約10年以上も前のこと。
たまたま訪れた結城紬(ゆうきつむぎ)の町、茨城・結城市の和菓子屋さんで買った「田舎饅頭」の美味さに驚かされた。
古い店構えで、当時はたいして期待せずに入って、田舎饅頭や結城名物・ゆでまんじゅうを買い求めた。
すべてが大きめで見るからに手づくりとわかる饅頭類がいくつか。
今思うとわが身の傲慢さに腹が立つが、当時はローカルというだけで、京都や東京などの和菓子屋より少し下に見ていた(無意識のうちに)と思う。
だが、自宅に戻ってから食べたら、やや黄色みがかった皮生地のふっくらした密度と、何よりもぎっしりと詰まったつぶあんの吹き上がるような美味さに心がときめいた。
その後、結城に行くたびに立ち寄ったが、売り切れていたり、休業だったりと、縁がなかった。罰が当たったのかもしれない。
店の名前は「和菓子処 山田屋」。
今回は早い時間だったので、ようやくゲットできた。
・ゲットしたキラ星
田舎饅頭 105円
ゆで饅頭 100円
茶饅頭 95円
鹿の子135円
※いずれも税別です。
☆金星あんこ:鹿の子(かのこ)
〈個人的評価〉10年前は見かけなかった(売り切れていたのかもしれない)「鹿の子」にあんこころがときめいた。
表面を覆う大粒小豆の明るい小倉色とボリューム感。
一般的な鹿の子よりも一回り大きい。
ほぼ円形で左右天地約48ミリ×重さ約60グラム。
菓子楊枝を入れると、中はきれいなこしあん(こしあんも自家製)で、口に運ぶと、しっとりとしていて、いい小豆の風味が衝撃的に広がるのがわかった。これは?
甘すぎない、ふくよかな甘さ。
プラス。塩気が絶妙で「キミ、いい塩梅だね」と話しかけたくなるほど、オーバーではなく、心にまで染み入ってくる味わい。雑味のなさ。
「田舎饅頭」が目的だったのに、今回は「じゃない方」の鹿の子に傾斜してしまった。
●あんヒストリー 現在3代目。創業は「私で3代目ですが、はっきりとはわからないんですよ」とか。おそらく大正か昭和初期創業ではないか。「作り方はおじいちゃんから受け継いだやり方です」とか。和菓子の専門学校に行ったとか、どこかで修業したではないようで、代々伝承というのが希少だと思う。結城にはゆで饅頭が売りの和菓子屋さんが数軒あるが、私が個人的に耳にした地元の口コミでは「やっぱり山田屋ですよ」という声が意外に多かった。他の店も十分に美味しいが。
★銀星あんこ:田舎饅頭&ゆで饅頭
〈個人的評価〉つぶあんの美味さも素朴で高いレベル。小豆は北海道産、砂糖は上白糖。じっくりと炊いていることがわかる、小豆の皮がとろけるよう。塩気もほどよくある。
田舎饅頭の生地のもっちり感と独特の風味。店主の手の形が温かく残る包み方。それはゆで饅頭にもしっかりと受け継がれている。
ゆで饅頭(写真下)の方がつぶあんは水分がほんの少し多い(茹でているからだと思う)。皮が半透明でそそられる。
甘さを抑えて風味を見事に引き出している。
10年以上前、あれほど感動したのに、今回はゆで饅頭の方がマリアージュ的にはズドンと来た。体調のせいかもしれないが(笑)。
もちろん田舎饅頭の美味さも筆舌に尽くしがたい。
「和菓子処 山田屋」
所在地 茨城・結城市白銀町386
最寄り駅 JR水戸線結城駅から歩約2分