぶあんとよく合っている。ねっとりとした食感がクセになりそう。

《小豆のつぶやき》

▼ローカルでこれだけの和菓子をつくり続けるのは凄いことと思う▼店主と女将さんの二人三脚ぶりが伝わってくる▼東京ならこの価格の倍くらいの内容ではないかな▼ベースの小豆に希少な「ふじむらさき」を使っていることもあんこ好きの心がくすぐられてしまった。

 

「和心 いちえ」

所在地 茨城・古河市東1-3-10

 

           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日曜増刊号:金星か「ネオあんこ」おはぎ

 

あんこ旅の途中、前橋で面白いあんこ店と出会った。

 

日曜増刊号はこの店。

 

出会いは偶然だった。

たまたま趣味的な洋服店に入り、そのときの雑談の中で、店員さんが「最近できたあんこの専門店で、珍しいおはぎやあんこのエクレアなどもあり、とっても美味しいんですよ」と教えてくれた。

 

半信半疑のまま好奇心で、その店「あんこもん」に足を運んだ。クールな店名。

前橋にはいくつかいい和菓子屋さんがあるが、ここはまだオープンして半年足らずの店だった。テイクアウト専門のよう。

 

「あんこもん」の白地の暖簾とメニューボードに目が行った。

ネオあんこの世界かな。

 

お洒落なカフェのような、明るい店構え。

奥がガラス張りで、女性のパティシエが制作中だった。いい光景。

「あんこで街を元気にしたい」

 

という文字も見えた。

創作おはぎが目玉のようで、数種類のおはぎが「おいで」をした。

 

ベースのおはぎは2種類。つぶあんこしあん

 

☆金星あんこ:つぶあんおはぎ

 

〈評価〉丸い、小ぶりの手づくりおはぎで、つぶとこしを白い紙箱に入れてもらう。

それぞれ1個250円(税込み)。コスパ的には微妙な設定だと思う。

 

だが、これが予想を超えた絶妙なあんこで、特につぶあんはほぼ毎日赤鍋でつくっている、というだけあって、その数時間後、自宅に持ち帰って試食したら、星三つの美味さだった。

北海道産えりも小豆×きび糖。もち米は新潟産みやこがね。

 

砂糖の量をかなり抑えていて、豆本来の自然な風味を最大限に生かしていることがわかる。

甘すぎない、むしろ甘さが淡い。

 

あずきももち米も柔らかく、実にふっくらと炊かれている。

「元々が『あんこで街を元気にしたい』と始めたことなんです。あんこ好きが集まって、あれこれ試行錯誤しながら、理想のあんこを追求して、ようやく店を出すまでになったんですよ」(代表の本橋豊さん)

 

なので、プロの和菓子職人はいない。

 

あんこ好きによるあんこ好きのための店、ということになる。

 

★銀星あんこ:こしあんおはぎ

 

〈評価〉こちらは白ザラメを使用。しっとりとした、品のいいあんこで、富岡市の製餡所にオリジナルのレシピを渡し、つくってもらっているそう。

 

つぶあん(右)は自家製、こしあん(左)は製餡所製。

こしあんづくりはさらにひと手間かかるので、全国的に製餡所に依頼する和菓子屋さんが増えている。

 

面白いのはもち米に赤米など雑穀米を混ぜ、その素朴な食感と風味がとてもいい。

こしあんはみずみずしく、舌触りがなめらか。

 

甘さもかなり抑えている。品のよさ。塩気は感じない。

 

プロの和菓子職人顔負けの美味しさだと思う。

 

★銅星あんこ:エクレあん

 

〈評価〉この店のユニークさがわかる逸品。手焼きのエクレアにこしあんとバタークリームをサンド。1個400円と価格設定はやや高めだが、実際に味わうと、エクレアの焼き加減がとてもよく、こしあんと塩味のあるバタークリームがいい混じり方をしていると思う。

素晴らしき素人のあんこ。そのアイデア力。

 

「あんこで街を元気にしたい」という思いも加味されて、このチャレンジが成功すると確信したくなった。

 

😎教訓=ちょっと残念だったのは、他の品書き(スパイスおはぎ、チャパタの気まぐれあんバターなど)が売り切れていたこと。少量生産なのかもしれない。なので、味わうのは次回以降となってしまった。

 

「あんこもん」

所在地 群馬・前橋市千代田町3-4-7弁天通り

 

             

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界初⁉あんこバー😎創作おはぎ食べる

 

これってあんこの新大陸か?

