週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

新型!五色のあんこ玉とテリーヌ

 

アベノマスクはいらない、ドラえもんどこでもドアが欲しい!

 

と喚いても始まらない。

 

コロナがなければ旅する予定だった岡山にも行けず、松山、松江もしばらくは虹の彼方。

 

なので、「新しいあんこ生活」に切り替え、お取り寄せにハマることにした。

 

目を付けたのがこれ。

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おそらく、今、もっとも挑戦的なポジションにいる老舗の一つ、愛媛・松山市「石田製餡所」(創業大正13年)が始めた実験店「アン・パティスリー七日」伊予市)の逸品を二つお取り寄せした。

 

「七日のひと口餡子」(左)「餡とチョコのテリーヌ」(右)である。

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あんこの最前線という意味で取り上げることにした。

 

「餡とチョコのテリーヌ」は物珍しさからテレビでも紹介され、あんこ好きを驚かせた逸品だが、「七日のひと口餡子(あんこ)」はデビューしたのが3か月ほど前でもっとも新しい。

 

店名の「七日」の意味は、「あんこが一番おいしい期間が七日間」から来ているとか(異論もあるかもしれないが)。

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パッケージも凝っていて、グレーの厚手の包装紙を取ると、木箱が現れ、その中に5種類のあんこ玉×2が収まっていた。

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これって和菓子? 洋菓子? ジャンル分けなどどちらでもいい?

 

パステルカラーが5つ。それが2列。う・つ・く・し・い。

 

写真左からラムネ餡いよかん桃餡朱鞠(しゅまり)餡ミルクとコーヒー餡の5種類。

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形は直径35ミリほどのあんこ玉だが、イメージが追いつかない。

 

表面には透明な寒天が膜のようにテカっていて、中のきれいな創作あんこを包み込んでいる。朱鞠餡以外は白いんげんをベースにしたこしあんで、それぞれの風味をクチナシなどで淡く着色している。

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自粛疲れの目がきゅーっと持っていかれそうになる(危ないアブナイ)。

 

あんこ原理主義の私にとっては、評価に戸惑う世界だが、むくむくと沸き起こる好奇心が抑えられない。

 

点数を付けるのは失礼だが、意外という意味で、個人的にもっとも気に入ったのは空色のラムネ餡。90点くらい。

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しっとりとなめらかな、さわやかささえ感じる舌触り。白あんのほどよい甘さ。

 

白いんげんとラムネの風味がミスマッチではないのが不思議。頂上にレモンがチョコンと乗っている。青空に抜けていくような、詩的な余韻がしばらく舌の上に残ったまま。そんな感じかな。

 

使用している砂糖はグラニュー糖で、上品な淡い味わいだと思う。

 

製餡所の技術とパティシエの技術がうまく溶け合っているようだ。

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桃の香りが広がる桃餡、いよかん餡のみずみずしい果実味、ミルクとコーヒー餡の深みも楽しめるいいレベルだと思う。

 

最もベーシックな朱鞠餡(しゅまりあん)は、この製餡所の力がよくわかる。

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えりも小豆ではなく、朱鞠小豆(おそらく北海道・美瑛産)を使っているのがこだわりの強さを感じる。紫がかった色と上品でふくよかな風味が特徴で、さらに渋抜きをしっかりしているので、雑味がない。上生菓子こしあん

 

私は渋抜きをある程度抑えた、雑味のある素朴なあんこも大好きなので、少し物足りない感もあるが、この上品さは悪くはない。

 

「餡とチョコのテリーヌ」も書いておきたい。

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石田製餡所4代目が創業百年を前に「新しいあんこの可能性」を追求して、2017年11月に伊予市に「アン・パティスリー七日」をオープンさせた。

 

その際にパティシエを迎え入れ、試行錯誤の末に目玉として作ったのがこの「餡とチョコのテリーヌ」。

 

むしろ新しい和スイーツと言った方がいいかもしれない。

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一本の重さは293グラム。長さは127ミリ、幅53ミリ、厚さは36ミリほど。

 

パッケージを取ると、生チョコそのもののようで、上質の国産チョコレートの香りが強烈に吹き上がってくる。

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包丁で切るのに苦労するほどチョコテリーヌがべたっとくっついてくる。

 

どこにあんこがあるのか一瞬わからなくなるほど、食感も味わいも重厚なチョコレートのテリーヌそのもの。

 

だが、よく見ると、真ん中に直径2センチほどのこしあんが筒状に詰まっている。

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これも朱鞠小豆のこしあんで、注意深く舌先で探らないと、チョコテリーヌの濃厚に押しつぶされてしまう。こしあんがんばれ、と声をかけたくなった。

 

「岩塩をつけて食べると美味しい」と書いてあったので、その通りにしてみると、確かに美味さにインパクトが出てきた。

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イケる! これってアイデアものだと思う。

 

とはいえ。

 

チョコレート好きにはたまらない味わいだが、あんこの存在が薄すぎると感じるのはあんこ原理主義者ゆえかもしれない。

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個人的にはあんこの量を2倍くらいにして、チョコレートの量をもう少し減らせば、あんことチョコの大恋愛も「あんビリーバボー!」と拍手したくなるのだが(あくまでも個人的には、です)。

 

ここであん考。あんこが世界に出ていく。新しいファンを開拓する・・・この新しい、ビビッドなあんこのチャレンジ精神と可能性に注目していきたい。

 

所在地(アン・パティスリー七日) 

愛媛・伊予市米湊710-1

〈お取り寄せ) 

七日のひと口餡子 税込み1188円

餡とチョコのテリーヌ 同2160円

(別途送料 クール便1320円、代引き手数料330円)

今回の総合計支出 4998円なり

 

 

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