桜もちは春、桜が咲くころが一番美味いと思う。
なのに、京都・嵐山の「本家琴きき茶屋」で食べた秋の桜もちは格別だった。
観光地なので、外国人も多い。観光地の名物に美味いものなし、というのは多分当たっている。
それだけに意外な味わいだった。
清凉寺に用があり、その帰りに「米満軒」に立ち寄るつもりが、悲しいかなすでに廃業していた。
で、江戸末期創業「本家琴きき茶屋」の「茶房さくら」で「桜もち おうす付き」(税別 600円)を賞味することにした。
ここの名物「桜もち」はあんこが入っていない.。しかも桜色に着色もしていない。あんこ好きとしては許せない。だが、塩漬けの桜の葉2枚で挟まれた道明寺餅は予想を超えて美味かった。
糸を引くようなもちもちした、真っ白い道明寺餅はほんのり甘く、見事な塩漬けの葉の香りと塩け。つぶつぶ感も絶妙だった。添加物も着色料も加えていない。昔ながらの手作りだという。
もう一種類は、こしあんで道明寺餅を包んでいる。見た目は伊勢の赤福餅とよく似ている。こしあんのボリュームは赤福餅より厚い。
やや甘めのこしあんと中の道明寺餅がよく合っている。赤福餅ほど柔らか過ぎないのが、逆にいい歯ごたえと舌触りとなっている。小豆の風味もまずまず。
東京・向島「長命寺」の桜もち(皮が小麦粉)とは、ひと味違うもち米で作った京都の桜もち。
東京と京都、どちらが先か?
このあたりは諸説あり、実ははっきりしたことは不明。いずれにせよ江戸時代初期か中期あたりに、塩漬けした桜の葉で包んだ餅が存在していたようだ。
それにしても観光地とはいえ、京餅菓子の実力に脱帽したくなる。
最寄駅 JR嵯峨嵐山駅徒歩