今回ご紹介したいのは、びっくりを通り越して、その存在にひっくり返りそうになった路地裏の和菓子屋「菓子や彦一」です。なぜかというと・・・。

和菓子職人と大道芸人という二つの顔を持つ、2WAY(二刀流)の、たぶん日本では(=世界でも)このお方一人(他にいらっしゃったらごめんなさい)というのが驚きの理由です。
👣アプローチ
戸越銀座と武蔵小山の中間あたりに位置する場所に、それも閑散とした路地裏奥に「いちご大福」のノボリがひるがえり、古い建物を少しだけ改装したような、一見和菓子屋とは思えない店構え。どこか隠者の気配も・・・あんこセンサーがピコピコ。

★ゲットしたキラ星
いちご大福 300円
豆豆大福 200円
麩まんじゅう200円
千代寿もなか
2個入り 520円
※すべて税込み価格です

【センターは?】
店内はむしろ閑散としていたが、5~6種類ほどのメニューがシンプルに置かれていた。種類は多くはない。

奥が工房になっていて、そこに細身の店主が一人で作業中だった。隅々まで清潔感。
声をかけると、明るい声が返ってきた。丁寧な対応。いい和菓子職人の立ち姿。
試しに「麩まんじゅう」を一個頼んでみた。

出来立てを食べれるちょっとしたスペースもあったので、そこでいただくことに。
笹のみずみずしさと薫り。手に触れる冷たさが心地よい。
麩まんじゅうは生麩に青海苔を練り込むのが定番だが、ここのは違った。


真ん中から切って口に入れると、生麩の柔らかさとつるんとした冷たい食感がとてもいい。

笹とよもぎのみずみずしい風味がふわりと立ち上がってくる。
中のあんこの質が予想以上だった。青紫色に近い自家製こしあん。。

希少な北海道産しゅまり小豆をじっくり炊き上げ、白ざら糖で仕上げているようだ。
甘さがほどよく抑えられていて、小豆の粒子をかんじる、そんな表現をしたくなる丁寧なつくり。きめ細やかな舌ざわり。

この5時間後、自宅に帰ってから残りの一個を味わったが、極上の美味さはほとんど変わらなかった(写真は自宅で撮影したものです)。
●あんヒストリー
宮崎県生まれ。製菓学校を卒業後、平成22年(2010年)和菓子修業をした静岡の地で開業。令和4年(2022年)に東京のこの路地裏奥が気に入って移転。もう一つの顔、大道芸人としては「団子彦一」(芸名)としてユニークなだんごのシャングリラなどで人気を呼ぶ。大道芸グランプリにも出場している。

関心させられたのがこの角型最中。
種(皮)とつぶ餡(丹波大納言)が別になっていて、食べるときに自分で合わせるスタイル。

最近多いスタイルだが、これは別格のあじわい。
大きさは57ミリ×57ミリほど。しっかりと作られた種で、崩れが全くない。鳥獣戯画のカエルとうさぎの絵がクール。
別仕立ての大納言つぶ餡(じっくりと煮詰められている)の量はかなり多め。ふっくらと煮詰められていて、見ただけで凄さがわかる。

がぶりと行く。種のパリパリ食感と香ばしさがまず口中に広がる⇒続いて主役・丹波大納言の大波がキラキラと押し寄せてきた。そんな感じ。

丹波大納言小豆は皮が固いので、ここまで柔らかく、風味豊かに煮詰めるのは技術的にも大変だと思うが、それを見事に実践している。

甘すぎない、極上の味わい。穏やかな余韻がざわめく心を落ち着かせる。優しい春風まで感じてしまった。
改めていい最中だと思う。
【サイドは?】
豆豆大福:赤えんどう豆ぼこぼこ、藤紫色のこし餡

手づくりのオーラがまず来る。
大粒の赤えんどう豆がぼこぼこ、柔らかな杵つき餅に浮かび上がり、ひと目でそそられてしまった。すごいね。

サイズは直径約45ミリほど。重さは72グラム。
ほんのりと岩塩が練り込まれていて、その塩気が絶妙。
赤えんどう豆の固さもちょうどいい。


何よりもぎっしりと詰まった藤紫色の自家製こし餡が素晴らしい。
口の中で吹き上がるような、雑味のないピュアな味わい。
うめえ、が自然と口からこぼれる。
いちご大福:羽二重餅×苺×ミルク餡の合体がキュート

餅粉がうっすらとかかった餅に、無粋だが包丁を入れると、白餡に包まれたみずみずしい大粒いちごが「こんにちわ」と現れた。

ただの白餡ではなくミルクを加えたミルク餡で、甘さは抑え気味。
重さを量ったら約75グラム。ほど良い大きさ。
口に運ぶと、いちごのジューシーが口からあふれ出そうで、柔らかな餅とミルク餡との合体がワンランク上の掛け算になっている。

見えない部分にもこだわりとアイデアを感じる二刀流和菓子職人のいちご大福。これもスペシャルでした。
「菓子や彦一」
所在地 東京・品川区荏原1-24-40
