「都道府県魅力度ランキング」で茨城県を抜いて(?)栃木県が最下位になった。
主宰者のブランド総合研究所のサンプル数などに疑問があるが、メディアが面白がって伝えると、栃木県民の中にはショックを受ける人もいる。
ま、ある種のエンターテインメントと考えれば、腹も立たないと思うが。
私は38位のダ埼玉県民だが、あんこの世界から見ると、栃木県は実に魅力的だと思う。日光、那須、大田原、栃木、佐野・・・キラ星が多い。個人的なあんこランキングでは10位以内に入る。
なのでここは安心してほしい。(私が言ってもたいして影響はないが)
その一つが県庁所在地・宇都宮の甘味処「甘党の店 三芳(みよし)」。ベタで「甘党の店」と銘打つのは勇気がいる。その心意気や良し。
今回は定番の「あんみつ」(税込み 480円)を取り上げたい。
東京のあんみつの名店と比較してもコスパを含めて負けてはいない、と思う。
店構えが素晴らしい。鎌倉や京都にも引けを取らない(力入りすぎだよ)。
有田焼の器は大きめで、自家製の白玉、黄桃、みかん、バナナ、パイナップル、赤えんどう豆が惑星のように円環を作り、中央にはこしあんの太陽が君臨(あん座)している。こしあんのボリュームも申し分がない。
黒蜜がたっぷりとかかっていて、その下にシャキッとした自家製の寒天が沈んでいる。
個人的には求肥とさくらんぼがないのはちょっぴり残念だが、ここは欲張り過ぎてはいけない。
主役のこしあんが色も風味もとてもいい。
なめらかな舌触りで濃厚なあんこ。塩気が効いていて、口の中で「あたい(栃木)をなめんなよ」とおきゃんなつぶやきが聞こえてきそう。
自家製の白玉も実に柔らかい。
店の創業は昭和26年(1951年)で、現在2代目。
ややご高齢だが、いいお顔立ちで、忙しい中、ちょっとだけ話を聞くことができた。
あんこは「昔は小豆から炊いてましたが、今は製餡所から生餡を仕入れて、上白糖でじっくりと練り上げています」。黒糖も少し加えているそう。
甘味の定番メニューも多い。この店だけでも栃木県の生一本な職人気質が見て取れる。
ことあんこにかけては、栃木県はすばらしい、と思う。餃子だけではない。
江戸の昔、例幣使街道で、京都から日光東照宮まで長旅をしてきた宮家の殿上人たちも、「こんなところに都に負けない菓子がおまんなあ」と舌鼓みを打ったにちがいない。
と甘いエールで今回はジ・エンド。
所在地 栃木・宇都宮市馬場通り1-1-20
最寄駅 東武宇都宮駅から歩約10分