北関東の田園地帯(小山市郊外)に突如出現した、あんこのテーマパーク「AOYAカンパーニュ」に行ってきた。カンパーニュとはフランス語で「田舎」の意味。

隈研吾が設計したモダンな建物に「ほお~」となる。

 

1階があんこバー(世界初とか)とカフェレストラン。バラエティーに富んだ和洋スイーツ類もきれいに置いてあり、オシャレなスタッフがそれぞれの持ち場で初々しく動いていた。

目を引いたのが「あんこバー」で、えりも小豆のつぶあんや和栗あん、ピスタチオあん、チョコレートあんなど12種類ほどのオリジナルあんこジェラート屋のように並べられていた。

 

「ほお~」がまた出かかる。

 

キリがないので、私が特に気になった2種類の「あんおはぎ」とあんキューブをピックアップしたい。

 

★ゲットしたキラ星

 ●あんおはぎ2種

 栗あんとさつまいもあん 800円

 あんキューブ(つぶあん)200円

 ※すべて税込みです。



【センターは栗あんおはぎ】

モンブランおはぎの合体、怪物的創作おはぎ

 

見た目:まずはその外見に目が釘付け(下の写真㊨)

上から見ると、まさに洋菓子のモンブラン。なんちゅうこっちゃ。

 

栗あんのペーストと頂上の蜜煮栗(金粉までかかっていた)が和菓子とは思えない。

スケール(デカさ)と重量感。

 

自宅に戻ってからサイズなどをボディーチェックしたら、重さが177グラムもある。

1個当たり400円になるのでそう安くはない。

 

驚きはモンブランすぐ下の世界

 

つぶあんのおはぎが丸ごと1個、どっしりと隠れていた。

なんちゅうこっちゃ。

 

味わい:包丁で切ってみたら、断面がほぼ4層(もち米、つぶあん、2種類の栗あん、蜜栗)になっていた。

栗あんのボリュームが圧倒的。

 

この栗あんは多分白あんと栗ペーストのマリアージュで、こってりと甘い。

渋皮の点々も見える。オーガニック。

 

三口めくらいまでは「これはイケる!」だったが、次第に重いため息になってきた(単に個人的な感想です)。怒涛の甘さ。

主役は栗あんでつぶあんは脇役。

 

金粉の蜜栗のアクセントが意外に光る。

 

数種類の味わいの変化がおもしろい、と思う。

 

【セカンドはさつまいもあんおはぎ】

見た目と味わい:栗あんおはぎよりも幾分小さめだが、元が大きいので、やはり重量感がある。

さつまいもあんは白あんと紅あずまを合わせたもので、栗あんほどの衝撃はないと思う。

 

穏やかで優しい味わい。甘さも控えめ。

すぐ下には同じようにつぶあんのおはぎが丸ごと。

 

こちらの方がつぶあんをより感じる。

 

栗あんおはぎが強烈なので、一息ついてから熱いほうじ茶と一緒に食べると、ほっこりとした安心感が広がる感じ。

 

●あんヒストリー 

AOYAカンパーニュが業界の注目を浴びながらオープンしたのは去年(2023年)7月23日。なので、まだ半年にも満たない。とはいえ、小山市の老舗和菓子店「蛸屋総本店」(創業昭和38年=1963年)が母体なので、こうした新しい試みもしっかりとした歴史がある。一説では蛸屋のルーツは伊達藩の和菓子司「赤壁楼」にまでさかのぼるとも言われるが、2017年一時経営破綻、その後外食産業坂東太郎グループの傘下に入る。

 

【もう一品、あんキューブ】

これは面白い焼き菓子。女性のパティシエがあんこバーの中で焼いていて、ガラス張りなので、その作業を目で楽しむこともできる。

あんこは3種類(こし、粒、白)。サイズは約38ミリのキューブ形。私が食べたのはつぶあんだが、バターカステラの生地と中のつぶあんの塩加減がよく合っていて、いい箸休めになった。

小さめなので何個でも食べられる感じ。

 

焼き印もクールだと思う。

 

あんこ好きにとっては田園地帯に出現したあんこのテーマパークのようでもあり、ドライブスルー(国道50号沿い)にも対応しているので、売り方にも新しさを感じる。このチャレンジが今後どうなっていくのか、楽しみでもある。

 

《小豆のつぶやき》

▼こうした動きはあんこルネッサンスのムーブメントの一つだと思う▼あんこの世界が大きく動き始めている▼SUSHI⇒RAMEN⇒ANKOの時代がくるかも▼とはいえベースは職人の手の和菓子▼伝統と斬新、二極化がさらに進むかもしれない。

 

「AOYAカンパーニュ」

所在地 栃木・小山市萩島116-1

 

            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日曜特別号:十条の金星「ぼたもち」

 

日曜新企画、増刊号「はみ出しあんこ情報」は、ディープなファンが多い、十条銀座商店街の金星のれん「だるまや餅菓子店」「ぼたもち!」です。

「おはぎ」と言わないところが下町らしくてシビれる。

 

😁一説では萩の季節(秋)は「おはぎ」、春の牡丹の季節は「ぼたもち」。だが、個人的な語感としては「ぼたもち!」に平伏したくなる。こころから。

 

