西日本あんこ旅の疲れを癒す間もなく、猛暑のなか、北へのあんこ旅を決行した。
その第一弾として取り上げたいのが、福島・郡山の郊外の住宅地にポツンと立つ一軒家の和菓子屋さん。

その名も「和の菓子 たけだ」。
隠れた名店ともいうべきこの店の存在を知ったのは、福島に住むあん友の情報だった。
私が大の豆大福好きと知って、「ちょっと遠いですが、郡山の郊外に東京や京都に負けない豆大福があることをご存じですか? 機会があったら一度ぜひ味わってみてください」とのメールだった。

で、今回、クルマで寄り道することにした。
自宅と店舗を兼用しているようで、地元の客に愛されているのがよくわかる小さな店構え。
午前10時前だというのに、女性客が2~3人ほど順番待ちをしていた。

店内が狭く、一人ずつしか入れないようだ。
いい店を見つける能力は男性より女性が先、と経験上思っているので、これは「当たりかも!」とあんこセンサーがピコピコした。
★ゲットしたキラ星
豆大福(つぶ餡)180円
同 (こし餡) 180円
くず桜 140円
黒糖ふくさ 150円
どら焼き 140円
※すべて税込み価格です

【センターは】
豆大福:王道の品格、ひと目で本物と確信

●見た目 豆大福の名店という意味では、東京では護国寺「群林堂」や泉岳寺「松島屋」、原宿「瑞穂」が知られているが、この「たけだ」の豆大福はそれらの名店ほど個性的ではない。
だが、ひと目で秀逸な手作業を感じさせる、正統派の上物と感知できた。

京都「出町ふたば」の名代豆餅をつい連想してしまった。
形も佇まいもよく似ている。
●実食タイム
①つぶ餡
ガラス越しに店主が一人で作業していて、その手さばきが熟練を感じさせる。
餅の柔らかさ。赤えんどう豆の量、餅粉のかかり方。

すべてに間断がない。
仕事中だったので、店主のお話をじっくり聞くことは叶わなかったが、途切れ途切れに店の由来や店主のスケッチをすることは少しできたと思う。
無添加づくりにこだわり、賞味期限は「本日中」。
なので、ホテルに戻ってからの実食となった。

手搗きの餅と赤えんどう豆のふっくら感と手触り感、歯触りが一級品。
癖のない、きれいな豆大福で、地元での人気がわかる味わい。


つぶ餡は北海道十勝産小豆を使用、それをグラニュー糖で仕上げているようだ。
その艶やかなたっぷり感と差し込んでくる塩加減がちょうどいい。
②こし餡
こし餡も自家製で、きめ細やかさが舌に馴染んでくる。


いいこし餡。塩気もほんのりと広がってくる。
赤えんどう豆のしっかりとした歯ざわりとのマリアージュが東京の名店に引けを取らないと思う。
ローカルでいい豆大福と出会うと、うれしさが倍増する。
隠れた名店探しの醍醐味でもある。
●あんヒストリー
創業は店主によると平成29年(2017年)。歴史は10年もないが、店主の佇まいからしてかなりの修練を積んだことがわかる。餅菓子類はもちろん上生菓子もつくっていることから、東京か京都などの老舗での修業を思わせるが、「いろいろです」と言葉を濁されてしまった。ゆえに可能なら背景は次回以後に聞いてみたいと思う。
【サイドは?】
くず桜:本葛の半透明とこし餡の絶妙

冷蔵庫で少し冷やして実食となったが、こし餡のなめらかな味わいと風味がやはり上質。

140円という価格を考えると、店主の姿勢はこちら側にあることを確信できる。
コスパの素晴らしさ。
黒糖ふくさ:ふくさ生地ときんとんの蕩け方


黒糖をブレンドした柔らかなふくさ生地の外観が素朴で、二つに割って口に運んだら、中はきんとん餡(白いんげん豆)。

この柔らかな合体がなめらかに解けていく感覚がとてもいい。
私にとっては意外な美味しさ。
少し冷やして食べたら、美味さがワンランク上になった。
どら焼き:二つ折りのどら焼き

きつね色の手焼き皮はカステラ生地のようで、中の濃厚なつぶ餡と口の中で絡み合い、ふくよかな広がりを見せる。

いい職人さんがいいどら焼きを焼いている、月並みだが、そんな感想を持ってしまった。
「和の菓子 たけだ」
所在地 福島・郡山市大槻町字上西田42-7
