週刊あんこ

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長命寺桜もち⇒立石「朝生菓子」トリオ

 

桜のシーズン。あんこワールドでは「桜餅」の季節ということになる。

 

なので、今回は久しぶりに桜餅の元祖、東京・向島「山本や」の長命寺桜もちを味わいながら、大好きな「せんべろ」地区(立石)に足を延ばし、地元で愛される「和菓子 ひらた」の桜餅・草餅・豆大福をゲットし、食べ比べをしてみた。

歴史的には「山本や」が創業300年超享保2年=1717年)、「ひらた」は創業90年超(昭和5年頃=1930年頃)。11代目と4代目。

「山本や」は桜もちひと筋。「ひらた」は桜餅(季節限定)だけでなく、豆大福や草餅、どら焼きなど下町の和菓子屋さんらしいラインナップ。

 

なので、朝生の餅菓子トリオとさせていただいた。

 

どっちが上とか下とかはないので、どうぞ誤解なく。

 

★ゲットしたキラ星

 ①山本や

 長命寺桜もち「召し上がり」

    煎茶付き 500円

 ②ひらた

 さくら餅(季節限定) 160円

 新草餅(季節限定)160円 

 豆大福(2個入り)300円

  ※すべて税込み価格です。

 

長命寺桜もち:桜葉3枚×こしあんの絶妙

 

見た目 塩漬け桜葉(オオシマザクラ)が3枚。300年の歴史を思うと、凄みがいっそう増すが、江戸っ子を虜にした容姿と桜葉の香りについうっとり。

店内の緋毛氈(ひもうせん)に腰を下ろして味わうことにした。至福タイム。

ちょっと残念なのはコロナの影響で器は定番の杉箱ではなく、ペーパーになっていたこと。だが、これは杞憂だった。

 

「落ち着いてきたので、また杉箱を復活します」(女将さん)

 

これはファンにはうれしいニュースだと思う。

 

味わい 塩漬け桜葉をはがすか、そのまま食べるか悩むところだが、半分半分で味わうことにした。

3枚の見事な桜葉の香りが以前と同じで舌だけでなく、心まで鷲づかみにされる。

 

小麦粉ベースのかなり薄い皮は白色で、食感は柔らかすぎず、むしろさっぱりしていて、江戸の小粋を感じさせる。きりり感。

 

桜葉の香りを見事に吸い込んでいる。絶妙な塩気

 

私が初めて食べた時代から変わらない。



中の淡い赤紫色のこしあんも昔のまま。甘すぎない。ピュアで雑味がない。

 

北海道産小豆×上白糖で、今も自家製。

 

だが、「失礼します」と皮をはがしてのぞいたら、形がまん丸から円筒形に変わっていた。

この形も悪くない。

 

遠い江戸から続く、上質で粋な味わいにしばし時を忘れてしまった。

 

②ひらた:さくら餅×草餅×豆大福

 

見た目 さくら餅(写真㊨)はボリュームがある。塩漬け桜葉は1枚。

皮は見るからにもっちり感があり、桜色がやや濃い。

 

味わい 皮が長命寺よりもやや厚め。中は濃いこしあんで、量もたっぷり。

 

塩気がほんのり。

ディープな下町のフツーに美味い素朴なさくら餅だと思う。

 

センベロで飲んだ後に食べたら、美味さが倍増しそうな気がする。

 

草餅は「新草餅」と表記しているだけあって、よもぎの香りがやや強め。

中はねっとりとした柔らかなつぶあん素朴な粒々感

 

たまたまなのか、塩気をほとんど感じない。



よもぎ色の濃い、もっちり生地とのバランスが悪くない。

 

江戸の一つの価値基準、粋と野暮で言えば、野暮に近い草餅だと思うが、私的には野暮も好みのうちなので、好感度が高い。

 

豆大福は餅粉がたっぷり。赤えんどう豆の量もほど良い。

中はたっぷりのつぶあんで、草餅とほとんど同じ。

 

餅は糯米から蒸かして搗いているようで、ゲットしてから6時間ほど経過していたので、やや固くなり始めていた。本物感。

なので、1個はそのまま味わい、もう1個はオーブンで焼いてみた。

焼くと香ばしさがさらに出る。

 

熱々の中から黒味のあるつぶあんがはみ出そうになり、今回はこちらの方が「うめえ」となった(個人的な感想です)。

大福類は少しくらい固くなっても、焼くと別の旨味が顔を出す。

 

この楽しみ方がまたたまらない。

 

「山本や」

所在地 東京・墨田区向島5-1-14

「ひらた」

所在地 東京・葛飾区立石1-21-2