久しぶりに東京・銀座並木通りに渋い紺地の暖簾を提げる老舗「空也(くうや)」に立ち寄った。

「空也もなか」であまりにも有名な店だが、今回は「じゃない方」の生菓子(上生菓子)をゲットするため。
「空也もなか」は予約しないと買えないほどの定番で、最近は予約すらスムーズにいかないことも多い(個人的な体験です)。
なので、方針を変更。
「季節の上生菓子」(6種入り)をゲットすることにした。

正直に言うと、何度かアタックするうちにようやく電話がつながったが、「空也もなか」は数日後しか予約できないと言われ、うーん困ったと戸惑うと、「季節の生菓子ならございますが」と助け舟をだしてくれた。
ひと昔よりも敷居が高くなった気がするが、いい店なのでそれも仕方がない。
★ゲットしたキラ星
季節の生菓子(6種入り)
税込み1640円

【センターは?】
草求肥:究極のよもぎ餅✖こしあん

季節の生菓子6種は季節によって内容が変わる。
今回の6種はすべての完成度が高く、どれをセンターに持ってきてもおかしくはない。
なので単に好みと気分で「草求肥」を据えてみた。

球形の見事な草餅で、直径は約40ミリ。重さは約50グラム。

白玉粉とよもぎの練り込み方がほぼ完ぺき。
包丁を入れる。
中のこしあんが色といい食感といい余韻といい文句のつけようがない。

北海道産のオーガニックな小豆×白ザラメの絶妙な餡づくり。

よもぎの風味が鼻腔をくすぐる。
控えめな甘さと口中に広がる繊細な旬の味わいがワンランク上。
空也もなかの陰に隠れているが、この店の上生菓子のレベルの高さがこの一品だけでも十分にわかる。
「じゃない方」は「である方」かもしれないぞ。
🧐あんヒストリー
創業は明治17年(1884年)。上野池之端で空也上人を尊敬していた初代が店を出し、夏目漱石や林芙美子など著名人も贔屓にしていた。ひょうたんの形の「空也もなか」や「空也餅」が評判を呼んだ。東京大空襲で店が焼失し、戦後の昭和24年になって現在の銀座6丁目に移転。現在5代目。

【サイドは?】
空也双紙:小豆羹をカステラ生地でサンド

艶やかなつぶあんの小豆羹を凝縮したカステラ生地で上下からサンドしていて、和洋の合体ともいえる半生焼き菓子。

一辺が50ミリほどの正方形で、表面には「空也」の刻印があり、つぶあんの小豆羹のふくよかな美味さがここでも発揮されている。
重さは約49グラムだが、質感があるので、食べ応えがある。個人的にはコーヒーがとても合うと思う。
これは通年商品でもあるようだ。
羊羹:大納言小豆を配した極上羊羹

見るからに深みのある本練り羊羹で、よく見ると、断面に大納言小豆が夜の梅状にぽつりぽつりと練り込まれている。

長方形で一片の長さは45ミリ×30ミリほど。厚みは35ミリもある。
重さは約60グラム。
歯ざわりがしっくりと来る。
舌ざわりの良さに一目置きたくなる。

小豆のいい風味が奥からすっくと立ち上がってくる。
添加物など使っていない、本物の味わいを愉しむ。
口どけも素晴らしい。
ホメ言葉ばかりになってしまったが、この深い上質は空也がただの最中屋ではないことを改めて知らしめてくれる。
羊羹好きだった夏目漱石は「空也餅」が好きだったようだが、当時の品書きにこの羊羹があったら、きっと虜(とりこ)になっていたに違いない。
蕎麦饅頭:蕎麦粉✖こしあんのピュアな合体

自然な蕎麦粉の薯蕷饅頭で、見るからにそそられる(写真左)。
中はやや濃いめのこしあん。

蕎麦粉生地のピュアな吹き上がりが素晴らしい。
大きさは直径約40ミリ。重さは48グラムほど。
黄味瓢:黄味餡のこなしと白餡の絶妙

形が瓢箪(ひょうたん)形でこれは空也のシンボル形でもある。
外側が黄味餡のこなしになっていて、中は大福豆の白餡。重さは約49グラム。

どこかひょうきんな上生菓子で、二つの上質なあんこを楽しめる。
しっとりとした食感。甘さが上品。
浮島:二層の蒸し生地+大納言

おしゃれな上生菓子で、浮島生地(カステラ状の蒸し生地)が二層になっている。
よく見ると、一つには大納言甘納豆、もう一つには大福豆が組み込まれている。

しっとりとした生地のくちどけが凄い。
二層の色味の違いはメープルシュガーと白ザラメの違いかも。
空也の進取の気性も感じる6種の生菓子。
美味しゅうございました。
「空也」
所在地 東京・銀座6丁目7-19
