週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

向島女将も愛する「きんつば」

 

きんつば好きな私が、これまでで最も「ほおーっ」と唸ってしまったのが、浅草「徳太楼(とくたろう)」のきんつばである。

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何と表現したらいいのか、小ぶりだが、乳白色とか白メノウのような、美しい外観。うっすらとあんこが控えている。どうでござんしょね? (焦げ目のある素朴なきんつばも大好きだが)

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ン十年前のこと、景気のいいころ、仕事の関係で向島の料亭で、ある作家と酒席を共にした時のこと。(今は料亭になど行く身分ではない)

 

女将さんが「手土産に」と手渡してくれたのが、このきんつばだった。

 

家に持ち帰って、小粋な包み紙を取り、紙の折詰を開けると、この真四角のきんつばが12個整列していた。

 

こんなのあり?

 

その品のある乳白色に目が吸い取られそうになった。ホント、です。

 

甘さがかなり抑えられた小倉あんと寒天の配合も絶妙だった。

 

以来、すっかりファンになってしまった。

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久しぶりの訪問。ここは上生菓子も質が高い。

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6ヶ入り950円(税込み)を買い求め、翌日の賞味となった(賞味期限は3日間)。

 

小ぶりな真四角で、厚みがある。中のあんこがうっすらと透けて見える。昔のまま。

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手焼きで一個一個このピュアな色に焼くのは、かなりの修練を要すると思う。

 

膜のように薄い皮はもっちりしていて、口に運ぶと、中のあんこが北海道十勝産の選り小豆のきれいな風味を引き連れてくる。

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粒あんこしあん、それに寒天が見事に融合している。塩気もほんのり。

 

口溶けもとてもいい。

 

人によっては甘さが物足りない、と思うかもしれない。

 

だが、私にとっては、妙な表現かもしれないが、たまに会いたくなる、飛び切りのいい女。(おいおい頭は大丈夫か?)

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創業は明治36年(1903年)。現在3代目。

 

品のいい甘さなので、てっきり砂糖はグラニュー糖か白ザラメと思ったが、「いえ、普通の上白ですよ」(若女将さん)

 

店を広げないのも、私の好み。浅草の裏通りに、いい店構えで小さく暖簾を下げている。江戸の小粋がしっかり生きている。

 

所在地 東京・台東区浅草3-36-2

最寄駅 東京メトロ、都営浅草線浅草駅から歩約15分

 

 

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