週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

コロナ下の「結城ゆでまんじゅう」

 

茨城・結城市は私にとっては「ゆでまんじゅう」の町。全国的には「結城紬ゆうきつむぎ)の城下町」として有名だが、あんこ原理主義としては、ここは「ゆでまんじゅう!」なのである(あんビリーバボー)。

 

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で、今回はその「ゆでまんじゅう」の食べ比べをしてみた。

 

最盛期には10軒以上の和菓子屋さんがこのゆでまんじゅうを作っていたが、ここ数年で暖簾を下ろす店が増え、今では5~6軒ほどになってしまった。悲しすぎる。

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あんコールと叫びたい(抑えておさえて)。

 

今回ピックアップしたのは老舗4店。

 

①富士峰菓子舗(ふじみねかしほ)

②真盛堂(しんせいどう)

③なか川(なかがわ)

④山田屋(やまだや)※行った日がたまたま休みだったので、今回は以前取材した写真とメモを使いました。

 

小麦粉を練って皮を作り(米粉を入れる店もある)、あんこを包んでゆで上げるだけ、というあまりに素朴な郷土菓子だが、店によって少しずつ違う。皮も中のあんこも変化がある。それぞれに固定ファンが付いているのが、結城ゆでまんじゅうの凄いところでもある。

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まずは3種類の面構え(と表現したくなる)と切り口を見ていただきたい。なかなかの迫力ではないだろうか?

 

下の写真、左から富士峰菓子舗、真盛堂、なか川の順。

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もっとも武骨で素朴に感じたのは富士峰菓子舗。見た目はごつごつとしていて、中のあんこがうっすらと見える。手作り感マックス。私のあんこ中枢が刺激される。1個100円(税込み)。重さは67グラム。

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凸凹したややクリーム色がかった皮は口に入れると、ムニュリとした食感で、職人の手の匂いがするような。いい感じ。

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中のあんこはぜいたくな大納言小豆(北海道産)を使っていて、ぎっしりと詰まっている。甘めでつぶつぶ感がドドドと来る。歯ごたえのあるあんこ、塩気もある。素朴な食感がたまらない。

 

砂糖は白ザラメ、グラニュー糖、上白糖ブレンド。「素材にはこだわってます」(2代目女将さん)。

 

真盛堂のゆでまんじゅうは渦巻き型で、高さがある。皮はミルク色。3種の中で一番指先にくっついた。もっちりしているのに歯切れがいい。ここは好みが別れるところ。1個98円(税込み)。重さは76グラム。

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中のあんこはやや少なめ。どろりとしていて、口に運ぶとこぼれ落ちそうになる。北海道十勝産小豆を使用、甘さは濃く、小豆の風味が立ってくる。塩気は少ない。

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なか川は半透明な、葛のような色で、上に白ゴマが振ってある。平べったい。指先のへこみが特徴で、ある種、最も洗練されていると思うが、その上品さが少し物足りなくもある。1個100円(税込み)。重さは67グラム。

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皮のつるっとした、シンプルな柔らかさと中のつぶあんのまったり感は、素朴というよりきれいと言った方がいいかもしれない。北海道産小豆はゆるりと炊かれていて、ほどよい塩気と甘み。全体としてまとまっている。

 

最後に「山田屋」のゆでまんじゅう。これだけは約4~5年前に試食したものだが、もっとも気に入ったのがこれだった。当時は重さは計っていないが、多分、一番重く、大きさもある。当時は1個税込み84円だったが、現在は95円(税込み)。

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ごらんの通り、つぶあんがぎっしり。しかもしっとりと柔らかく炊かれていて、北海道産小豆の風味がとてもよかった。皮の素朴感もよかった。今回試食できなかったのが残念だが、これを外すわけにはいかない。特別参加とした。

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ゆでまんじゅうは江戸時代末期から結城市周辺で食べられていたようだ。疫病が流行ったため、当時の藩主(水野家10代目?)が疫病退散を祈願して領民に配ったという由来を持つ。

 

あんこは民衆を救う? 小豆の赤は魔除け厄除けの意味もある。

 

今ならさしずめコロナ禍だろう。これからでも遅くはない。ゆでまんじゅうを食べて、コロナを吹っ飛ばせ・・・と世界に向かって叫びたい気分になる(笑)。

 

所在地 

「富士峰菓子舗」 茨城・結城市結城78

「真盛堂」 茨城・結城市結城1362

「なか川」 茨城・結城市結城29

「山田屋」 茨城・結城市結城386

最寄駅 JR水戸線結城駅から歩いて約15分圏内

 

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