編集長「今回は神戸からお取り寄せ。元祖あんこ入り食パンと言えばわかるやろ? コロナがなかったら、神戸に行って食べたかったけどな、この状況じゃ仕方あらへん」
あん子「バカにしないでよ(笑)。有名なトミーズのあん食でしょ? 私も一度食べたかった伝説の食パンね。でも、頼むからヘンな関西弁やめてよ」
編集長「3種類、全部取り寄せた。定番の『あん食』(1.5斤)、抹茶あん食(1斤)、あんバター食(1斤)。どないや、すごいやろ?」
あん子「そのドヤ顔、じゃま。パンの街・神戸が生んだ、ある意味歴史的な傑作よね。トミーズの創業は1977年(昭和52年)だけど、食パンに初めてあんこを練り込んだのはバブル時代のようよ。当時はそんな発想、なかったでしょ?」
編集長「まあね。でも編集長の単なる推測だけど、名古屋の小倉トーストを少しはヒントにしたんじゃないかな。大正昭和にかけて名古屋で誕生した曲芸的あんこ乗せトースト! 我ながらいい表現だ」
あん子「どこが? 力が入り過ぎよ。あんこをマーブル状に練り込むのと上に乗せるのはずいぶん違うと思うけど」
編集長「今回、実物を実際に見て、トミーズのあん食はあんこの量が半端じゃない。今ではあんこの食パンを作るベーカリーが全国的に増えているけど、存在感が明らかに違う。ま、この分野の大ボスと言ったところかな」
あん子「例えがヘンよ。王様が近い気がする・・・うんちくはもういいわ。早く食レポしてよ。船が出るわよ~」
【今週のセンター】
ド迫力「あん食」(1.5斤 税込み700円)
重さを量ったら、950グラムもあった。ほぼ1キロ。手のひらに持つと、ずしりと重力を感じた。デカい(汗)。
きつね色の素朴な焼き色。一部あんこのはみ出た外観。実際に目の前に置くと、すごすぎ。横から斜めから底からカメラで撮る。
一般的な市販の食パンは大ざっぱに見て、500~600グラム(1.5斤換算)なので、練り込まれたあんこの量は約400グラム前後となる(アバウトですみません)。
燕三条出身の翻訳家・ライターみい子さんから頂いた素晴らしい切れ味のパンナイフで切ると、密度の十分にあるミルキーな生地と練り込まれた小倉色の粒あんが渦巻き状に現れた。
おおお、宇宙誕生か。そんな冗談すら言いたくなる。
きれいな渦巻きではなく、粒あんが微妙に片寄っている。
このくらいのズレは相手があんこでは仕方がない。むしろ好ましいかも。
コーヒーを淹れ、牛乳も用意し、そのまま⇒マーガリンを付ける⇒軽くトーストするで3パターンで試食してみた。
到着したその日には「そのまま」を食べる。
食パンの生地には生クリームが練り込まれているようで、ふっくら感となめらかなもっちり感がほのほのと来る。
粒あんは北海道産小豆を使用、自家製ではなく、製餡所に特注したもののようだ。
かなり甘めで、濃厚で素朴なあんこ。小豆の風味が強め。
多分、砂糖は上白糖。塩気もほんのり。
それがしっとりしたパン生地と絶妙に合っている。
こしあんバージョンも作って欲しい気がするが、現在売られている3種類はすべて粒あん。
マーガリンを塗ってみると、私の好みにさらに近くなった。マーガリンの塩気が全体に深みを与えるのが心地よい。
あんことパンとマーガリンはよく合う。
コーヒーとの相性もいいが、冷たい牛乳も昭和・平成的で胸キュンとなる(古い?)。
翌日、トーストしたら、プラスαの魅力が出て、これがハマった。表面のカリカリサクサク感とパン生地の香ばしさがたまらない。
マーガリンを塗ると、またひと味変化球が加わったようで、思わず目を閉じたくなる。
この場合は牛乳よりもコーヒーが合うと思う。
大ボスというより、この官能的な迫力は全盛時のティナ・ターナーかビヨンセが近いかもしれない(笑)。
しばしの間、勝手に妄想を楽しむ。
【今週のサブ】
抹茶あん食(右)vsあんバター食(左)
どちらも1斤ほどで、あん食よりも小ぶり(税込み700円)。あん食がヒット商品になり、その流れの中で、抹茶あん食を作り、さらにあんバター食をラインナップに加わえた。
あん食3兄弟(あるいは3姉妹)。
重さは抹茶あん食が約568グラム。あんバター食が約549グラム。サイズを考えてもかなり重い。
どちらも粒あんが練り込まれている。
個人的に特に気に入ったのは抹茶あん食。
まず渦巻き状の抹茶と粒あんと生地のコラボが美しい。さらによく見ると丹波産黒豆も練り込まれていて、これはアートでもあると思う。
そのままでも美味いが、トーストすると、抹茶と粒あんに黒豆独特の風味が加わり、口の中が複雑な香ばしさであふれそうになる。ホンマやで。
マーガリンを塗ってみたら、塩気が加わり美味が小爆発を起こすよう(そんな感じです)。
気温が30度くらいあったので、これには冷たい牛乳が心地よかった。
あんバター食はバターの塩気が効いていて、トーストしてもかなりイケた。
個人的にだが、こちらはコーヒーの方が合うと思う。
残りは一枚ずつ厚めに切って、ラップで包んで、冷凍室に入れておく。同社によると、1か月は保存できるそう。
コロナ禍とうっとおしい天気の下、しばらくはあん食との甘いデートを楽しめそうだ。
〈トミーズ魚崎本店〉
兵庫・神戸市東灘区魚崎南町4-2-46
・今回のお取り寄せ
あん食 1.5斤一本 税込み700円
抹茶あん食(黒豆入り)1斤同700円
あんバター食 1斤 同700円
合計(送料は別料金) 2100円