週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

小さな巨人、水郷の「赤白大福」

 

編集長「あん友の情報で、茨城の水郷・稲敷市郊外に行ってきたよ、ふふふ」

 

あん子「もったいぶっちゃって(笑)。すごい大福見つけたんでしょ? バレバレよ」

 

編集長「大福好きとしては、意外過ぎる大福で、赤(つぶあん白(こしあん2種類しか作ってない。以前はせんべいその他も作ってたようだけど、今は大福一本に切り替えたようだ。すごいことだと思うよ」

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あん子「編集長の好きな豆大福じゃないんだ(笑)。で、どこが意外なのよ」

 

編集長小さいんだよ。見た目は普通の大福の半分くらい。大きい大福を想像していたので、ホーッとなったよ。原宿瑞穂なら4分の1程度じゃないかな」

 

あん子土日は行列なんでしょ。でもなんでそんなに人気なの?」

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編集長「まず餅のこだわりが半端じゃない。地場の玄米(もち米)を加工直前に精米し、蒸籠で蒸かし、それからじっくり搗(つ)いている。餅の鮮度ときめの細やかさが、食べた瞬間にわかる。なので『絹大福』とも表記しているんだ。あんこの美味さもレベルを超えている」

 

あん子「じれったい。説明はいいから、早く食べましょ」

 

【今週のセンター】

絹大福「赤(つぶあん)」vs「白(こしあん)」

 

餅粉がたっぷりかかった、見るからに柔らかそうな神々しいお姿を見てほしい。

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右側が赤(つぶあん)、赤というよりほのかなピンク色。左側が白(こしあん)。ホントに小ぶり

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計ってみたらサイズはどちらも約40ミリ、高さは約30ミリ。

 

重さは赤が47グラム、白が46グラム。

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手包みなので、微妙な誤差があるようだ。

 

確かに只者ではない雰囲気がある。

 

アーティストに例えると、アリアナ・グランデかな(うーん、ハズしてる?)。

 

白は絹色の白だが、赤はほんのりとピンク色。

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指で押すと、凛とした柔らかさで、指の形が数秒してから戻ってくる。

 

苦労して何とか包丁で切ると、中のあんこがどちらもいい色。

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赤のつぶあんは渋抜きを押さえ気味。甘さもほどよい。いい小豆の風味がほわほわと口の中に広がる。塩気はあまり感じない。

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大福界の小さな巨人、と言いたくなる。

 

白のこしあんはみずみずしい。しっとり感となめらかな舌触りが上質。

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どちらかと言うと、私の好みは白で、餅も気持ちこちらの方がきれいな風味を感じた。

 

餅に鮮度を感じることは少ないが、ここの餅は鮮度を感じる。

 

大福は6月いっぱいでおしまいです」(3代目)

 

大福シーズンは秋から6月までとか。草大福もあるが、残念ながらGWで終わり。今回はゲットできなかった。

 

・現地レポートです

トラックの行きかう国道125号線沿いに「水郷名物 こうのの大福」の昭和な看板が見える。平日なので思ったよりも混んでいなかったが、絶え間なくマイカーのお客がやってくる。

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「ここはキケン‼ 停車禁止」

 

の立て看板が面白い。これがなければ通り過ぎてしまいそうなほど、地味系の店構え。

 

道路の対面に駐車場があり、そこにクルマを止め、店内に入ると、おばさんスタッフが2~3人で客対応をしていた。広くない。店の奥に板場があるようで、そこで手作業で大福作りをしているようだ。

 

セピア色の昭和にタイムスリップしたような気分。

 

事前に電話予約しておいた1パック(赤3個、白3個入り 税込み570円)を受け取る。コロナでバラ売り(1個95円)は止めているとか。

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商品は大福だけだが、なぜか隅っこに素朴な「芋甘なっとう」(250グラム 税込み350円)が置いてあったので、これもついでにゲットした。

 

店主は不在だったが、おばさんスタッフとコロナ対策のビニールガード越しに話していると、「あっ、社長が来ました。3代目です」。

 

で、お邪魔にならない程度に取材した。ご高齢の3代目。

 

創業は明治時代で「明治45年くらいです。元々は駄菓子屋で、それから饅頭屋になり、大福を作り始めたのは40年くらい前から」。

 

玄米からの作り方(秘伝?)を詳しく話してくれたが、「大丈夫ですよ。教えたって、同じものは作れないからね」と笑った。

 

あまりに専門的だったので、詳細は割愛いたします(笑)。

 

あんこは製餡所から特注の生餡仕入れ、赤鍋でつぶあんこしあんを独自の方法で練り上げているようだ。砂糖は聞き逃したが、おそらく上白糖だと思う。

 

小さな巨人の裏に店主のこだわりが詰まっている。

 

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あん子「私も白(こしあん)の方が気に入ったわ。夕方なので少し餅が固くなりかけていたのが好感ポイントでもあるわ。ヘンなものが入ってない証拠。餅とあんこが絶妙ね。もう少し大きいともっといいけど、ま、小粒なのも売りなのかもね」

 

編集長「6月いっぱいで大福づくりは終わり。その後は、饅頭に切り替えるらしいよ。夏は大福には適していないと考えているようだ。大福に懸ける3代目のゆるぎない自信も印象的だった」

 

あん子「私は芋甘なっとうも気に入ったわ。水郷の土の匂いがするような、素朴さとねっとりとした甘さと歯触りが悪くない」

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編集長「川越の老舗和菓子屋「道灌(どうかん)」の甘藷納豆ほどの洗練ではなく、田舎づくりの良さだね。ここで作ってるのか、ひょっとして別作りかもね」

 

あん子「茨城のさつまいもは特に美味しいのよ。紅はるかじゃないかな。また買ってきてよ」

 

「こうの菓子店」

所在地 茨城・稲敷市堀之内358-1

 

 

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