これを初めて見たとき、「これが和菓子?」オーバーに言うと後じさりしたくなった。
どう見てもお赤飯のおにぎり。それもデカい。
中にお饅頭が潜んでいるとは、ね。
和菓子というより北埼玉地区の郷土菓子と言った方がいいかもしれない。
その名も「いがまんじゅう」。
で、今回。
さらに驚きは広がった。
中に砂糖漬けした大栗が一個、潜んでいた。独特のオーラが見えた。
「いがまんじゅう」の中では横綱格、だと思う。
金星あんこ:いが栗まんじゅう。
埼玉・鴻巣の「木村屋製菓舗」で出会った金星。創業約120年の老舗和菓子屋さん。
「いが栗まんじゅう」というネーミングもシャレている。
一個の大きさがかなりでかい。
サイズは75×70ミリ。ほぼまん丸。重さは約150グラムもある。一個税込み200円。
艶やかなお赤飯おにぎりを真ん中から切ったらごらんの通り。
「蒸かし立てで無添加づくりなので、本日中にお召し上がりくださいね」(女将さん)
〈味わい〉ほんのり塩気のあるお赤飯と蒸かしまんじゅうのマリアージュが見た目のミスマッチとは裏腹にめちゃくちゃ合う。
食べるとわかる、としか言いようがないかな。
最初はちょっと引いて⇒ガブリと行くと⇒もっちりしたささげのお赤飯⇒ふっくらまんじゅう⇒甘すぎない自家製つぶあん⇒シロップ漬け栗⇒それらが口の中で出会い⇒瓦解し⇒混じり合いとろけ合ってくる⇒極楽へ一直線・・・。
この味わいの七変化がたまらなく感じる(私の場合だが)。
〈あんこ〉つぶあんのこだわりにもすぐに気づく。
北海道産小豆を使用。砂糖がザラメの中でも純度が高い鬼ザラメを使用している。
じっくりと炊いているので、小豆の皮までスッと柔らかい。
全体が素朴なのに、中のあんこは雑味がない。スッキリとした気品さえ感じる。
小豆のいい風味だけを抜き出したようなあんこ。
去年、「&プレミアム」のあんこマニア対談でマガジンハウスを訪れたとき、これを手土産にしたら、おだんご先生や編集スタッフの皆さんが見た目と中身のギャップに驚いていた(してやったり気分)。座が和んだ。
●あんヒストリー 「木村屋製菓舗」の創業は明治38年(1905年)。現在4代目。4代目は東京の和洋菓子店で修業し、定番の生菓子から創作菓子まで伝統を守りながらチャレンジを続けている。鴻巣が「川幅日本一」(荒川)であることを記念して、日本一大きい「川幅どら焼き」(とにかくデカい)も作っている。
「木村屋製菓舗」
所在地 埼玉・鴻巣市氷川町4-4-4