なので、だるまやで「ぼたもち」の表記を見ると、あんこころがヨロとよろめく。

 

ここのぼたもちは2種類

つぶあん(左)とこしあん(右)。それぞれ1個250円(税込み)。

 

☆金星あんこ:こしあんのぼたもち

 

〈評価〉でかい。サイズは約70ミリ×50ミリ。重さもヘビー級108グラム。

実にしっとりとしたこしあんで、塩気がかなり強め。

 

その塩気があんこの粒子の中にしっかり馴染んでいて、食べた瞬間、「うめえ」と言葉が漏れるほど。絶妙なアクセントだと思う。

つぶあんの素朴に対して、ある種の気品すら感じる。

 

その分厚さ。

 

甘すぎないのも後を引く。

 

餅米は山形産(ヒメノモチ?)を蒸し籠で二度蒸し。途中で塩水を振りかけ、味に深みを与えている。目に見えない、手の込んだ作り方。

素材へのこだわりは小豆(栽培農家にまでこだわる)を見てもわかる。

 

以前、3代目が「いいものならどこまでも探しに行く」と話していたことを思い出す。

 

創業は1947年(昭和23年)。2代目が昔気質のいい和菓子職人で、女将さんとともに店を仕切っているが、たまたまなのか3代目は旅に出ていて不在だった。

併設する甘味処で「田舎しるこ」もいただく。極楽は確かにある。

 

★銀星あんこ:田舎しるこ

 

〈評価〉この田舎しるこはあまりに素朴で、評価に困った。

 

ごらんの通り、柔らかな粒々の海。湯気。その素朴が小豆の原始的なパワーを「お若いの、そう急ぎなさんな」とたしなめているような、穏やかな味わいで、それゆえに、焼いた餅(2枚)の一部焦げすぎ?も気にならない。

アクをわざと残している?  

 

ぼたもちほどではないが、こちらもいい塩気がほんのり。

 

この唐変木め、これが本来の田舎しるこっつうもんだ。と言われている気までしてくる。

 

NGあんこではなく、銀星あんこ

 

となりのテーブルで男女3人組がかき氷を美味そうに食べていた。

 

ここはかき氷の人気店でもある。冬にもかき氷、というのが下町の甘味処の矜持だと思い知らされた。

 

😎教訓⇒以前食べて感動した「あまおう草餅」は今回は売り切れていた。あんこの神様はときに気まぐれでもある。

 

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「だるまや餅菓子店&甘味処」

所在地 東京・北区十条仲原1-3-6

 

            





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅白しるこ」vs「あわぜんざい」悩む

 

浅草に行くか、上野にするか令和6年の最初の悩み。

 

目的はおしることぜんざい。

このところ毎年、正月は浅草なので、今年は湯島天神に参拝してから、上野であんこ初めを選んだ。

私にとっては懐かしい場所(昔住んでいたので)。

 

で、寒風の中、「あんみつ みはし本店」に着地した。

前日に電話で混雑状況を確かめ、店のスタッフから「午前中の方が比較的空いてますよ」とのアドバイスを得て、暖簾をくぐったのは午前11時前。

 

このあたりの応対も下町気質の残る「上野みはし」ならでは。いいね。

 

特に「紅白しるこ」は正月限定で、「10日までです」とか。

 

ぎりぎり間に合った(電話したのは9日)。正月早々餡ラッキーだよ。

 

★ゲットしたキラ星

 紅白しるこ(つぶあん) 720円

 あわぜんざい(こしあん)720円

  ※いずれも税込みです。

 

【センターは?】

奇跡の一椀「紅白しるこ」

 

寒ければ寒いほど、温かいおしることぜんざいは五臓六腑、いや心にまで沁みる。

 

全身あんこ好きとしては二つを同時に味わいたい。

 

女性スタッフが二つのお椀を置いていった。くすっと笑みを浮かべた気がした。

 

二つが東西横綱の土俵入りのように並んだ。

写真右が紅白しるこ、左があわぜんざい。たまらん。

 

蓋を取る瞬間、幸福ホルモンで卒倒しそうになるが、ぎり踏ん張る(笑)。

恍惚の踏ん張り、てか。

 

紅白しるこ:紅白の焼き餅(大きめ)が二つ。濃厚なつぶあんの海に浮かぶ。熱い海。

〈味わい〉どろりとした小豆の粒々のテカリ、水分量が少なめなので、箸に乗せることもできる。

 

北海道産小豆のいい匂い。砂糖は上白糖だと思う。

濃厚な甘さ。コク。

 

焼き餅の香ばしさと伸び。

洗練というより、素朴な、上野の一途な野暮を隠し味にしたような、つぶあんのしるこで、塩気が文字通りいい塩梅になっている。

 

