残暑がまだまだきつい。
なので、今回は甘味処の「冷たいあんこ」を取り上げたい。
あんこ旅の途中で日光と成田山で草鞋を脱いだ。あんこ山二つ。
ターゲットはオアシスのような甘味処(甘味カフェ)二軒。
あんこの冷戦か?
勝手にVS形式にしたが、あんこの世界に対決はないので、これは半分洒落と思っていただきたい(とまずはエクスキューズしといて)。
そこで見つけた逸品をときめきとともにレポートしたい。
【日光代表「鉢石カフェ(湯沢屋)」】
8代目が創作した「鉢石パフェ」の驚き
まずは写真をご覧いただきたい。
見た目は確かにパフェだが、中身の凝り方がスゴすぎ。
最上階は豆乳ソフトクリームで、そこに艶やかなつぶあんがドカと乗っている。抹茶もはらり。白い求肥餅も二つ。すべて自家製というこだわり。
北海道産小豆のつぶあんは濃厚で豆乳ソフトと絶妙にマリアージュしている、と思う。
その下、中階には不思議な食感の「抹茶浮島」(蒸し菓子)。
長いスプーンで食べ進むと、それが現れる。ざらっとした舌触りで、儚い食感とともに舌の上ですっと溶けていく。抹茶と白あんの余韻も感じる。
😎あんポイント:8代目は東京で和菓子職人として修業後、実家の湯沢屋に戻り、代々続く名物「酒饅頭」を守りながら、店をリノベーション、新たな和の世界に挑んでいる。父の7代目もそれをバックアップしていて、伝統と進化の融合を目指している、と思う。湯沢屋の創業は文化元年(1804年)。糀から作る酒饅頭はファンが多い(私もその一人)。
驚きはさらに潜んでいる。
こしあんがその下に脇役然として、隠れている。
質の高い、なめらかなこしあん。
さらにその下に水ようかんが隠れていた。
酒饅頭とともに評価の高い水ようかん。
甘さを抑えた、小豆の風味が舌のツボを撫でていく。そんな感覚。
底にはサイコロ切りの寒天。
よく見ると、凝りに凝った、新しい発想の和パフェだと思う。
全部で8種類ほどの素材があるようだが、私の舌ではそのすべてを解明することはできなかった。また行かなくっちゃ。
舌代は1000円(税込み1100円)でした。
丹波大納言「たきあずき」(冷製)を堪能
成田山の参道沿いをブラ歩きしたら、土産物屋さんの横に「甘味処 三芳家」の狭い路地が見えた。
私のあんこセンサーが「覗いてみろ」と反応した。
細い石畳を進むと、びっくり。
ここは京都・嵐山か、と錯覚するような、趣味的な庭園が広がり、奥に和モダンな建物が見えた。
ガラス張りの甘味処で、横にも細長い建物。
ここで見つけたのが「たきあずき」。高級な丹波大納言小豆を自家で炊き上げ、メニューにしたもの。
頼んだのは白玉入り(税込み950円)。
「温」と「冷」があり、暑かったので私は迷うことなく「冷」を選んだ。
😎あんポイント:三芳家の創業は昭和初期。参道のお土産屋として商売を始め、平成10年(1998年)に奥の庭でお茶処を併設。リニューアルもしている。「たきあずき」は自家製だが、それ以外のあんこは基本的にあんこ屋さんから仕入れているようだ。
目の前に広がる庭園がとても落ち着く。
「たきあずき」という表現は珍しい。ひょっとしてオリジナルネーミング?
一般的には「煮あずき」。
中心の陶器(有田?)とほうじ茶(こちらは熱い)、箸休めのバランスがいい。
白玉は五つ。そのもっちり感。
主役の丹波大納言の甘い海。
お月様のような蜜煮した杏(あんず)がいいアクセントになっている。
甘すぎない、小豆の風味が心地よい。
使用している砂糖はグラニュー糖で、すっきりした、やさしい味わいに仕上がっている。
よく見ると、金粉がひらり。結構凝ってる。
大納言小豆は皮が厚いので、その粒々した食感が特徴的だと思う。
噛むと、丹波の風味が広がる。
京都の甘味処で食べた「亀山」を思い出す。
食べ終える寸前、ほうじ茶のお替り(モダンな急須で)とあられがすっと置かれた。
【軍配は?】
あくまで個人的な採点だが、技術力とアイデアでは「鉢石カフェ」に軍配。建物は大谷石の蔵vs日本庭園。ゆったり感では「三芳家」かな。とはいえ、どちらもあんこワールドの中の新しい宝石だと思う。
・日光「鉢石(はちいし)カフェ」
所在地 栃木・日光市下鉢石町946
最寄り駅 東武日光駅から歩約15分
最寄り駅 JR成田駅から歩約10分