週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

ミラクルか「薔薇(ばら)のおはぎ」

 

編集長大谷翔平の活躍に刺激されて、今回ご紹介するのはラクルなおはぎだよ。薔薇(ばら)のおはぎ(笑)」

 

あん子「はじめっから外してる(笑)。足利ですごいおはぎ見つけた、って騒いでいたわね。花のおはぎって確かに珍しい。ぶっ飛びすぎかも(笑)。アートを超えてるわ」

f:id:yskanuma:20210701105306j:plain

 

編集長「はじめ見たときびっくりしたよ。分類的にはおはぎと上生菓子きんとんをくっつけた創作おはぎということになると思うけど、単なる受け狙いかもな、と半信半疑で食べてみたら、実に美味い。発想的も技術的にもすごい、としか言いようがない」

 

あん子ベースはこしあんのおはぎなのよね。その上にきんとんのような花びらが咲いてる、そんな感じだわね」

f:id:yskanuma:20210701105631j:plain

 

編集長「たまたまピンク、赤、黄、白の4種の薔薇おはぎがあったけど、今回ゲットしたのはピンクと黄の2種類だけ。外観と中身にちょっと疑念があったので、2種で十分と考えたんだ。隣にあった『お花のだんご』もびっくりもので、そっちもあわてて追加したんだ。予約が必要とかだったけど、運よく置いてあった。ま、日頃の行いだね(笑)」

 

あん子創業が明治元年(1868年)というのも古都・足利ならではで、ながーい歴史がある和菓子屋さんね。中心部からずいぶんと離れてたんでしょ? こういう店を見つけるなんて、今日だけは編集長を尊敬したくなった(笑)」

 

編集長「うーん、困った(汗)。ホントのことを言うと、織物会館で小冊子を見たんだよ。だんごの美味い店で紹介してあった。で、行ってみたらびっくり、伝統と創作が融合した和菓子屋さんだった。薔薇のおはぎはそこで偶然見つけたんだ。あと1時間遅れていたら、売り切れてて、出会うことはなかったかもしれない。あんこの神様のイタズラかもなあ(タメ息)」

 

あん子「前置きが長すぎ。舟が出ちゃうわよ。早く食レポしてよ。センターは薔薇のおはぎでしょ?」

 

編集長「京都だってきっと驚くぞ。足利あんこ界のはんなり新星、バッターボックスに立っていただこう」

 

【本日のセンター】

創作おはぎ「ピンクの薔薇vs黄色の薔薇」

 

f:id:yskanuma:20210701110250j:plain

 

「かすてい羅」の古い看板もどこか京都の匂いのする一軒家の和菓子屋さん。

 

「松風屋本店」の屋号が松の木に隠れている。

 

f:id:yskanuma:20210701110326j:plain

 

進取の気性が勝っているのか、古くていい店構えだが、ノボリなどが今どきで、どこか不思議な印象。これってどうなんだろう?

f:id:yskanuma:20210701110409j:plain

 

わびさびではなく、はんなりが近いかもしれない。足利のはんなり。

 

どら焼き、豆大福、水饅頭など定番の生菓子にまじって、「薔薇のおはぎ」(1個 税込み270円)が咲いていた(と表現するしかない)。

f:id:yskanuma:20210701105759j:plain

 

バラをわざわざ漢字で表記してある。目が点になってしまった。

f:id:yskanuma:20210701110711j:plain

 

若女将は4代目で、姉妹で伝統を守りつつ、創作和菓子の世界に挑んでいることがわかった。

 

ベースのこしあんおはぎがスグレモノで、上に載っている薔薇の花びらは白あんに着色(ビーツやかぼちゃ、抹茶など自然の材料を使用)し、一枚一枚手作業で精緻に重ねている。

 

洋菓子の手法を応用したそうで、緑色の葉っぱまで手抜きがない。

 

「北海道産十勝産小豆を使い、砂糖は白ザラメです。私は白ザラメが一番だと思います。あんこはもちろん自家製ですよ」

 

「本日中にお召し上がりください」

 

大急ぎで自宅に戻ってからすぐにコーヒーを淹れ、賞味することにした。

f:id:yskanuma:20210701111321j:plain

f:id:yskanuma:20210701112320j:plain

 

目と舌がときめいた。何というなめらかなあんこ。

 

こしあんも薔薇のきんとんも予想を上回っていた。

 

特にベースのこしあんおはぎ。

f:id:yskanuma:20210701112757j:plain

f:id:yskanuma:20210701112829j:plain

 

高レベルのみずみずしいしっとり感。いい小豆の風味。

 

中のもち米の透明感ともっちり感。

 

f:id:yskanuma:20210701112927j:plain

 

ほんのりと塩気があり、それが京都の上生菓子との違いだと思う。

 

黄色よりもピンクの方が人気があるそうで、基本的には同じ味わいだが、なぜか気持ちが華やぐ気がする。

 

十分な満足度。

 

しばらく余韻に浸りたくなった。

 

もし「おはぎオリンピック」があったら、個人的には栃木代表に押したい。

 

見た目はミスマッチかもしれないが、そのくらいの驚きと予想外の幸福感

 

それにしても足利でかような創作おはぎに出会うとは、大谷翔平の活躍を楽しみながら、目の前の小さなミラクに目と舌が向かうのだった。

 

【本日のサブ】

こんな進化系花だんごってあり?

 

パイナップルの串あんだんごと水まんじゅうも買ったが、希少という意味でサブメーンには「お花のだんご」を取り上げたい。これも初めて見るレアもの。

f:id:yskanuma:20210701113151j:plain

 

2本セットで300円(税込み)なり。

 

ベースはこしあんだんご。写真でご覧の通り、小さいうえに、上には薔薇のおはぎよりもさらに小さい花びらが乗っていて、雪のように細かいココナッツがかかっていた。

f:id:yskanuma:20210701113243j:plain

 

精緻な創作だんご。こちらも洋菓子のパティシエの手法を取り入れているとか。凝り過ぎの気配もないわけではない。

f:id:yskanuma:20210701113543j:plain

 

上新粉の餅は柔らかく、こしあんと白あんの花びらが絶妙と言いたくなるほど融合している。食べるのがもったいないな、と思えるほど(本末転倒だよ)。

 

この技術力、どこで修業したのか気になって、4代目姉妹に聞いてみたら、「和菓子の専門学校には行ってません。父(3代目)から教えてもらいました」とか。

 

プラス洋菓子の手法。

 

直伝の和菓子職人の挑戦ということになる。

 

コロナ禍に揺れ続ける2021年、こういう店と和菓子職人に出会えたこと、個人的にはやっぱりミラクルだと思う。あんこの神様の・・・。

 

夏越しのお祓いをしててよかった。

 

「松風屋本店」

所在地 栃木・足利市猿田町1-31

 

〈注意点〉購入するには予約が必要。薔薇のおはぎは5個単位で、賞味期限が本日中。お花のだんごは夏場はお休み。秋から再開するそう。

 

                f:id:yskanuma:20210701114224j:plain