週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

絶品「百年酒饅頭」と水ようかん

 

編集長「酒まんじゅうの名店を見つけたよ。首都圏では東京・荻窪の『高橋』や日光『湯沢屋』など、うめえ~と声が漏れる老舗があるけど、まさかの場所で出会っちゃったんだ」

 

あん子「またもったいぶっちゃって。この前大騒ぎしてたこと、もう忘れてる(笑)。埼玉・本庄市児玉町でどぶろくから手作りしている和菓子屋さんのことでしょ?」 

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編集長「まず皮がすごい。酒粕で代用する店が多い中、糀(こうじ)を使ってどぶろくを作り、何日もかけてじっくり発酵させ・・・酒種をつくる。それでふくらませる。詳しいことはわからないけど、手間暇を惜しまずに昔ながらの本造りをしてる」

 

あん子「聞いただけで大変そうね。それよりあんこはどうなの?」

 

編集長「当然のごとく自家製のこしあん。淡い藤色でしっとりと上質にまとめている。あまり教えたくない店だよ」

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あん子「ホントは教えたいくせに。見え見えよ(笑)。『和菓子 くろさわ』って店名も渋いわね。でも今どき貴重なお店なのは感じるわ」

 

編集長「あん子クンもわかってきたね。正直に言うと、さほど期待せずに行ってみたんだ。まず建物の壁面にツタの絡まった、グレーの昭和な店構えにほおーってなった。さらに店内のシンプルな造りに私のあんこセンサーがピコピコ反応したよ。水ようかんも美味そうだった。この店は只者じゃないってね」

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あん子「はいはい、舟が出るわよ~(笑)」

 

【本日のセンターです】

百年続く元種の驚き「本造り 酒まん」

 

1個100円(税込み)。それを5個買い、友人の酒蔵5代目にも5個、別に包んでもらった。5代目は酒饅頭が好きで、群馬・前橋にあった伝説の名店(すでに廃業)の酒饅頭の美味さをことあるごとに私に話していた。

 

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その10分ほど前、どんな味わいか、確認したくて、1個だけ別買いし、店主の了解を得て、蒸し立てを店内で試食してみたら、酒種のいい香りとともに、皮のふっくら感と弾力と密度にちょっと驚いた。中のこしあんもきれいな甘さで絶妙だった。

 

ほっぺたが落ちかかるほど。心の中で「こりゃ本物だよ」と叫んでいた。

 

友人の酒蔵の5代目がどんな顔をするかも楽しみだった。

 

いい気配を漂わせる店主は4代目で、創業は「100年くらい前だと思いますが、はっきりした創業年はわからないんですよ」と率直に話す。

 

「おじいちゃんの前の代まではわかってるんですけどね」

 

話の途中で、4代目が「これ、見ます?」百年以上前から代々続く糀(こうじ)を板場から大事そうに持ってきてくれた。

 

それがこれ。

 

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めったにない経験で、糀の酸味の含んだいい香りがふわりと鼻腔に来た。

 

しばらく話すうち、この店が「全日本和菓子品評会」で全日本優秀賞を受賞してることがわかった。

 

埼玉のローカルにこんな店が隠れていたとは(別に隠れていたわけではない)。

 

「できれば本日中に食べてください」

 

4代目店主のひと言で、早め(といっても夕方になったが)にわが家に持ち帰って、賞味した。

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表面の見事なツヤが何とも言えない。あまりに自然な白。糀の香りがふわりと部屋中に広がる。

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計ってみたら重さは58グラム。直径が60ミリ、高さは38ミリほど。

 

日光「湯沢屋」の酒饅頭と同じくらいの大きさ。

 

噛んだ瞬間、皮の素朴なもっちり感が来た。職人の手の匂いのする洗練も感じる。歯ざわりがとてもいい。

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中の自家製こしあんはほんのり塩が効いている。。

 

淡い藤色の上品なこしあん

 

素朴に洗練された皮と絶妙にコラボしていると思う。

 

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小豆は北海道産、砂糖は白ザラメ。添加物などは一切使用していない。

 

期せずしていい店と出会ったことは間違いない。

 

後日談。酒蔵の5代目からメールが来た。

 

「とっても美味かったです。特に皮が。昔食べた前橋の幻の名店もこんな感じでした。なつかしい味わいでした」

 

お世辞を言わないお方なので、しかも酒蔵の社長なので、手土産に持って行った甲斐があった。

 

その後、その5代目がつくった「花菱 無濾過(むろか)純米酒で乾杯した。ほろ酔い。

 

あんこの神様にかしわ手。

 

【本日のサブ】

水ようかんのレベルも高かった

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あん子「この大きさと中身で100円とはコスパがすごいわ。下に敷いてある葉っぱがビニールなのがちょっと残念だけど、この内容でこの値段を考えると、仕方ないわね」

 

編集長「大きくて、まず色がいい。透き通るような濃い藤色。あんこの美味さは酒饅頭でわかってるけど、舌ざわりが上質だね。寒天に少し葛粉も加えているようだ」

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あん子「形はしっかりしているのに、口に入れた瞬間、すっと歯が入り、口どけがとってもいい。塩加減もたまらない。編集長が自慢するのも仕方ないわ」

 

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編集長冷蔵庫に1時間ほど冷やしてから食べると、コロナも蒸し暑さもストレスもどっかに飛んでく。日本人に生まれてよかった、ホントそう思いたくなる」

 

あん子「埼玉水ようかん界の小さな大谷翔平・・・そう言いたいんでしょ? 顔に書いてあるわよ(笑)」

 

編集長「ファッションに気を使うよりも中身で勝負ってところがね。これがわかるようになったら、あん子クンも一人前・・・に近くなったね(笑)」

 

あん子「すぐに図に乗る。あんこの神様が笑ってるわよ」

 

 

「和菓子 くろさわ」

・所在地 埼玉・本庄市児玉町児玉2512

・最寄り駅 JR八高線児玉駅

 

 

             

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