週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

東京の原点?😎豆大福&大最中&

 

東京・人形町(水天宮前)の三原堂本店から大正11年に暖簾分けした神田三原堂は東京でも有数の老舗の一つだが、これまで暖簾をくぐったことがなかった。

 

神田駅東口からすぐ、というのがへそが少し曲がったあんこ狂にとっては、避けていた気がする。

 

今回、思い立って敷居をまたぐことにした。

 

店構えが素晴らしい。

 

近くの「甘味処 竹むらほどの歴史的な木造建築ではないが、セピア色のある種モダンな、縦に細長いビル(大正・昭和のモダニズムの匂い)にあんこハートがときめいた。

木製の古い看板。「三原堂」の彫り文字。ガラス張りの店内。

 

店に一歩足を踏み入れると、江戸⇒東京のモダニズムの小世界が広がっていた。

★ゲットしたキラ星

豆大福(期間限定)280円

神田大最中 320円

どらやき 280円

くるみまん260円

栗まん  260円

あづま路 270円

 ※いずれも税込みです。

          

 

【個人的センターは?】

豆大福:杵つき餅の歯ごたえと濃厚なつぶあん

 

賞味期限が「当日中」なので、夜の賞味となった。

餅粉が盛大にかかっていて、赤えんどう豆が少ない(わざと少なくしているようだ)。

 

サイズは約60ミリ×55ミリ。重さは86グラムほど。

手に持つと柔らかなずっしり感

群林堂など赤えんどう豆の多さが売りの朝ナマとは一線を画している、一見素っ気ないようだが、むしろ江戸⇒東京の粋と野暮を体現したように感じる。

 

〈味わい〉夜になっていたので、餅が少し硬くなり始めていた。それでも伸びが十分にある。

 

しっかりと搗(つ)かれたきれいな餅で、赤えんどう豆が少ない分、「おい野暮天め、これが神田の粋ってもんだ」とつぶやいてるよう(勝手な解釈です)。

中のつぶあん濃い赤紫色で粒々がくっきりつややか。小豆の皮までしっかりと煮詰められている。

 

北海道産エリモショウズ×上白糖(白ザラメかもしれない)。

 

渋抜きもしっかりしてあり、それゆえにか、濃厚なのにすっきりしている。

塩気もかすかに感じる、

 

めちゃウマというより、心意気を感じる美味さ。

大福餅は江戸⇒東京の名物だったが、この豆大福はそのキリリとした餅の歴史を思い起こさせる、フツーにうめえ大福、と位置付けたくなった。

 

●あんヒストリー

東京には三原堂が4軒(人形町、神田、本郷、池袋)ほどあるが、いずれも人形町の「三原堂本店」から暖簾分けしている。神田三原堂は初代が人形町の「三原堂本店」で修業してから、大正11年(1922年)に暖簾分け。現在3代目。女将さんはクラシックの世界から祖父⇒父⇒と受け継いでいるようだ。モダンを感じるのはそのせいかもしれない。伝統と新しさが同居して、それが江戸の粋を受け継いでいるのかもしれない。「塩せんべい」のファンも多い。

 

【サイドは?】

神田大最中(おおもなか):創業当時からの最中で、菓銘どおりデカい。

70ミリ×24ミリほど。厚みは約24ミリ。

 

淡い焼き色の種(皮)はサクサクしていて、きれいな香ばしさ

 

手で割るとヒビの入り方と中のこってりとしたつぶあんにそそられる。

水飴も加えていて、テカリがドドドと迫って来る。

つぶあんのボリューム。

 

濃いあんこ好きにはたまらない最中だと思う。

 

どらやきこれも古くからの目玉の一つで、大きさは約80ミリほどで特に大きくはない。

手焼きのどら皮は濃い焼き色で、三原堂4店の中では最も濃いと思う。

 

見ようによっては不敵な面構え。

しっかり焼かれていて、小麦粉の間から新鮮な卵の香りがぐわんと来る。

 

中のつぶあんは恐ろしいほど濃い。

粒々感と甘めのあんこ。東京の野暮などらやき、と表現したくなった。野暮にもちゃんと意味がある。

 

焼き菓子3種:くるみまん、栗まん、あづま路。

この半生焼き菓子3種類は特に気に入った。

 

焼き色がまず素晴らしい。

 

「くるみまん」は中が潰しあんで、見事な焼き色の表面にはくるみが一個はまっていて、口に運んでから齧ると、カリッとしたくるみの風味が広がる。

私の好み。

 

「栗まん」は中が白あん(北海道産手亡豆)。栗ペーストが練り込まれていて、フツーに美味い、上質な栗饅頭だと思う。


「あづま路」
はかなり凝った半生焼き菓子。

皮の表面をよく見ると、日本画のようにも見える。

 

東の国(関東)の土の道のようでもあり、白い点々はなごり雪にも見えてくる。若草の予感も感じる。

中はこしあんがぎっしりで、くるみのかけらも入っているようだ。

 

これは食べた瞬間「うめえー」と言葉が漏れたほど。


正直に言うと、3種類の中でこれは一番気に入った。

 

伝統と斬新も感じる、半生焼き菓子で、余韻も長い。

 

《小豆のつぶやき》

▼京都のはんなりとも違う東京の小粋を感じさせる▼場所がらか価格は安いとは言えないが、それを納得させる職人さんの技術▼店の丁寧な応対もどこか洒脱で小粋▼名物の「塩せん」(塩せんべい)も買って食べたが、パリパリ感が際立っている▼あんこ菓子を食べながら、これを箸休めにすると、「東京の下町っていいなあ」と思えてくる。

 

「神田三原堂」

所在地 東京・千代田区鍛冶町2-2-7

最寄り駅 JR神田駅東口すぐ