コロナと猛暑と長雨・・・本日早朝は地震アラート(誤報)のおまけ付き。
なので、さわやかに行きたい。
かき氷、それも「氷あんみつ」を二つ取り上げたい。
氷あんみつだって?
定番氷あずきのバージョンアップ版と考えてもいい。あんみつのかき氷版。和スイーツの進化はダーウィンも目を丸くするに違いない。
徳川家と関係の深い、蔵の街・川越と日光今市の甘味処カフェでたまたま見つけた「氷あんみつ」を比べたくなった。東照大権現の、いわばお膝元の氷の対決。令和・・・いや「冷和対決」と言えなくもない(笑)。
最初の一品は川越蔵通りの一角にある甘味処「土路子(とろっこ)」。「氷あんみつ」の舌代は700円(税込み)。
ここは大正9年創業「陶舗 やまわ」の直営カフェで、感心するのはあんこも自家製なこと。北海道十勝産小豆を使い、「ザラメでじっくり炊いてます。塩加減も強めにしてます」(女性スタッフ)。
かき氷はふわふわ山盛り系が主流のかき氷界の中で、逆をいくようにざらざらと歯に沁みるような氷の山。ダンディズム(反時代的精神)な、反骨のかき氷と言えるのではないか。
練乳と黒蜜が別々に小さな器に入っていて、ちょっとくすぐられる。
かき氷の中には自家製のあんこ(つぶあん)とさつまいものバニラアイスが潜んでいる。川越はさつまいもの街でもある。
つややかなあんことクリーム色のさつまいもアイス。
特にボリューミーなあんこに神経が行く。悪代官にでもなった気分で「グハグハ・・・愛い奴(ういやつ)よのう」とつぶやきたくなる。(バーカじゃないの?)
つぶしあんのねっとり感があんこ中枢をくすぐる。
そして「氷あんみつ」のネーミングを下支えしているシャキッとした寒天が、砂糖水の滴りとともに8~10個ほど沈んでいるのが見えてくる。ちょっと残念だが、求肥(ぎゅうひ)はない。
ひと呼吸おいてから、さらに練乳をかけ、黒蜜をかけ、スプーンを中心部に向かって堀り進めていく。
氷のざらざら感と塩気の強めのつぶあんが口の中で甘く爆発するのがたまらない。練乳と黒蜜が絡むと、それらが頭の中で別のキラキラを作る。いいね。
夏の幸せが一気に押し寄せてくる。歯に来るザラザラ氷なので、氷自体の好みが別れるが、全体のこだわり方が絶妙だと思う。
税込み700円というのもコスパ的にかなりいい。暑い川越散歩の箸休めにちょうどいいのでは?
二品目は日光今市の「日光珈琲 玉藻小路店」で食べた「氷あんみつ」(税込み1100円)。にっこうこーひーたまもこうじてん。
こちらの氷は日光天然氷(四代目徳次郎)を使っているのが、ある種、時流に乗っているとも言える。日光は天然氷の本場。
実際、素晴らしいふわふわ感で、盛りも富士山級。
上から黒蜜ときな粉がすでにかかっていて、ビジュアル的に圧倒されるものがある(こちらも求肥はない)。
中のあんこはこちらもつぶあんで、ふっくらと炊かれていて、甘さは控えめ。つぶつぶ感が大きく、大納言小豆かもしれない。
ちょっと残念なのは自家製のあんこではなく、製餡所から取り寄せたもの。あんこはプロに任せるというのもやり方としては悪くない。
こちらも中にねっとりとしたバニラアイスが潜んでいて、「クリームチーズを加えたバニラアイスです」(女性スタッフ)。オリジナル性が強い。
こちらも大きめの寒天が最後に7~8個ほど沈んでいる。いい歯ごたえの寒天。
つぶあんの量もたっぷりある。天然氷の柔らかさと全体のマーブルのような曼陀羅感に身も心も半分ほど満たされる。食べ終えると、暑さで火照った体に冷たい、きれいな余韻がしばらく続く。
店の雰囲気が築百年の古民家をリノベーションしたものなので、ちょっとしたタイムスリップ感も楽しめる。
1100円はコスパ的には「土路子」と比べようもないが、この一種類だけで見ると、東京・谷中「ひみつ堂」や埼玉・熊谷「慈げん」に負けていないと思う(種類はかなわないが)。
個人的な好みでは自家製あんこにこだわる「土路子」に惹かれるが、氷がややもすると歯に沁みるので、今回は軍配は上げるに上げられない(冷や汗)。
コロナと暑さと長雨の中で、氷あんみつをハシゴする。小さな、甘い、この脳内エンドルフィンの時間を数分だけ抱きしめていたい、そんな気分になった・・・(バッカを超えてる?)
所在地①「土路子(とろっこ)」埼玉・川越市幸町7-1
所在地②「日光珈琲 玉藻小路店」栃木・日光今市754金次郎長屋