中央線沿線は懐かしい場所だが、特に阿佐ヶ谷は「うさぎや」(約2年前に惜しまれつつ閉店)や「釜人 鉢の木」など老舗の名店があり、荻窪の春木屋で中華そばを食べた後に足を延ばしてどら焼きや生菓子を買っていそいそと自宅のある三鷹に戻るのが私にとっての黄金コース(あんあんルートの一つ)だった。

その「うさぎやの後継」と言われる店がオープンしたと言うので、正午前に立ち寄ったら「完売御礼」の張り紙が貼ってあり、がっかり。「阿佐ヶ谷うさぎや」の看板は死してもなお生き続けている、ということか(味は同じかどうかわからない)。

だが、私の足はもう一軒の名店「釜人 鉢の木」(かまんどはちのき)に向かっていた。
阿佐ヶ谷駅南口からすぐ。パールセンター商店街の入り口に、地元客にも愛され続けている老舗の開放的な店構えがいい感じでそこに広がっていた。

新しい店では出ない昔の和菓子屋店のオーラが発光している。客がひっきりなしに立ち寄っていく。
生菓子、餅菓子、どら焼き、もなか・・・の他に串だんご類もしっかり手づくりしている光景が見える。どこか下町の気配も心地よい。

全部食べたいが、そうもいかない。
選択に迷った末、選んだのが次の通り。
★ゲットしたキラ星
玄米団子(こし餡)2本400円
柏餅(よもぎ) 350円
蒸し大納言(1本) 1200円
最中(もなか) 250円
※すべて税込み価格です。

【センターは?】
蒸し大納言:大納言小豆の柔らかな凝縮と広がり

私にとっては今回の発見、と笑いたくなる一品(いい意味でです)。

この店のラインナップの中ではセンターではなく、むしろ端っこにそっと置いてあるような、小豆ういろうのような棹菓子だと思うが、以前も買ったことがなかった。昔からあったのかどうかもわからない。

サイズは約105ミリ×52ミリ。厚みは約32ミリほど。重さは約226グラムほど。ごらんの通りの重量感。
真空パックされているが、見るからに大納言小豆の艶やかな蜜感が伝わってくる。
あんココロがピコピコし始めていいる。
🧐実食タイム
真空パックを取ると、いい小豆の香りとともに、見事な蜜煮大納言の世界が現れた。

食べる前から桃色の吐息が出てきそうな、なまめかしい容姿(ポルノ小説じゃあるまいし)。
ナイフで切ると、もっちりと刃に吸い付いてくる。

心を落ち着けてから口に運ぶと、大納言小豆の柔らかな粒つぶ感がまず来た。


もっちりとした蒸し生地が小豆の美味さをむしろ引き立てている。
やや甘めだが、ドンピシャ私の好み。

素材を見ると、大納言小豆・砂糖・小麦粉・上南粉・寒梅粉・酵素・膨張粉と表記してあり、余分な添加物は使用していない。
主に上生菓子に使う上南粉や寒梅粉(糯米の変化形)をさり気なく隠し食感として使用しているのが凄い。
贅沢な大納言小豆の風味ともっちり感の秘密の一端を見た思い。
【サイドは?】
玄米団子(こしあん):レアな玄米だんごとこしあんの合体
店の右側にだんごコーナーがあり、そこにこしあんが覆うように乗っかった重量級の玄米団子が目に入った。残り1パック!

これも以前はゲットしたことがない、そそられるレアもの。
賞味期限が基本的に「今日中」なので、編集室に戻ったその夜に味わうことに。

夜遅くの串あんだんごは秘密の味がする(勝手な妄想です)。
玄米団子は4玉で、茶色っぽい玄米色が沁みる。


柔らかな食感が心地よい。
何よりもこしあん(自家製)の圧倒的なボリュームが素晴らしい。
無添加づくりで甘すぎない。
こしあんのなめらかなしっとり感。
あっという間に2本が消えた。
👟あんヒストリー
初代は戦前、目黒で和菓子屋を営んでいたようだ。戦後の昭和27年、現在の地・阿佐ヶ谷で最中(もなか)の露天商として創業。「釜人 鉢の木」の店名は謡曲鉢木から取ったようで、釜人の二文字もあんこ炊きに対する深い思いを感じる。現在3代目。茨城・水戸に同じ店名の和菓子店があるが支店ではないようで関係は不明。阿佐ヶ谷本店の他に経堂店もある。

柏餅(よもぎ):見事なよもぎ餅とつぶあんの上質
柏餅は4種類あったが、私の好みはよもぎ✖つぶあん。
大きめの柏の葉を取ると、よもぎの風味がふわりと来た。


柔らかな米粉餅の歯ざわり。
じっくりと炊かれたつぶあん(北海道産小豆)がいい塩気とともに口中に広がる。

ワンランク上の素朴な上質。
時を忘れるほどうめえ~、としばらく。
最中(もなか):創業時からの目玉の一つ
種(皮)の食感と香ばしさがこの店の実力を示していると思う。


つぶあんの蜜感と柔らかな風味がとてもいい。
すっきりした味わいの中に歴史が詰まっているよう。

正統派の和菓子職人の技術が、上質な味わいを担保している。
相変わらずいい和菓子屋さんだと改めて確認。
「釜人 鉢の木」
所在地 東京・杉並区阿佐ヶ谷南2-15-4
最寄り駅 JR阿佐ヶ谷駅南口すぐ