みはしの掟。ボリュームが素晴らしい。

紅白の焼き餅2枚を頬ずりするように食べると、セロトニン(幸せホルモン)の波が押し寄せてきた。

 

【セカンドは?】

あわぜんざい:なめらかなこしあんとプチプチもちきびの合体。

〈味わい〉浅草「梅園」のあわぜんざいとほとんど同じ構成だが、どろりとしたこしあんの味わいがほんの少し違うと思う。炊き方の違いかもしれない。

 

あくまでも個人的な印象。

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浅草梅園=洗練度が高い。吹き上がる小豆の風味。

上野みはし本店=素朴度が高い。全体のボリューム感。

昔は粟(あわ)を使用していたが、どちらの店も現在はきびを使っているようだ。

 

みはしのもちきび(北海道産もちきびを使用)の方がプチプチ感が強い印象で、素朴なこしあんとのマリアージュもより素朴を感じる。

どちらもこしあんの美味さがマックスに近い。

 

塩気はあまり感じない。

 

もちきびのクセがなめらかなこしあんとよく合う。

 

粟餅は京都・北野「澤屋」や会津・柳津「粟まんじゅう」など、古くから日本人の舌を魅了してきているが、こしあん(江戸⇒東京ではぜんざい)との相性がピカ一だと思う。

 

上野みはしの箸休めは小梅。これが小粋。

二つをすっかり堪能すると、こいつは春から縁起がいいわい、言葉が自然と洩れた。

 

●あんヒストリー

創業は昭和23年(1948年)。現在2代目。戦後間もないころ、上野公園下であんみつ屋を開く。「みはし」の店名の由来は上野寛永寺への参道を横切っていた不忍池からの川に三つの橋が架かっていたことから。地名も三橋町だったようだ。素材選びからあんこへのこだわりが深い。

 

《小豆のつぶやき》

▼上野界隈はあんこ好きにはたまらない▼「黒門町うさぎや」や「つる瀬」、甘味処「みつばち」、さらに足を延ばすと江戸根元、最中の「壺屋総本店」、さらにさらに・・・▼挙げるときりがないほどの隠れたあんこエリアでもある▼胃袋と財布が足りなくなる。

 

「あんみつ みはし本店」

所在地 東京・台東区上野4-9-7

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日曜特別号:金星あんこ&NGあんこ

 

今週から毎週日曜日に「はみ出しあんこ情報」をお送りしたいと思います。

 

特に感動したあんこ菓子と、がっかりしたあんこ菓子を個人的な好みでテーブルに乗せていく予定です。

 

なので、舌の調子で、判断が微妙にズレるかもしれません。

 

「喝!」と「あっぱれ!」が正反対の意味を持つこともあるかもしれません。

 

その場合はどうか笑ってお許しください。

 

☆金星あんこ:池袋紅谷の「豆大福」

〈評価〉さほど期待していなかった分、実際に目で見て、味わって、「これは凄い!」と驚かされた。

柔らかな羽二重餅に赤えんどう豆が想定外の量。餅粉のかかり具合とボリューム感(約94グラム)。目への誘惑。美しさ。

 

中のつぶあんは藤紫色で、小豆の皮が歯に引っかからないほど、柔らかく炊かれていた。雑味が見事にない。

甘さが薄い(淡い)のが、好みの分かれるところだと思うが、店主の凄腕から見て、豆本来の甘みを味わってほしい、との思いも透けて見えた。

 

個人的な尺度で「金星」に値する、東京の隠れた偉大な豆大福だと思う。

 

★NGあんこ:品川区某所の栗蒸し羊羹

〈評価〉期待していた分、がっかり度が高かったのが、人気地帯の和菓子屋さんでゲットした栗蒸し羊羹。店名はあえて伏せる。

 

「今出来たばかりで、とっても美味しいですよ。食べるとすぐわかりますよ」

 

店の方にそう言われて、とても感じもよかったので、「じゃあ一棹お願いします」と購入した。

 

だが。

 

冷凍された栗蒸し羊羹だったことに少し違和感を感じたが、解釈をいい方に考えて、翌日、自然解凍してから、賞味した。

 

かすかな匂いが冷凍庫のすえたような匂い。

 

いい匂いが来ない。

 

確かに食べたらすぐにわかった(笑)。

 

だが、文句は言わない。

 

昔、銀座のワインショップで、ベテランの女性ソムリエから「ワイン、特にビンテージものはハズレても文句を言ってはいけません。当たりハズレがあるのがワインなんですよ」とたしなめられたことがある。確かに。

 

なので、今回は私のミスジャッジ、眼鏡違い、と苦笑いするしかない。

 

ハズレはやがて当たりへの近道になる。と無理やり考えを変換する。

 

😎教訓⇒栗蒸し羊羹がすべて美味しいと、思う方がむしろおかしい。