日光のようかんは格別なものがある。
むろん個人的にだが。
中でも水ようかんがたまらなく美味い。
他の地の水ようかんとひと味違う気がする。
湯沢屋、吉田屋、三ツ山、鬼平(きびら)など江戸・明治・大正から続く老舗はそれぞれ特徴があって、いわば「水ようかん界のオールスター」(オールドスター?)だと思う。
だが、残念なことに喫茶室がない。基本的に店頭販売だけ。
作りたてを食べたい。
何としても食べたい。
ようやく探し当てたのが、「ふだらく本舗」石屋町店だった。
日光東照宮の参道沿いにある老舗和菓子屋さん。
創業は昭和27年(1952年)と日光の中では比較的新しい。
ここの奥が喫茶室になっていて、そこで念願だった作りたての「栗入り水ようかん」を賞味した。
一本150円(税込み)なり。
緑茶がサービスだが、あえて「コーヒー」(300円)を頼んだ。
この栗入りようかんが思っていたより素晴らしかった。みずみずしくて、品のいい甘さとほのかな塩気がとてもいい。
舌の上ですーっと溶けて行く。なめらかさとピュアな風味がくっついている。
小豆は北海道十勝産、砂糖はグラニュー糖だと思う。添加物などは使っていない。生もの水ようかん。
何が違うのか、日光の水が素晴らしいのか、ひょっとして日光東照宮の魔力が隠し味になっているのか、美味さの秘密は謎である。
ときに謎は謎のままにしておくのも悪くはない。
栗入りといっても、栗は小さな粒が点々としているだけで、9割8分くらいは水ようかん自体の美味さである。栗は愛きょうか?
ドリップで淹れたコーヒーが意外に合う。69%の相性。
大好きだった「ひしや」が実質的に店仕舞いしてからというもの、しばらく日光から遠ざかっていたが、また通いたくなってしまった。
所在地 栃木・日光市石屋町406-4