週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

元祖を追う😎芋羊羹元祖の栗ようかん

 

あん子「ついに行ったのね! 足利の『舟定屋(ふなさだや)本店』に(笑)。芋ようかんの元祖の店だよね」

 

編集長「まあね。芋ようかんの元祖は浅草『舟和』と思っている人が多いけど、足利にも元祖があると聞いて、好奇心がむくむく湧いたんだ」

 

あん子「明治時代の話だから不明な部分も多いと思うわ。でも、私の推理だと、足利『舟定』の方が本流の可能性だってあるかもよ。両方が元祖かもしれないけど(笑)」

編集長「ちょっとまとめてみよう。『舟和』の創業者・和助は足利『舟定』の創業者・定吉と千葉・船橋の芋問屋で一緒に働いていた。舟和も舟定もルーツは船橋ってわけだ。なので店名に舟が付くんだね」

 

あん子「昔はさつまいもが庶民にとっても重要なスイーツだった。である日、船橋から浅草に移り、二人で芋問屋を始めた。そのときに余ったさつまいもを捨てるのがもったいない、とようかんの形にすることを考え付いた。芋ようかん誕生秘話ってことよね。定吉の息子さん、つまり2代目定吉が和菓子職人でもあったことも大きかったようよ」

編集長「でもまあ、定吉と和助の合作とも言えるわけだ。その辺を足利の『舟定屋本店』に行って聞いてみたいな。定吉は何らかの理由でその浅草から足利に移ってる。3月30日号で書いた桐生『舟定』は明治末か大正のころに、その『舟定』足利本店から暖簾分けしたんだろうね」

syukan-anko.hatenablog.jp

あん子桐生は今4代目で、足利は5代目だから、その可能性が高いわね。でも、古い話なので、桐生の4代目もはっきりしたことはわからないって言ってる。謎がある方がかえって面白いかもね(笑)。ややこしいから、今日は先に進みましょう。舟定屋足利本店はどうだったのよ」

編集長「同じ無添加手づくりでも今では作り方も味わいも少し違ってるけど、2代目定吉の遺伝子はしっかり受け継がれていて、いい和菓子をつくってたよ。例えば桜餅は素朴で実に美味しかった。こしあんも自家製だったので、うるうるしたよ。そして、私が感動したのは実は栗ようかんなんだ」

 

あん子「はいはい、頭がこんがらかって来たから、前口上はそのくらいにして、本編に行ってみましょう」

 

●今回ゲットしたキラ星

 桜餅 1個162円

 栗ようかん 750円

 栗蒸しようかん 750円

 元祖芋ようかん 1棹800円

  ※価格は税込みです

 

【センターは?】

昔ながらの製法、栗ようかんの味わいにハマる

 

選ぶのに苦労したが、ゲットした4種類の中で私が選んだのは栗ようかん(下の写真右、左は栗蒸しようかん)サイズがハーフサイズと言いたくなる大きさ。

 

渋い緑色のパッケージ。

約85ミリ×70ミリ×厚さ30ミリ。重さは約260グラム。

濃い色の練り羊羹に蜜煮した栗がボコッ、ボコッと闇夜の満月のように浮かんでいる。

パッケージを取って、包丁で切ると、見事なテカリの本練りと栗のコラボの状態のよさがわかった。

光が入ると、境界部分がこはく色に透明化するようで、美しさも感じる。

 

菓子楊枝でまずはひと口。歯触りがたまらない。

代々受け継がれている製法で、薪炭を燃料にしてじっくりと手練りしているそう。

 

素材は北海道産小豆と上白糖と寒天のみ。

甘すぎない、コクのある練り羊羹で、噛んだ瞬間、栗の風味がゆっくりと立ちあがってくる。

 

上質の味わいで、5代目の腕が確かなのがわかる。

 

【サイドは?】

栗蒸しようかん栗ようかんほどの感動はなかったが、むっちりと口中に広がる感触は悪くない。蒸し羊羹の王道。

やや明るめの色彩。

小麦粉と白玉粉、それに葛粉も加えているようで、思ったほど甘さはない。栗のほっこり感がストレートに来る。

 

芋ようかん:桐生舟定よりもサイズはかなり大きい。1棹約183ミリ×55ミリ×厚さ35ミリほど。重さは約440グラムもある。

さつまいもをほとんどそのまま凝縮しているような素材感がある。浅草時代の舟定の芋ようかんにもっとも近いかもしれない。素朴で自然な甘みを生かしている作り方だと思う。

5代目によると、砂糖は上白糖を使用。桐生店はグラニュー糖だったので、味わいに微妙な違いがある。

 

あん子さんはすっきり桐生派で、編集長は素朴な足利派だった。

 

ここは好みの問題だと思う。

トーストしてからバターを付けて食べても美味しい。

 

桜餅:塩漬けの桜葉と素朴な自家製こしあんの関係が濃い。

こしあんのボリュームがすごい。小麦粉の皮があまりに薄いので、こしあん好きにはたまらないかもしれない。塩気がほんのり。

 

朝ナマなので、賞味期限は「本日中」。素朴な手づくり感が素晴らしい。

〈編集長あとがき〉

▼芋ようかんのルーツを追っていったら、浅草舟和とはひと味違う和菓子屋さんの姿が見えてきた▼和菓子職人でもあった2代目定吉なぜ浅草から足利に来たのかはよくわからない▼5代目によると、特に地縁はなかったらしい▼「舟定」(初代)の創業は明治32年(1899年)となっている▼5代目の推測では、子どもの病気治癒祈願か何かで浅草を出て足利にまで来たのではないか、とか▼定吉そのまま足利に店を構えることになる▼なので「元祖芋ようかん」が二つ存在していてもおかしくはない。

 

「舟定屋本店」

序在地 栃木・足利市通り4丁目2812

最寄り駅 JR両毛線足利駅東武伊勢崎線足利市駅