きのうは2度目のオールスター出場で、カーショーから初ヒットを放ち、1塁でけん制球に刺されるなど、スーパースターを超えるメガスター(アストロズ・ベイカー監督談)として、ひときわ輝いていた。
その大谷翔平を生んだ、岩手・奥州市から、今回お取り寄せしたのが江戸時代から続く岩谷堂羊羹(いわやどうようかん)。
回進堂(かいしんどう)の逸品。
羊羹好きにとっては、一目置きたくなる全国レベルのスグレモノだと思う。
伊達藩の城下町だった岩谷堂で延宝年間(1637~81年)に和菓子屋として創業。昭和27年、10代目のときに岩谷堂羊羹を目玉商品の一つにしている。
現在12代目だが、株式会社回進堂と組織変更してからは3代目社長として辣腕をふるっているようだ。
江戸時代初期創業というのも凄い歴史だが、令和のスーパースター大谷翔平を生み出した土地、というのもこの地に何か特別なパワーを感じる(佐々木朗希も出身地が近い)。
たまたまとは思えない、宮沢賢治(花巻市)もこのエリアの傑物。
スケールの大きさが日本という枠組みを超えている、と考えたくなる。
で、本題。その流れで見ると、あんこ界のスターの一つが岩谷堂羊羹だ、と言えると思う。
・今週のキラ星は?
お取り寄せした回進堂「岩谷堂羊羹」3種類
①本煉1棹:255グラム 540円(税込み)
②くるみ1棹:255グラム540円(同)
③ごま1棹:255グラム 540円(同)
※送料は別途
【本日のセンター】
黒ごまの風味がセンターオーバーだった
お取り寄せした3種類の岩谷堂羊羹はそれぞれが高レベルな、職人の熟練の手の匂いがする羊羹だが、個人的に「これは凄いなあ、好みだ」と思ったのが「ごま」だった。
くるみ同様に珍しさもあるが、本格的な羊羹で、ベースのあんこは国産の手亡豆(てぼうまめ)を使い、黒ごまペーストが練り込まれている。
真っ黒い、漆黒の羊羹!
黒文字で口に運んだ瞬間、黒ごまの穏やかな風味が、やや固めの、ねっとりした歯ごたえの中から、すっくと立ち上がってくる。そんな感じ。
甘さが控えめで、それがこの店の伝統を感じさせる。
素朴な洗練、という領域もある。
1棹の長さは約180ミリほど。
岩谷堂羊羹の定番は本煉(岩手大納言小豆などを使用)と黒煉(波照間産黒糖を使用)だと思うが、今回はレアなこの黒ごまをセンターに選んだ。
たまたま電話口にお出になった3代目社長が、羊羹界の大谷、いやその師匠格イチローみたいなお方で、素材へのこだわり方、製法の突き詰め方など、すべてがあんこへの情熱に裏打ちされている印象だった。
美味いはずだよ。
大谷翔平がこの回進堂の「りんごゼリー」が好物だったというニュースを思い出した。
羊羹についてはどうか?
大谷家が馴染んだ味だということは分かったが、翔平クンが好きだったという裏は取れなかった(残念)。
リトルリーグのころから羊羹よりりんごゼリーだった、これは確かのようだ。
【セカンドは?】
・本煉(ほんねり) ベージュの包み紙を解くと、経木もようの銀紙に包まれた「本煉」が現れた。
小倉色の見事な煉り羊羹で、表面からはうっすらと糖蜜がにじみ出ている。
窓から光が入ると、表面周辺が少し透き通り始める。
これはいい煉り羊羹と確信させられる。
歯ごたえと甘すぎない、口の中で広がるふくよかさが上質。やっぱり素朴な洗練、と表現したくなる。
いい塩気もほんのりと感じる。
何日か空気にさらすと、多分、表面が白く糖化して、別の味わい方も楽しめそうだ。
小城羊羹と同じ、伝統的な製法だと思う。あるいは二本松「玉嶋屋」とも同種の、江戸・日本橋から続く、昔ながらの手間のかかる作り方。
小豆は「岩手大納言と十勝産えりもをブレンド」しているようだ。
地場の素材にこだわるのも、今の時代ではなかなかできないことでもある。
・くるみ こちらも北海道産手亡がベースで、そこに国産のくるみを練り込んでいる。
くるみが「夜の梅」のように、ポツリポツリときんとん色の煉り羊羹に浮かんでいる(昼の梅?)。
その歯触りとくるみの食感が押し寄せてくる。
こちらも甘さはほどよく整えられ、白あん独特の風味とよく合っている。
塩気も後から追いかけてくる。
くるみ好きにはたまらない味わい、だと思う。
大谷がらみで3種類の岩谷堂羊羹をご紹介したが、この他にも数種類ある。
ところで、後半戦最初の試合(日本時間23日先発登板)が気になる。さらに投げて打つはずだ。2年連続MVPも十分にある。すでにベーブ・ルースは超えている、と思う。
なので、このスペシャルなあんこのマリアージュをテレビの前で楽しむのもいいかもしれない(現地に行きたいところだが)。
個人的にはシングルモルトウイスキーと氷を用意して、羊羹をかじりかじり、「イッツ・あんこ・タイム!」と行きたいな。
「回進堂」