週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

京都・松寿軒の「みかさ」

 

東京では「どら焼き」、京都・奈良では「三笠(みかさ)山」。関東圏と関西圏と言い換えてもいい。

 

これを食べるまで、個人的にはどら焼きの最高峰は「日本橋うさぎや」だと思っていた。

 

だが、正直、上には上がある、ということを思い知らされた。

f:id:yskanuma:20171024173143j:plain

 

京都でも有数の上生菓子屋「松寿軒(しょうじゅけん)」の「松寿みかさ」(1個税込み 160円)のことである。

 

清水五条から松原通り。そこに「松寿軒」が小さく店を構えている。建仁寺高台寺の御用達の上菓子屋だが、敷居が高くない。街の和菓子屋と変わらないシンプルな店構え。

 

暖簾を広げない。広げようともしない

 

上生菓子が売り切れていたので、「松寿みかさ」を5個、買い求めた。

f:id:yskanuma:20171024173252j:plain

 

日本橋うさぎやのどら焼きよりもひと回り以上小さい。「池袋すずめや」よりも小ぶり。

 

皮のふっくら感としっとり感にまず驚かされた。焼き色にもムラがない。

f:id:yskanuma:20171024173322j:plain

f:id:yskanuma:20171024174629j:plain

 

それ以上に驚かされるのはあんこ。つややかな粒あんで、大納言小豆(北海道十勝産か)とこしあんを絶妙に混ぜ合わせている。その見事な小倉色。

f:id:yskanuma:20171024173402j:plain

 

口に含んだ途端、やや甘めできれいな小豆の風味がさあーっと広がるのがわかる。ふっくらと炊かれていて、大納言小豆は形がしっかりあるのに、皮まで実に柔らかい。

 

レベルの違うあんこというものが、確かにある。正直、参った。

f:id:yskanuma:20171024173432j:plain

 

「松寿軒」は創業が昭和7年(1932年)。京菓子の世界では老舗とは言えない。だが、二代目の田治康博さんのあんこ作りは驚くべきもの。

 

「朝から晩まであんこ作ってますのや。和菓子ごとに、使う小豆も炊き方も全部変えてます。その日の天候にも左右されますのや。毎日、あんこあんこ(笑)。ときどき自分が一体何しとるのか、わからなくなりますでぇ」

 

上生菓子をぜひ食べてほしい、というが、賞味期限が「本日中」なことと、予約が必要なことなど、手に入れるのは簡単ではない。

f:id:yskanuma:20171024174117j:plain

 

その分「みかさ」は手に入れやすい。それも究極という言葉を使いたくなるレベル。

 

皮とあんこのあまりに絶妙な結婚。これはもはや奇跡に近い美味さだよ、と思ってしまった。

 

所在地 京都市東山区松原通大和大路西入ル弓矢町19-12

最寄駅 京阪線清水五条駅から歩約5分

 

 

           f:id:yskanuma:20171024174002j:plain