あんこを求めて三千里の旅で、新潟・長岡に立ち寄った。
花火で有名な街だが、あんこの名店も隠れている。
知る人ぞ知る「江口だんご」である。
だが、本店(宮本東方町)へ行く時間がない。バスも来ない。
仕方なく、駅前通りをウロウロと散策していたら、あんこの神様がウインクしてきた・・・としか思えない(ホントだよ)。
「江口だんご」の古い屋号と看板。それが坂之上店(支店)だった。だんごの3文字が心に突き刺さった。ツイテル。
越後笹だんごの名店の一つで、創業が明治35年(1902年)。
普通、笹だんごは5個単位で売られているが、ここは1個(税別160円)からでも買える。これはありがたい。
「本店から持ってきたばかりですよ。自家製で、蒸し立てです」と女性スタッフ。
もう一品、赤い豆大福が目に入った。普通の豆大福よりも一回りデカい。東京で赤い豆大福に出会うことはまずない。祝い事ならいざ知らず、通常の商品として店頭に並んでいるのは珍しい。むろん、初めての出会い。
「紅大福」が正式な名称で、1個150円(税別)なり。中のあんこはこしあんで、豆は赤えんどう豆ではなく、青大豆とのこと。賞味期限を聞くと「本日中です」。
ひょっとして、今起きていることはあんこの神様の導きかもしれないぞ。
店先をお借りして、そこで食べることにした。
笹だんごは新潟市内で食べたものより、一回りほど大きめ。笹の色が自然で、しかも4枚(3枚が多い)。笹の香りとよもぎの香りがリンクする。
きれいに剥けるのも好感。歯に当たるよもぎ餅の柔らかな感触と風味。それがとてもいい。地場の餅米と米粉をブレンド、よもぎは新芽を使用しているそう。
中は見事なつぶしあんで、たっぷり詰まっていた。素朴で控えめな甘さ。砂糖は多分上白糖。塩加減がほどよい。私が食べた笹だんごの中でも上質の美味さ。
気になるもう一品、紅大福へ。杵つきの餅で、存在感がありながら、実に柔らかい。食紅で色を付けていると思う。
練り込まれた青豆も大きめでふっくら、それが5~7個ほど。塩が効いている。
中のこしあんはきれいに作られていて、しっとりと舌になじんでくる。十分なボリュームで、こちらも甘さは控えめ。いい小豆の風味がしばらく残る。あんこ職人の腕は確かだと思う。
店先で思わぬ出会い。あんこの神様にお礼を言いたくなる。
お茶が出ればさらに文句なしだが、あんこの神様はそんなに甘くはない。
所在地 新潟・長岡市東坂之上町2-3-2